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SHRSの二級建築士受験講座「建築法規」2024年度 ⑬

2024-02-29 09:14:41 | ビジネス・教育学習

◇単体規定の最後の問題(No.11)「内装制限」の規定について整理していきます。
◇この分野は、大きく2つに分かれていて、規制対象の建築物の用途・規模に関するもの(令128条の4)。
◇その仕上げ規制に関するもの(令128条の5)について、2つの政令から1問出題されるのが通例です。

◇内装制限の規定①:内装仕上げの防火規制を受ける建築物の用途・規模(法35条の2)
 ・別表第1(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物
 ・階数が3以上である建築物
 ・政令(令128条の3の2)で定める窓その他の開口部を有しない居室(排煙無窓居室)を有する建築物
 ・延べ面積が1,000㎡をこえる建築物
 ・建築物の調理室、浴室他、かまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたもの
 ・それらに政令(令128条の5)で定める技術的基準に従い内装仕上げを防火上支障がないようにする
   ⇒内装とは、壁及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分をいう

◇内装制限の規定②:内装制限を受ける特殊建築物(令128条の4第一号の表)
 ・規制対象は、別表第1(い)欄(1)項(2)項(4)項の特殊建築物で、(3)項は対象外としていることに注意!
 ・表では、主要構造部の防火性能別に規制する床面積について区分しています。
  (1)耐火構造&1時間準耐火構造、(2)準耐火構造(45分準耐)、(3)それ以外
 ・これらに類する特殊建築物の用途として、令115条の3を参照することを忘れないように!

◇内装制限の規定③:表にはない規制する特殊建築物(令128条の4第二号、同三号)
 二号:自動車車庫又は自動車修理工場の用途に供する特殊建築物
 三号:地階又は地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室で
    法別表第1(い)欄(1)項、(2)項又は(4)項に掲げる用途に供するものを有する特殊建築物

◇内装制限の規定④:第1項で規定した特殊建築物以外の建築物への内装制限の規制規模
 ・階数が3以上で延べ面積が500㎡を超えるもの(令128条の4第2項)
 ・階数が2で延べ面積が1,000㎡を超えるもの(令128条の4第3項)
 ・階数が1で延べ面積が3,000㎡を超えるもの(令128条の4第3項)
  (注)上記の建築物で、令126条の2第1項二号に規定する「学校等」の用途のものは除外している!

◇内装制限の規定⑤:調理室、浴室他の火気使用室で、規制対象としていないもの(令128条の4第4項)
 ・住宅、及び兼用住宅は、平家建てを含む最上階
 ・用途に関係なく、主要構造部を耐火構造としたもの

◇内装制限の規定⑥:仕上げを準不燃材料以上とすることを規定している部分(令128条の5)
 ・3階以上の階に居室を有する建築物の当該各用途に供する居室の天井の室内に面する部分(第1項)⇒天井に限定していることに注意!
 ・居室から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分
  ⇒特殊建築物、一般建築物の共通規制事項で通路部分は準不燃以上とする(令128条の5共通)
 ・自動車車庫・修理工場等の各用途に供する部分、及び地上に通ずる主たる通路の壁、天井部分
 ・地階、地下工作物内の法別表第1(い)欄(1)項(2)項(4)項の用途の居室、及び地上に通ずる廊下、階段その他の主たる通路の壁、天井部分
 ・窓その他の開口部を有しない居室(排煙無窓居室)の壁、天井部分
 ・調理室等(火気使用室)の壁及び天井の室内に面する部分
  ⇒それ以外の規制対象部分は、「難燃材料」とできる。

◇内装制限の規定⑦:規制対象から除外している部分
 ・回り縁、窓台などの部分
 ・居室の壁の部分で床面から1.2m以下の部分は規制対象から除外している。
   ⇒ただし、次のものについては、規制除外とはならないと規定しています。
    (1)自動車車庫・修理工場等、(2)地階、地下工作物内の特殊建築物の居室、(3)火気使用室

◇今回で単体規定分野の前編を締めまして、後編の集団規定等については、一休みしてから、継続したいと思います。

2024年2月29日 by SHRS(シュルズ) 一級建築士、建築基準適合判定資格者
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SHRSの二級建築士受験講座「建築法規」2024年度 ⑫

