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知っ得・R5年一級建築士試験「建築法規」問題の要点整理⑦

2023-10-31 09:24:50 | ビジネス・教育学習
◇R5年(2023年)の一級建築士試験の問題と正答表が公表されています。
◇本ブログでは、R5年の一級建築士試験「建築法規」問題の要点を整理していきます。
◇試験問題を参照したうえで、本ブログの要点整理をご参照いただければと思います。
◇試験問題は「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで確認できます。

◇No.16:建蔽率に関する図形計算問題の要点整理
 ・法53条8項:敷地全体に、準防火地域の規定を、敷地全体に適用。
 ・法53条3項一号イ、同ロ:建蔽率の緩和1/10を、敷地全体に適用。
 ・法53条3項二号:角地指定の建蔽率の緩和1/10を、敷地全体に適用。
 ・法42条2項、令2条1項一号:みなし道路境界線の内側(セットバック)部分の敷地面積の控除。
 ・法53条2項:許容建築面積は、それぞれの敷地で算定したもの合計(面積加重平均)とする。
 ・近隣商業地域の建蔽率:8/10+1/10+1/10=10/10
 ・第一種住居地域の建蔽率:6/10+1/10+1/10=8/10
 ・近隣地域の許容建築面積:[10×(15-1)]×10/10=140㎡
 ・第一種住居地域の許容建築面積:[15×(15-1)]×8/10=168㎡
 ・建築面積の最大値:140+168=308 ㎡・・・正答
 [注意点] 問題文に準耐火建築物を建築する場合と記述されており、建蔽率規制に関しては、建築物の位置に関係なく、敷地全体への規制適用(法53条3項の緩和条項も 
  同様)になりますので、用途地域ごとの許容建築面積計算の按分計算(法53条2項)と切り分けて整理する必要があります。

◇No.17:建築物の斜線制限に関する図形計算問題の要点整理
 ①道路斜線制限:法56条1項一号、法別表第3、法56条2項(建物後退による緩和)
 ・(に)欄より、第一種中高層住居専用地域の斜線勾配:1.25
 ・(道路容積率)7×4/10=28/10 < 30/10(都市計画容積率)
 ・(は)欄より、第一種中高層住居専用地域(容積率30/10以下)の適用距離:25m
 ・建物後退による緩和(法56条2項):西側1m、南側共に3m
 ・2面道路における計算用道路幅を広い道路幅(7m)とする緩和規定(法56条6項、令132条1項)
  イ)広い道路の境界線からその道路幅員の2倍以内、かつ35m以内の部分⇒7×2=14mかつ35m以内
  ロ)狭い道路の中心線から10mを超える部分⇒(6/2)+3+7=13m⇒広い道路幅による
 ・南側道路斜線:(3+6+3+7)×1.25=23.75m
 ・西側道路斜線:{1+7+1+(12-1)}×1.25=25m
②隣地斜線制限:法56条1項二号
 ・20mを超える部分からの斜線勾配:1.25、
 ・建物後退による緩和(法56条2項):東側2m
 ・東側隣地斜線:20+(2+2)×1.25=25m
③北側斜線制限:法56条1項三号
 ・隣地より低い敷地の北側斜線制限の緩和(135条の4第1項二号)
 ・地盤面は1mを減じたものの1/2だけ高い位置とする⇒(3.0-1.0)÷2=1m
 ・A点から真北方向の隣地境界線までの距離×1.25+10m
 ・A点の高さ:{3+(14-7)}×1.25+10+1=23.5m
 ∴北側斜線制限の「23.5m」が、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度となる。
 [注意点] 道路斜線制限の計算では、求める「A点」の位置が、2面以上の道路に面する場合、広い道路の境界線からその道路幅員の2倍以内、かつ35m以内の部分にあ
  る場合には、狭い道路からの斜線計算においても、広い道路幅員を使用して計算することになります。
   また、道路の中心線より算定しますので、設問が求める地盤面からの高さを算出する場合との計算では、宅盤差がある場合などで調整(その部分を差し引くこと)が
  必要です。しかし本問では、北側隣地との宅盤差なので、北側斜線制限算定において、もともと両方とも地盤面から算定していますので、高低差による緩和措置計算 
  後の数値を、求める地盤面からの高さに加えることになります。

