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◇令和4年6月17日付公布の「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」の説明資料から、建築士試験に影響す
ると推察される部分を抽出して考察していきます。
◇法改正の主旨は、脱炭素社会に向けての建築規制に関する法律の改正ですが、建築士受験講座を担ってきた講師の立場から、改正後の試験に向けての課題整理をしたいと思い
ます。
◇課題①:建築基準法の確認申請の改正について(施行日の公布から3年以内の4月施行予定とのこと)
・建築士試験受験講座受講生の三大弱点の一つ、建築確認法制度の変更があります。
・建築士試験の対象となるのは、暗黙の了解として、施行日の翌年1月2日時点の法律とされているので、2026年度(令和8年度)試験からの範疇と推察しています。
・従来の法6条1項二号の「通称:木三」部分がなくなり、現在の三号(新二号)に吸収されます。
・確認申請において、構造別の種分けがなくなるのです。
・木造であっても、2階建て以上、又は200㎡を超えるものは、新二号建築物となります。
・したがって、試験問題でいう、全国どこでも、新築に限らず、大規模修繕、大規模模様替も、確認対象となります。
・新三号建築物(旧四号建築物)は、木造平家建てに限定されてきます。
・その影響として、まずは法20条の構造計算規定からの影響を想定しています。
・従来の法6条四号の500㎡、高さ13m、軒高9m以下は、構造計算不要でしたが、300㎡超の場合、法20条の変更に伴い、構造計算が必要になってきます。
・建築士試験では、構造計算の対象有無を問う問題に対して、法6条で判断できたのが、法20条とは、少々異なる範疇になるので、受講生の苦手分野だけに、戸惑いが懸念され
ます。
・この建築確認分野(法6条1項)の変更により、建築物省エネ法で改正になったばかりの建築物省エネ法27条の、建築士の説明義務は、法規定の文言からは、消滅になることに
なるようです。
・絶対に、年度を跨いでの受験は避けたいので、今後は、一発必中の気構えが大切だと思います。
・構造計算規定の法20条1項三号の範囲が、木造三階建ての場合、高さ16m以下に緩和されることにより、建築士法3条における二級建築士の業務範囲が、13m以下から16m以
下に緩和されます。
・また、木造三階建て13m超16m以下のものは、構造計算規定の法20条1項三号の範疇になり、許容応力度計算でOKとなるようです。
・具体的には、二級建築士でできる範疇が広がったと解釈できるようですが、建築士試験では、少々面倒になりますね!
・この変更対応について、受験講座では、演習の繰り返しで習得向上を図るので、いつから演習問題として加えてゆくのか、重要な部分なだけに、過去問で賄えないので、悩
むところです。
◇説明会の法改正内容については、国交省がユーチューブを使って動画を配信していますので、下記アドレスより、ご参照ください。
https://www.youtube.com/watch?v=bJZnQO7Q0CU
◇また、この説明動画で使用している資料も、国交省の下記アドレスからダウンロードできますので、ご参照ください。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001492149.pdf
2022年7月28日 by SHRS(建築基準適合判定資格者、一級建築士)