2024-02-27 16:16:13 | ビジネス・教育学習

◇今回は、避難施設の規定について整理していきます。

◇避難施設の規定①:第2節「廊下・避難階段・出入口」の規定の適用範囲(令117条)
 ・法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物に適用
 ・階数が3以上である建築物に適用
 ・令116条の2第1項一号に該当する無窓居室を有する階(採光無窓の居室)に適用
   ⇒令116条の2第一号:面積の合計が、当該居室の床面積の1/20以上のもの
    (令20条の規定より計算した採光に有効な部分の面積に限る。)
 ・延べ面積が1,000㎡をこえる建築物に適用

◇避難施設の規定②:上記の適用範囲の建築物への廊下幅の規定(令119条の表)
 ・両側に居室がある場合と、片側廊下の場合とに分けて適用する。
 ・廊下の用途は、4つ分類して適用し、それうがいのものへの適用はない(例えば事務所)。
  (1)学校における児童用又は生徒用のもの
  (2)病院における患者用のもの
  (3)共同住宅の住戸若しくは住室の床面積の合計が100㎡を超える階における共用のもの
  (4)3室以下の専用のものを除き居室の床面積の合計が200㎡を超える階におけるもの
   ⇒地階にあっては、100㎡を超えるもの

◇避難施設の規定③:適用範囲の建築物への避難階以外の場合の階段までの歩行距離の規定(令120条)
 ・表では、主要構造部が準耐火構造又は不燃材料で造られている場合と、それ以外とに区分けしている。
 ・主要構造部と居室の種類の区分けに基づき、避難する階段までの歩行距離を規定している。
  (1)無窓居室、又は別表第1(い)欄(4)項に掲げる特殊建築物
  (2)別表第1(い)欄(2)項に掲げる特殊建築物
  (3)上記以外の居室
 ・主要構造部が準耐火構造又は不燃材料で造られている場合において、階段・通路を不燃材料で仕上げた場合、表の数値に「10」を加えてもよい。(令120条2項)

◇避難施設の規定④:避難をするための直通階段は「2以上設ける」という(2方向避難)規定(令121条)
 ・2方向避難を必要とする特殊建築物は、令121条1項一号から五号に規定しています。
 ・それ以外の一般建築物は六号に規定し、6階以上の階がイ、5階以下の階をロ、に規定しています。
 ・四号、五号の特殊建築物、六号の5階以下は、対象床面積を超えるものを規制しています(条文参照)。
 ・主要構造部が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られている建築物については、緩和適用がある。
 ・それぞれの規制する床面積を2倍にすることができます。
 ・2方向避難は、毎年のように正答で出題される、重要事項であることにも注意する必要があります。
 ・なお同3項において、歩行経路の重複区間があるときは、歩行距離の数値を1/2に規制している。
 ・余計な話ですが、一級建築士受験を見据えている人は、下記事項にも注意です!出題事例有り!
  ⇒令121条1項三号に該当するものは、原則、同2項の緩和条項の適用がありませんが・・・
   同かっこ書きにおいて、緩和条項があり、居室の床面積の記述があり、緩和条項の適用がある!
   (1)5階以下の階で、該当居室の床面積の合計が100㎡を超えないもので、避難上有効なバルコニー、屋外避難階段(令123条2項)、特別避難階段(同3項)があるもの
   (2)並びに、避難階の直上階・直下階である5階以下の階で100㎡を超えないもの

◇避難施設の規定⓹:2方向避難の小規模建築物への緩和条項(令121条4項)
 ・法27条で適用除外した3階建て以下、延べ面積200㎡未満のものについては、緩和の規定がある。
 ・令112条19項の小規模建築物への緩和と同様の条件において、2方向避難を適用除外としている。

◇避難施設の規定⑥:排煙設備の設置に関する規定(令126条の2)
 ・排煙設備を必要とする建築物は原則4つ(令126条の2第1項)
  (1)別表第1(い)欄(1)項から(4)項の特殊建築物で500㎡超えるもの
  (2)3階建て以上、延べ面積500㎡を超える建築物(高さ31m以下で100㎡毎に防煙壁区画ものを除く)
  (3)無窓居室(令116条の2第1項二号に規定する排煙無窓)
  (4)延べ面積1,000㎡をこえる建築物で、居室の床面積が200㎡を超えるもの
   (高さ31m以下で、100㎡毎に防煙壁で区画されたものを除く)
 ・令116条の2第1項ただし書きで、排煙設備を必要としない建築物の居室を定義している。
  一号:別表第一(い)欄(2)項の特殊建築物のうち、準耐火構造の床若しくは壁又は防火設備で区画された部分で、その床面積が100㎡以内のもの
     (共同住宅の住戸にあっては、200㎡以内のもの)
  二号:学校(認定こども園を除く)、体育館、ボーリング場等、(「学校等」という。)
  三号:階段の部分、昇降機の昇降路の部分(昇降機の乗降ロビー部分を含む。)