2023年10月31日 by shrs(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士
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知っ得・R5年一級建築士試験「建築法規」問題の要点整理⑥

2023-10-30 08:53:25 | ビジネス・教育学習
◇R5年(2023年)の一級建築士試験の問題と正答表が公表されています。
◇本ブログでは、R5年の一級建築士試験「建築法規」問題の要点を整理していきます。
◇試験問題を参照したうえで、本ブログの要点整理をご参照いただければと思います。
◇試験問題は「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで確認できます。

◇No.14:都市計画区域内の道路に関する文章問題の要点整理
 1.正しい。法44条1項四号、令145条2項:条文通り(条文参照)。
 2.誤り。法85条2項:現場に設ける仮設事務所は、原則、法43条の接道義務を含む、第3章の規定(集団規定)の適用はない。
 3.正しい。法43条3項:条文通り(条文参照)。ができるとしている。
 4.正しい。法85条の2:景観重要建造物として指定された建築物については、市町村は大臣の承認を得て条例等で、法44条(道路内の建築制限)の規定等の制限の緩和
  をすることができるとしている。
 [注意点]  正答の設問文は、現場の仮設事務所の規制緩和条項で、一級に限らず、二級、木造でも散見される、ある意味で見慣れた問題かと思います。条文を参照し
  て、緩和される条項を把握する必要があります。暗記してもよい部分かもしれません。他の設問については「法85条の2」という見慣れない条文も絡みますが、法44 
  条の道路内建築制限の関連問題ですので、法43条の接道義務と法44条の道路内建築制限が関連している、試験問題の常套事項の問題であることが理解できると思いま
  す。なお、法令集のどこに記述されているか探すことができるかを問うているのではないかと思いますので、法令集の参照の方法に慣れることが大切だと思っていま
  す。

◇No.15:建築物の用途の制限に関する文章問題の要点整理
 1.正しい。別表第2(ほ)項四号、令130条の7の2第一号:第一種住居地域に建築できる大規模な建築物として、消防署は規定されている。
 2.正しい。別表第2(と)項五号:客席の部分の床面積の合計200㎡以上のものは建築できないが、設問の180㎡のものは建築できる。
 3.正しい。別表第2(る)項二号、令130条の9、同項の表:表に定める数量を超える危険物を貯蔵するものは建築できないが、準工業地域は、表で火薬20トンと規定し
  ているので、それを超えない設問のものは建築できる。
 4.誤り。別表第2(を)項五号:規模に関係なく、学校(大学を含む)は建築できないものに該当している。
 [注意点]  それぞれの用途規制(特にかっこ書き部分)の確認は勿論、規制数値についても示されている建築物があります。その規制の許容値については、政令に記載さ
  れている場合が多いので、法令集で照合・確認できるようにしてくださいという問題だと思っています。したがって、政令に規制数値が示されている部分を参照する
  ことに慣れる必要があります。例えば、肢問3で、20トンの火薬の貯蔵倉庫について、令130条の9の表に、準工業地域の火薬の貯蔵許容値が「20トン」と記述されて
  おり、政令の条文に、「表の定める数値を超える危険物」と記述されているので、設問は正しいことになります。

2023年10月30日 by shrs(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士
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知っ得・R5年一級建築士試験「建築法規」問題の要点整理⑤

2023-10-27 08:52:59 | ビジネス・教育学習
◇R5年(2023年)の一級建築士試験の問題と正答表が公表されています。
◇本ブログでは、R5年の一級建築士試験「建築法規」問題の要点を整理・解説していきます。
◇試験問題を参照したうえで、本ブログの要点整理をご確認いただければと思います。
◇試験問題は「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで確認できます。

◇試験問題の検索は、財団H.P.の右欄に「一級建築士」という窓があり、ここをクリックします。
◇一級建築士の欄がでたら、下の方を見ると、「(1)受験をお考えの方」という欄があります。
◇そして、その下の方にある、「(1-6)過去の試験問題等」という欄をクリックします。
◇「学科の試験」という表が出てきますので、それぞれ必要な部分のダウンロードをクリックします。

