高名の木登りでは珍事件があった。
平成10年8月18日 午前9時半、自宅を出て早足で駅に向かっていた。
船橋港を左に見て船橋橋手前に来た。
スズハルという釣具屋があり、その手前の道路対面の雑木林から声がする。
見ると樹間から人間の顔が逆さま覗いていた。
頭が地面下に向けている。
何かこちらを見て叫んでいる。
当時雑木林側には舗道がなく車の往来が多く近寄らない。
雑木林に入ると老人が頭を下にして木からぶら下がっている。
事態が飲み込めず呆然とする。
息も絶え絶えで木から落ちた!
見上げると片方の足が木の又Y字型に挟まっている。
足が挟まったY字の枝
老人「全く動けない、はずれない」
顔が変色している。
私は山登りはしても木登りは小学生の頃しただけだ。
私はゆっくり慎重に老人の足が挟まったY字の枝まで登った。
しかし 左手で枝を掴み、右手だけで老人の足を引き抜くには無理だった。
老人は墜落してもかまわないと言う。
それではと、枝に両足を踏ん張り、両手で瞬間引っ張った。
抜けた、しかし老人は落ちていく、片手で足を掴むが
持ちきれない、ずるずる二人同時に地面に落ちた。
老人は目を閉じ動かなかった。
この状態の時は抱き起こしたり、ゆさぶったりせず
静かにに見守り落ち着いたところで声をかける。
上半身をゆっくり起こす。
会社に頼まれて送電線に木の枝葉が触れて危険なので伐採していた。
会社! 逃電かな?聞きそびれた。
老人「年取った、ダメだ」
松の木のてっぺんで枝葉を切っていたが落ちて
違う木に掴まったが折れて、足が枝に挟まってずーっと
そのままだった。老人は私に名前等を尋ねていたが
体に怪我がないのを確かめると駅に向かった。
11時までに警察に出頭?しなければならない。
最寄駅に着いたのは11時少し前、
駅から埋立地の砂埃道路を走った。
この警察署に徒歩で来る人は殆どいない。
警察署が見えてきた、すると警察署門前で警備する警察官が
私を見て盾と警棒を持って走ってきた。
「止まれ!何の用件だ」?
この場所は空の安全や政治的に問題があって、いわゆる
過激派の行動を警戒していた。
用件を言うと敬礼して「失礼しました、ご案内します」
署長室に入った。署長が出迎え
感謝状贈呈式が始まりカメラフラッシュが光った。
11時より私への表彰式だったのだ、理由は言わないが
私のグレーのスーツはズボンは泥、上着も泥と葉の擦れた
跡があった。
前日、雨が降り落下で地面に着いた時に付着した。
署長に出来事を話すと「それは人命救助です」
発見が遅れると鬱血死になります。
あの雑木林の先に亡くなった友人住んでいたマンションがあり
雑木林の先の護岸で友人と一昨年ハゼ釣りをした場所だ。
もう、お前とハゼ釣りは出来ないのだなと、今日雑木林を通り
お前が住んでいたマンションの郵便受けのチラシを整理した。
2009年8月23日雑木林の先でハゼ釣りをする友人