◇避難施設の規定⑦:非常用の照明装置の設置に関する規定(令126条の4)
 ・非常用の照明装置を必要とする建築物は原則5つ(令126条の4)
  (1)別表第1(い)欄(1)項から(4)項の特殊建築物の居室
  (2)階数が3以上で、延べ面積が500㎡を超える建築物の居室
  (3)無窓居室(令116条の2第1項一号に該当する採光無窓)
  (4)延べ面積が1,000㎡をこえる建築物の居室
  (5)これらの居室から地上に通ずる階段、廊下等の通路(採光上有効に直接外気に開放された通路を除く)
 ・令116条の4ただし書きで、非常用の照明装置を必要としない建築物を定義している。
  一号:一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸。
  二号:病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室、その他これらに類する居室。
  三号:学校等(学校等の定義は、令126条の2第1項二号を参照。)
  四号:避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないもの。 

◇避難施設の規定⑧:安全検証法で確かめられた場合に適用除外される条項がある
 ・階避難安全検証法⇒令129条参照・・・例えば令120条の歩行距離の規定
 ・全館避難安全検証法⇒令129条の2参照・・・例えば令12条の2の排煙設備の設置に関する規定

◇避難施設の規定⑨:非常用の進入口の設置基準と構造(令126条の6、令126条の7)
 ・法令集記載の基準となる数値を確認できるようにする。
 ・過去問からの留意点は、高さ31m以下の3階以上の部分に設置義務が課せられている。

2024年2月27日 by SHRS(シュルズ) 一級建築士、建築基準適合判定資格者
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SHRSの二級建築士受験講座「建築法規」2024年度 ⑪

2024-02-25 09:38:19 | ビジネス・教育学習

◇今回は、防火区画(令112条)、界壁・防火間仕切壁(令114条)の規定について整理していきます。
◇二級では、面積区画・高層区画については、過去も今後も無いと推察しますので飛ばして整理します。

◇防火区画①:防火区画の規定で重要な用語の定義(⇒各防火設備の技術的基準は令112条19項参照)
 ・1時間準耐火構造(令112条2項):主要構造部等に「1時間の非損傷性・遮熱性・遮炎性」を要求
 ・特定防火設備(令112条1項):令109条に規定する防火設備で「遮炎性能1時間」を要求
 ・防火設備(令109条、令109条の2):「遮炎性能20分」を要求している標準的防火設備
 ・10分間防火設備(令112条12項ただし書):令109条規定の防火設備で「遮炎性能10分」でもよい
 ・強化天井(令112条4項):下方からの火災時加熱に対してその上方への延焼を有効に防止できるもの

◇防火区画②:(通称)竪穴区画の規定(令112条11項)
 ・主要構造部を準耐火構造とした3階以上の居室と階段等の縦方向に貫通する空間とを防火上区画する。
  (1)準耐火構造(45分以上の非損傷性・遮熱性・遮炎性)の床、壁で区画する
  (2)開口部分は防火設備(法2条九号の二 ロに規定する20分遮炎性能)で区画する
  (3) 縦方向に貫通する空間の例:階段、昇降機の昇降路、ダクトスペース etc.
 ・令112条11項ただし書きにおいて、緩和規定が2つある(竪穴区画を不要とする部分)。
  (1)避難階の直上階、直下階のみに通ずる吹き抜けで、内装を下地・仕上げ共に不燃材料とした場合
  (2)階数3以下で、200㎡以内の、戸建住宅及び共同住宅内のメゾネット住戸の内部階段部分