◇No.11:建築物の構造計算規定に関する文章問題の要点整理
 1.正しい。法20条1項二号イ、令36条2項一号、令81条2項二号ロ、同一号イ、令77条六号:保有水平耐力計算によって安全性を確かめる場合、適合しなくてもよい規
  定に「令77条六号」があり、構造耐力上主要な部分である柱の主筋の断面積の和はコンクリートの断面積の0.8%以上としなくてもよい。
 2.誤り。法6条の3第1項、法20条第1項三号ロ、同二号イ、令81条2項一号イ:建築物の構造・規模等にかかわらず、保有水平耐力計算又はこれと同等以上に安全性を
  確かめることができる所定の基準に従った構造計算を行ったものは、構造計算適合性判定の対象となる。
 3.正しい。法6条の3:適合性判定の対象建築物は、法20条1項二号、三号に定めるもので、同一号に定める60mを超える超高層建築物は、対象としていない。
 4.正しい。令82条の4:条文通り(条文参照)。
 [注意点]  このところ、保有水平耐力計算をした場合に、適用しなくてもよい仕様規定に関する設問が続いています。令36条1項では、計算方法に限らず、必ず遵守し
  なければならない「耐久性等関係規定」の条項が列記されています。令36条2項一号では、保有水平耐力計算をした場合に、適用しなくてもよい仕様規定が列記され
  ています。その部分を、法令集で照合・確認できるようにする必要があります。
   また、適合判定の規定において、法20条1項三号イに該当する建築物は、認定プログラムによるものだけが、適判対象となることへの注意も必要です。ちなみに諮
  問2は、法20条1項三号ロに該当する。

◇No.12:構造強度規定に関する文章問題の要点整理
 1.正しい。令85条1項表(5)項(ろ)欄の固定席、同2項:2,600×0.95=2,470N/㎡以上であればよい。
 2.正しい。令90条表2:国土交通大臣が定める基準強度「F」であればよい。
 3.誤り。令91条表:長期のせん断の許容応力度が「F/30」であり、短期はその2倍で、設計基準強度の「2/30」が正しい。
 4.正しい。令97条表:圧縮が「F」であり、引っ張りは「F/10」なので、設問は正しい。
 [注意点]  許容応力度等の規制値を、法令集の表を参照して回答することに慣れることではないでしょうか?

◇No.13:限界耐力計算をした場合の強度規定に関する文章問題の要点整理
 1.正しい。令36条1項、令65条:鋼材の圧縮材の有効細長比の規定は、「耐久性等関係規定」ではないので、限界耐力計算によって安全性が確かめられた建築物への
  適用はない。
 2.正しい。令36条1項、令78条:梁の構造の規定は、「耐久性等関係規定」ではないので、限界耐力計算によって安全性が確かめられた建築物への適用はない。
 3.正しい。令36条1項、令75条:コンクリートの養生の規定は、「耐久性関係規定」に含まれるので、条文通りに適用される。
 4.誤り。令36条1項、令66条:鉄鋼造の柱の柱脚の規定は、「耐久性等関係規定」ではないので、限界耐力計算によって安全性が確かめられた建築物への適用はない
  ので、設問は条文通りであり、適用し
 [注意点] 令36条1項に規定する「耐久性関係規定(仕様規定)」の範囲を、照合・確認できるようにすることだと思います。

2023年10月27日 by shrs(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士
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知っ得・R5年一級建築士試験「建築法規」問題の要点整理④

2023-10-26 08:42:26 | ビジネス・教育学習
◇R5年(2023年)の一級建築士試験の問題と正答表が公表されています。
◇本ブログでは、R5年の一級建築士試験「建築法規」問題の要点を整理・解説していきます。
◇試験問題を参照したうえで、本ブログの要点整理をご確認いただければと思います。
◇試験問題は「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで確認できます。

◇試験問題の検索は、財団H.P.の右欄に「一級建築士」という窓があり、ここをクリックします。
◇一級建築士の欄がでたら、下の方を見ると、「(1)受験をお考えの方」という欄があります。
◇そして、その下の方にある、「(1-6)過去の試験問題等」という欄をクリックします。
◇「学科の試験」という表が出てきますので、それぞれ必要な部分のダウンロードをクリックします。

