術後10年の定期検診は 年明けになった。
今後 再発があったとしても
大変な事には ならないだろうという自信がある。
さほど 悪性度の高い癌では なかっただろう、
という想像が、自信の根拠だ(弱い? 笑)
ひとつの節目をクリアする感覚で
ひとつひとつの検査を受けていく。
抜き残しの球根から 芽を出したチューリップ。
花は咲くかな?
いつもと同じ、と思っていたら、
レントゲンとか、
いつもより 検査が多かった。
先生、最初に言ってよ~。
苗として購入した ミニハボタンの寄せ植え、これで1ポット。
お腹のエコーと胸のエコー検査が いつものように終わり、
いつものように 主治医から結果を聞く。
検査前に 主治医は
「10年ですよ~。」
と言った。
「10年間、よく 頑張りました!」
と言ってくれた。
頑張った記憶は さらさらないが、
そう言われると 頑張ったかもしれない、という気になってくる(笑)。
主治医は 私と同時期に
リュープリン(または ゾラデックス)の注射をし、
タモキシフェン(商品名ノルバデックス)を服用していた。
(前立腺がんだったようだ。)
その主治医が、
「10年は、長いよね~」と言う。
「ボクも 〇〇個、薬を飲み忘れた」
などとも言う。
私などより ずっと少ないんだけどね(笑)。
「10年は、大変だよ~。」
とも言う。
主治医も 10年、飲み続けたのだろうか?
私は 9年で止めたけどね(苦笑)。
検査の結果を告げる時、
主治医は いつものように
「あれも大丈夫、これもO.K.」
と言う。
数値が書かれている部分を覗き込むと、
いつものように、
所々に 「数値が高い」を意味する【H】が
入ってるんだけどね(汗)。
もちろん、いつものように、
中性脂肪とか コレステロールとか。
(入院前は正常値だったのに、
突然 異常値になったんだよ、ホントだよ!)
要は、気にするほどの高い数値ではない、
と言いたいのだろう、
と 薄笑いを浮かべながら想像している私。
そして 主治医は 突然 「6割」と言い出す。
あなたが こうしていられる可能性は、6割だったの。
あなたは その6割に入ったの。
6割の中に入ったんだから、あなたは運が良かった。
6割だったんだから。
あなたは 運が良かったんだ。
そこで いつものように(?)言葉を失う私(苦笑)。
そうだったの?
知らなかったよ!
そうと知っていたら、
もっと真剣に「死」とか「生」とか
もっとちゃんと悩んだのに!(爆)
「運が良かった」と繰り返す主治医。
私は その「6割」が 何なのか、
かすかに疑問に思ったんだけども、
確かめる事もなく、
いつものように
「は~~。」
「はい~。」
という気のない返事をして 帰って来てしまった(笑)。
それからクリニックに行っていないし、
電話して確かめてもいないけれど
(これからは 年に一度の検診になる)、
想像するに、6割というのは、
現在の私のように「転移」や「再発」なしで暮らしているという、
そういう確立なのだろうと思う。
「無病生存率」。
私は 腋窩リンパ節に複数の転移があったので
(センチネルリンパ節生検の結果、
転移があったので 腋窩リンパ節郭清をした)、
無病生存率が低いのは 承知していた。
ゾラデックスの注射を何年続けるか悩んだ頃や、
治療薬を何にするか悩んでいた頃には
ザンクトガレン乳がん国際会議 とか
サンアントニオ乳癌シンポジウム とかの報告を
懸命に探して読んで
自分が当て嵌まりそうな辺りを類推していた。
あまり良くないな、と思ったので
治療や薬の選択を決めてからは
思い出さないようにしていたので(爆)、
すっかり忘れていたのだった!
丈夫で 手が掛からなくて 長く花が咲いてくれる、と
知人が絶賛していた ハナカンザシを 植えた。
転移しないための治療を続けて
転移しなかったのだから、当然のはずなのだけれど、
転移したからと言って 努力が足りなかった、
という訳ではない。
運が、良かった。
それだけの事なのだと思う。
私も絶賛しようと思う。
これからも
「生」と「死」について
少しは 考えていこうと思う(笑)。
それから、「宗教」についても。
食材になる前に、今年も野鳥に食べられる青菜。
現在、
「どこまで続く泥濘(ぬかるみ)ぞ」
という気分で 治療を続けていらっしゃる方もおいでだろう。
私は 子育て中に よく「どこまで続く・・・」と思っていた。
あるいは 介護で奮闘中の方にも
道路や公園のゴミ拾いを実行中の方にも
同じように感じる時があると思う。
けれど いつかきっと
夜は明ける、晴れる日が来る、春が来る、
と 伝えたい。
それは 多分「運が良かった」から来る「朝」や「晴れ」や「春」では、
ないと思う。
努力を重ねても 実らない夢もあるが
「何か」が残るよ、とも 伝えたい。
その「何か」ほど
人にとって 大事なものはないんじゃない?
と思うから。
「運が良かった」から得られるものも
多分、いっぱい、ある。
だから 私のこの運を 皆さまにも 分けて差し上げたい。
分けたからといって 減るはずないじゃん、と思う。
私、5億5千万長者を目指してみようかな(笑)。