◇防火区画③:小規模建築物における竪穴区画の規定(通称)準竪穴区画(令112条12項、同13項)
 ・法27条による特殊建築物の防火規制から外れる、小規模な特殊建築物を規制する簡易的竪穴区画
 ・法27条の規定から外れた「階数が3で延べ面積が200㎡未満の特殊建築物」が対象
  (1)上記の規模で、3階の用途が法別表第1(い)欄(2)項に該当するもの(警報設備設置が条件)
  (2)具体例として、病院、診療所(患者収容施設があるもの)、児童福祉施設(入所者の寝室があるもの)
 ・スプリンクラー等の消火設備が設けられたものは、防火間仕切り壁と10分間遮炎防火設備でもよい
 ・スプリンクラー等の消火設備のないものは、防火間仕切り壁と20分間遮炎防火設備とする
 ・また、「ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設(通所施設のみの場合)、etc.」については、間仕切壁と防火戸の設置でもよいとしている。

◇防火区画④:(通称)異種用途区画の規定(令112条18項)
 ・法27条に規定する特殊建築物の当該用途の部分と、それ以外の用途の部分を防火上区画する。
 ・区画する床、壁には、1時間準耐火構造(1時間の非損傷性・遮熱性・遮炎性)を要求
 ・区画する開口部には、特定防火設備(遮炎性能1時間)を要求
 ・ただし書きで、告示250号に基づき、警報設備の設置等による緩和措置もある。
  ⇒具体例としてホテル1階にあるホテル併設店舗とホテル用途部分との異種用途区画を要しない。

◇防火区画⑤:防火区画に接する外形の規定(令112条16項)
 ・防火区画を構成する床に接する外壁における防火措置について、次のいずれかとする。
  (1)その接する部分を含み幅90㎝以上の部分を準耐火構造とする
  (2)外壁面から50㎝以上突出した準耐火構造のひさし等で防火上有効に遮ることとする

◇防火区画⑥:配管等の防火区画貫通部分の措置の規定(令112条20項、令129条2の4第七号イ)
 ・準耐火構造の防火区画を貫通する場合、防火区画との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めること。
 ・管の貫通部分及び当該貫通部分からそれぞれ両側に1m以内の距離にある部分を不燃材料で造ること。
 ・区画貫通部分の措置の規定については、令112条だけでなく、令113条、令114条にも適用する。

◇防火区画⑦:界壁、防火間仕切り壁の規定(令114条1項、同2項)
 ・令114条1項の界壁、同2項の防火上主要な間仕切壁は、同等の扱いとしている。
 ・原則、小屋裏、天井裏に達せしめる必要があるが、次の場合には緩和される。
  (1)強化天井(令112条4項一号に定義)とした場合。
  (2)スプリンクラー設備等を設置した場合。
 ・強化天井とした場合であっても、界壁等については、準耐火構造としなければならない。
 ・自動スプリンクラー等を設置を設置した場合には、界壁等を準耐火構造としなくてもよいとしている。
 ・いずれも、界壁等を小屋裏又は天井裏に達せしめる必要はないとして、緩和している。

◇防火区画⑧:建築面積が300㎡を超える木造の建築物の小屋組の規定(令114条3項)
 ・建築面積が300㎡を超える建築物の小屋組が木造の場合の規制措置
  (1)小屋裏の直下の天井の全部を強化天井とする
  (2)桁行間隔12m以内ごとに小屋裏に準耐火構造の隔壁を設ける。
   ⇒準耐火構造の隔壁で区画されている小屋裏の部分で、当該部分の直下の天井が強化天井であるものを除くとしている。
 ・過去の試験問題では、「建築面積が300㎡を超える」という部分を問う設問が散見されるので注意!
   ⇒すなわち、「建築面積が300㎡」のものは、規制の対象としていない。

2024年2月25日 by SHRS(シュルズ) 一級建築士、建築基準適合判定資格者
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SHRSの二級建築士受験講座「建築法規」2024年度 ⑩

2024-02-23 09:15:58 | ビジネス・教育学習

◇防火壁規定(法26条)は正答での出題も少ないですが、簡単な内容ですので、把握しておきたい事項です。
◇建築物の防火規制は、木造等の大規模建築物は法21条で、特殊建築物は、法27条で規制します。
◇特に、法27条の「耐火建築物等としなければならない特殊建築物」の規定は、重要です。
◇単独の出題としては、R1年だけですが、H30法改正事項でもあり、他の規制とも関連する重要事項です。
◇ポイントは、出題内容から別表第1を読み込む事ができようにすることです。