◇No.9:内装制限の規制事項に関する文章問題の要点整理
 1.正しい。令128条の5第1項、同一号:2階建ての場合には、壁、天井の仕上げを難燃材料とできる。
 2.正しい。令128条の4第1項一号、同2項、同3項:図書館は、特殊建築物としての規制対象外であり、一般建築物としても、内装制限の規制対象外である「学校等」
  該当するので、「難燃材料」で問題はない。
 3.正しい。令128条の4第4項:耐火構造とした建築物の調理室は、規制対象外である。
 4.誤り。令128条の5第1項、同二号:居室から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井は、準不燃材料以上が要求されている。
 [注意点]  令128条の4において、内装制限の規制対象であるか否かを選択し、対象であれば、令128条の5において、準不燃以上を要求する部分であるかの判断を問うこ
  とになります。例えば、肢問1では、内装制限対象との問題文を受けて仕上げ仕様を判断しますが、令128条の5第1項一号の特殊建築物の居室について、かっこ書き
  で、3階以上の天井部分への「準不燃材」要求なので、2階建てへの規制にはなっていません。肢問2と3は、内装制限の対象外の用途であることを問うていますし、肢
  問4では、規制対象用途の居室への通路について、準不燃以上を要求することを問うています。このように、問題文から、用途・規模、対象部位を念頭に、注意して
  条文と照合をすることが大切だと思います。

◇No.10:建築設備に関する文章問題の要点整理
 1.正しい。令129条の2の4第1項七号ハ:条文通り(条文参照)。
 2.正しい。令129条の13条の3第4項(昇降路)、同3項四号(乗降ロビー):条文通り(条文参照)。
 3.誤り。令126条の3第1項四号:「排煙口には、手動開放装置を設けること」と規定している。
 4.正しい。令126条の2第1項ただし書き1号:設問の建築物(共同住宅で200㎡以内に区画されたもの)は、ただし書きで排煙設備を設けなくてもよいとしている。
 [注意点]  何処に規制の条文が記述されているのか、法令集(政令)の目次を参照して、その場所を見つけ出す作業に慣れることではないでしょうか?例えば、建築設備
  の政令は、第5章の4になりますので、法令集で「第5章の4建築設備等」の目次を見て、肢問1であれば、配管設備の構造を聞いてきているので、令129条の2の4を開
  き、条文を追ってゆくと、「第七号ハ」の末尾に、大臣認定を条件としている記述を見ることができます。このようにして、条文を見つけられれば、容易に回答でき
  る内容だと推察します。
   また一級建築士試験の特徴ではあるのですが、肢問3と肢問4については、異なる質疑内容の部分を問うてくる場合があり、本問も、排煙設備の部分を問うていま
  す。排煙設備の構造の規定では、令126条の3第1項四号において、排煙口への手動開放装置は、基本条件としており、排煙設備設置基準(令126条の2)のただし書きに
  おいては、除外条項が記述されています。
   このように、政令の条文を探す、クイズ問題のような肢問が出題される傾向がありますので、法令集で条文を確認する癖付けは、大切だと思っています。

2023年10月26日 by shrs(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士
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知っ得・R5年一級建築士試験「建築法規」問題の要点整理③

2023-10-25 08:17:24 | ビジネス・教育学習
◇R5年(2023年)の一級建築士試験の問題と正答表が公表されています。
◇本ブログでは、R5年の一級建築士試験「建築法規」問題の要点を整理・解説していきます。
◇試験問題を参照したうえで、本ブログの要点整理をご確認いただければと思います。
◇試験問題は「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで確認できます。

◇試験問題の検索は、財団H.P.の右欄に「一級建築士」という窓があり、ここをクリックします。
◇一級建築士の欄がでたら、下の方を見ると、「(1)受験をお考えの方」という欄があります。
◇そして、その下の方にある、「(1-6)過去の試験問題等」という欄をクリックします。
◇「学科の試験」という表が出てきますので、それぞれ必要な部分のダウンロードをクリックします。

