振り込め詐欺の被害に遭ってるんじゃないかと疑われる女性を知っているのにどうすることも出来ず、連絡方法も無く、手をこまねいて見ているしかない日が過ぎて、忙しい年末年始も過ぎ、店内がやっと平日の落ち着きを取り戻してきた頃です。
私は遅番で入り、その日早番のAさんと引継ぎの話をしようとしていました。
そこへ、偶然、その女性が館内を外に向かって歩いて行くところが見えたんです!
「ああー!あの人!!」
って、私は、何を言っているのか解らないでいるAさんを残してその女性に駆け寄りました。
「よかったあー!ずっとお会いして話さなきゃって思ってたことがあるんです!」
そのお客様は、不意に声を掛けられたものだからきょとんとしていましたが、私が早口で説明すると、すぐに笑顔になって、私がお茶屋の店員だということを思い出してくれたようです。
私は矢継ぎ早に、この前のお話があまりにも振り込め詐欺の話にそっくりだったものだから、そのことを話さなくてはとずっと心配していたことを伝えました。
「あらあ、そうだったの?ごめんなさいね、私の話し方が悪かったものだから・・・あれは間違いなく私のバカ息子でね、昔から金遣いが荒かったのよ(笑)」
ご家族の中でのことならいいんですけどね・・・本当に大丈夫ですか!?電話番号が違っていたりしませんか!?
「大丈夫、大丈夫(笑)息子だから心配しないで。それに私、そんなのに引っかからないから(笑)娘には話せないから内緒にしてるんだけどね」
ちょっとお節介かと思ったんですが、心配になっちゃいまして・・・
「ありがとうねえ。心配してくれる人がいるってうれしいわあ」
・・・どうしても息子さんだと言い張るので、それ以上は突っ込んで話すことが出来ず・・・
というか、そう聞いてしまっては、息子さんか娘さんに電話して訊いてみてほしいとも言えず。
またいつでも来てくださいねえって言うのが精いっぱい。
情けないけれど、それ以上何も言えず。
ただ、今まで黒に近いグレーな案件だと思っていたのが、かえって真っ黒になりました!
私は仕事に戻ると、事務局に書類を届けるついでに、このことを報告に行きました。
報告を聞いた事務局のSさんも、この件は黒だと感じているようでした。
でも、
「本人がそう言うんなら仕方ないわよねえ・・・放っておくしかないわよねえ」
って言われました。
見過ごすしかないんでしょうかねえ・・・
そして、先日も、今度はこの女性のほうからお店に立ち寄ってくださり、お茶を買って行かれました。
私は試飲として冬限定のお茶をお出しして、しばらくお話にお付き合いしました。
年末の一件以来、振り込みの話は無くなっているようでした。
ちょっと安心。
話の中で、息子さんは現在、広島のほうにお住まいであることが判りました。
ずいぶん遠いですね。
今は背筋もピンと伸びてお元気で自由に独り暮らしを満喫されているようですが、何かあった時にどうされるのかなと、他人事ながら心配になってしまいました。
せめて、うちの店に買いに来られる時には、様子を見守っていこうかなと、話をしながら思いました。
何もできることはありませんが、様子が変わったような時には、事務局と連携して手を差し伸べられるように。
そんなことを考えてしまう一件でした。
でも、心のもやもやは晴れません。
MMさんに話したら、
「それ、間違いないやつ~!!」
って、やっぱり事件性があると思ったようでした。
やれやれ。