◇防火規制①:木造建築物等への防火壁・防火床による区画(法26条、令113条)
 ・原則、延べ面積が1,000㎡を超える木造建築物に、防火上有効な防火壁又は防火床による区画を規定。
 ・垂直区画の防火壁だけでなく、水平区画の防火床も認めている(例えば1階と2階を防火床で区画)。
 ・木造建築物であっても、耐火・準耐火建築物は、規制から除外している。(法26条ただし書き一号)
 ・法26条に規定する防火壁・防火床の技術的基準は、政令(令113条)に規定しています。
   (1)耐火構造とする。(令113条1項一号)
   (2)防火壁・防火床に設ける、許容される開口部の寸法は、それぞれ2.5m以下とする。(同・四号)
 ・令113条を補足する防火壁・防火床の構造方法を、告示197号で規定しています。
   (1)木造建築物においては、無筋コンクリート造、組積造としない。(告示197号第1第一号)
   (2)防火壁は自立構造とし、防火床は支持する耐力壁・柱・はりを耐火構造とする。(同・二号、三号)

◇防火規制②:大規模建築物(木造等)の主要構造部への防火規制(法21条)
 ・第1項において、規制する建築物の規模を規定しています。
   一号:地階を除く階数が4以上である建築物
   二号:高さが16mを超える建築物
   三号:別表第1(い)欄(5)項又は(6)項の特殊建築物で高さ13mを超えるもの
 ・第1項の政令で、主要構造部に必要とされる技術基準を定めている。
   (1)令109条の5第一号イ:通常火災終了時間に基づく準耐火構造(性能規定)
    (表の枠内で、壁・床・柱・はりは最低45分以上、屋根・階段は30分以上⇒準耐火構造の基準)
   (2)同・二号:令107条の基準(仕様規定)⇒耐火構造の要求(法2条七号の耐火構造の技術的基準)
 ・第2項で延べ面積が3,000㎡を超える建築物の主要構造部に、耐火構造or火災時倒壊防止構造を要求
    かつ、床面積を、それぞれ3,000㎡以内に区画することを要求している。
 ・第1項ただし書きで、建築物の高さ以上の空地を有する場合は、規制適用外。(令109条の6)

◇防火規制の規定③:耐火建築物等としなければならない対象建築物を把握する。(法27条、別表第1)
 ・耐火建築物等とは(定義)、
   (1)主要構造部に、特定避難時間に基づく倒壊・延焼防止性能の構造、若しくは耐火構造のもの   
   (2)延焼の恐れのある部分等(令110条の2に規定)の外壁開口部に、防火設備を設けたもの
 ・法27条1項一号:3階以上を別表第1(い)欄(1)項から(4)項までの用途の特殊建築物とするもの
 ・法27条1項二号:同様に2階以下の場合は、その部分の床面積が同表(は)欄の各項に該当するもの
    ただし、同表(1)項の場合にあっては、客席を対象として、規制を適用する
    同表(2)項及び(4)項の場合にあっては、2階がその面積であるものに限り、規制を適用する
    かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限定している
 ・法27条1項三号:同様に、その用途に供する部分の床面積の合計が3,000㎡以上のものを規制する
 ・法27条1項四号:劇場、映画館又は演芸場の用途に供するものは、主階が1階にないものが規制対象

◇防火規制の規定④:小規模なものへの緩和規定(法27条1項一号と四号のかっこ書き)
 ・法27条1項一号の建築物で、原則、3階建、延べ面積が200㎡未満のものを、規制対象外とする
   ⇒令110条の4:令101条の5に基づく警報設備を設けた場合、耐火建築物等としなくてもよいもの
   (1)病院、診療所(患者の収容施設があるものの限る)、
   (2)ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等(就寝利用があるものに限定)
 ・主階が1階にない劇場、映画館又は演芸場で、階数が3以下で延べ面積が200㎡未満のもの

◇防火規制の規定⑤:耐火建築物(法2条九号の二)としなければならないもの(法27条2項、別表第1)
 ・別表第一(い)欄(5)項に掲げる用途(倉庫等)に供するもので、
   その用途が3階以上の部分の床面積の合計が同表(は)欄(5)項(200㎡以上)に該当するもの
 ・別表第一(い)欄(6)項に掲げる用途(自動車車庫等)に供するもので、(ろ)欄(6)項に掲げる階(3階以上の階)を、その用途に供するもの