◇No.6:耐火建築物等の防火規制に関する文章問題の要点整理
 1.正しい。法60条、令136条の2第一号;準防火地域内で延べ面積が1,500㎡を超える設問の建築物は、耐火建築物又は延焼防止建築物が要求されている。なお、階数
  の規定については「地階を除く階数が4以上のもの」としているので、この部分については、規定には当てはまらない。
 2.正しい。令108条の3第2項一号:設問の記述は、耐火建築物の主要構造部に関する耐火検証法の技術的基準である条文内(令108条の3第2項一号)の「Qr」の規定の説
  明記述である(条文参照)。
 3.誤り。法27条1項一号、別表第1(い)欄(ろ)欄(3)項、令115条の3第二号、令110条第一号、同二号:図書館は令115条の3第二号により、別表第1(い)欄、(ろ)欄に該当
  する、耐火建築物等としなければならない特殊建築物であり、令110条に基づく技術的基準により、主要構造部を特定避難時間に基づく準耐火構造(一号)、若しくは耐
  火構造(二号)としなければならないと規定しており、耐火構造に限定していない。すなわち、「耐火建築物としなければならない」という記述は、誤り。
   なお、両技術的基準共に、延焼の恐れのある外壁には防火設備(20分遮炎性能)が要求されている。
 4.正しい。法27条1項一号、別表第1(い)欄(ろ)欄(4)項、令115条の3第三号、令110条第一号:地上3階建ての物品販売業を営む店舗は、耐火建築物としない場合、令
  110条一号に該当する、特定避難時間に基づく準耐火構造(別表第1の耐火建築物等)の建築物とする必要があり、設問の記述は正しい。
 [注意点]  法60条の防火地域等の集団規定における防火規制と、法27条の特殊建築物という用途からくる単体規定における防火規制の混合問題です。法60条の延焼防止
  時間、法27条の特定避難時間の概念の把握を問うていると思います。問題文の「耐火建築物等」と、「等」が記述されていることに注意が必要なのかもしれません。

◇No.7:避難施設の防火規制に関する文章問題の要点整理
 1.正しい。令122条2項:条文通り(条文参照)。
 2.誤り。令121条1項三号かっこ書き:令121条1項三号かっこ書き内で、「かつ」有効なバルコニー等を要求しているが、設問には「設けない」としているので、耐
  火構造として第2項の緩和(100㎡を対象とする)の適用はなく、2方向避難の計画としなければならない。
 3.正しい。令121条4項カッコ書き、同一号、令121条1項四号、同2項:階数が3で延べ面積が200㎡未満の建築物の避難階以外の階を「特定階」と定義しており、令
  121条4項において、間仕切壁、防火設備で区画されている場合には、第1項の規定(2方向避難)を適用しないとしている。
 4.正しい。令129条3項:条文参照。
 [注意点]  避難施設に関する問題は、法121条の2方向避難に関する規定は、これまでも重要事項として出題されています。肢問1と肢問4が、条文参照で理解できると思
  いますので、肢問2と肢問3を吟味することになると思います。ナイトクラブを用途とする建築物(令121条1項三号イに該当)は、かっこ書きの緩和適用には、「かつ」
  という表現で、避難上有効なバルコニー等を要求しているので、設問で設けていないということは、緩和適用外となる。また、肢問3について、「特定階」の定義
  は、令121条4項かっこ書きで定義され、階数3以下で延べ面積200㎡以下の、法27条1項において、緩和対象としている建築物であり、令121条4項において、2方向避
  難の規定緩和対象となる。ということで、令121条(2方向避難)の重要性は理解できると思います。

◇No.8:仮設建築物等に関する文章問題の要点整理
 1.正しい。法85条2項、法35条、法85条3項:法35条において、特殊建築物、及び一定規模以上の建築物への避難施設の規定があるが、法85条2項において、設問の建
  築物の場合には、それらの規定を適用しないとしており、また、工事完了後の手続き規定に関しては、条文通りである(条文参照)。
 2.正しい。法85条6項:適用しない規定に、内装の制限に関する規定(法35条の2)が含まれている。
 3.正しい。法85条1項一号:この規定の適用を受けない建築物は、防火地域内のものであり、準防火地域内のものは、建築基準法令の適用除外に該当する。
 4.誤り。法85条6項、法35条:適用しない規定の中に、排煙設備に関する規定を定義する法35条は含まれていないので、排煙設備に関する規定は適用される。
 [注意点]  法85条の規定について、適用条項であるか否かを、法令集の条文で、見落としのないように、焦らずじっくり参照する必要があるということだと思います。

2023年10月25日 by shrs(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士
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