◇防火規制の規定⑥:耐火建築物、又は準耐火建築物としなければならないもの(法27条3項、別表第1)
 ・別表第1(い)欄(5)項又は(6)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が同表(に)欄の当該各項に該当するもの
   (1)倉庫等(5項)で、その用途に供する床面積の合計が、1,500㎡以上のもの
   (2)自動車車庫等(6項)で、その用途に供する床面積の合計が、150㎡以上のもの

◇防火規制の規定⑦:「別表第1」と関連する条項は、表(別表第1)の上部に記述されている
 ・法6条:建築確認申請
 ・法21条:大規模建築物(木造等)の主要構造部への防火規制
 ・法27条:特殊建築物への防火規制
 ・法28条:居室の採光・換気
 ・法35条~法35条の3:特殊建築物等の避難・消化に関する規定&内装制限に関する規制
 ・法90条の3:工事中の安全措置に関する届出の規定
 ・これらの規定における特殊建築物等への規制事項は「別表第1」と関連するということになる。
 ・なお、「別表第1」の表は、国交省H.P.法令検索データを元に、見易く整理しております。

2024年2月23日 by SHRS(シュルズ) 一級建築士、建築基準適合判定資格者
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SHRSの二級建築士受験講座「建築法規」2024年度 ⑨

2024-02-21 08:53:26 | ビジネス・教育学習

◇構造強度規定の3問目は、構造計算規定に関する重点事項を整理していきます。

◇構造計算規定①:構造計算をする場合の外力の状態についての規定(令82条の表)
 ・表の記号の意味⇒「G=固定荷重、P=積載荷重、S=積雪荷重、W=風圧力、K=地震力」を理解する。
 ・原則、長期荷重は「G+P」ですが、特定行政庁が指定する地域では「G+P+0.7S」とする。
 ・原則、短期荷重は長期荷重に、積雪時「プラスS」、暴風時「プラスW」、地震時「プラスK」とする。
 ・特定行政庁が指定する地域では、暴風時に「+0.35S」、地震時に「+0.35S」を追加する場合がある。

◇構造計算規定②:固定荷重「G」の規定(令84条)
 ・原則、実況に応じて計算するが、令84条の表を利用して計算することができるとしている。
 ・試験問題では、この表を参照して、「固定荷重G」を回答する設問となります。
 ・出題例として、R4年に「コンクリート造の床の固定荷重」を算定する設問がある。
 ・表より、建築の部分は「床」、種別は「コンクリートの床」+「仕上げはモルタル塗り」を選択する。

◇構造計算規定③:積載荷重「P」の規定(令85条)
 ・第1項の表より、「室の種類」、「構造計算の対象部位」別に数値を選択する。
 ・床の構造計算をする場合は、(い)欄より、室の種類別に選択する。
 ・柱、基礎の垂直荷重の場合は、(ろ) 欄より選択するとともに、支える床の数により荷重減ができる。
 ・第2項に、減らすための係数表があり、第1項で選択した数値に乗じて荷重を減らすことができる。
 ・地震力を計算する場合は、(は) 欄より、室の種類別に選択する。
 ・注意点は第3項で、倉庫業を営む倉庫の積載荷重は、3,900N未満にできないと規定している。

◇構造計算規定③:積雪荷重「S」の規定(令86条)
 ・積雪の単位荷重は、積雪量1㎝ごとに1㎡につき20ニュートン以上とする(第2項)。
 ・屋根に雪止めがある場合を除き、その勾配が60度を超える場合は、積雪荷重を零とできる(第4項)。
 ・雪下ろしを行う慣習のある場合、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減算できる(第6項)。

◇構造計算規定④:地震力「K」の規定(令88条2項、3項)
 ・標準せん断力係数は、原則、0.2以上としなければならない。
 ・地盤が著しく軟弱な区域として特定行政庁が指定する場合の木造建築物にあっては、0.3以上とする。
 ・令82条の3第二号に基づく水平保有耐力計算をする場合は、標準せん断力係数は、1.0以上とする。
   ⇒特にこの項目は、要注意です!

◇構造計算規定⑤:材料の許容応力度の規定(令89条~令98条の表)
 ・出題例の多いのは「地盤の許容応力度」で、地盤の種類別に選択し、短期は長期の2倍とする。
 ・木材、鋼材、コンクリート、高力ボルト、溶接等の許容応力度を表から該当する数値を選択する。

2024年2月21日 by SHRS(シュルズ) 一級建築士、建築基準適合判定資格者
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