9月5日(水)朝8時半、水門を抜け、船溜まりを通って高速道路高架下にきた。
日陰で浜風が通り過ぎる高架脚台に老人が腰掛けている。
老人がこちらを見て叫んでいる。
聴き取れないいので老人に近づいた。
歯抜けだがはっきり聞こえた。
「あんた!太っているな、デブだな」面食らった。
通り過がりの人に、しかも初対面の人間に失礼、無礼千万な言動。
私は一瞬言葉に窮した。
私が戸惑っているのを気にもせず、老人は喋り続ける。
「おらは毎月28万円の年金もらっている、国民年金と厚生年金合わせてだ」
それに、補償金数千万円、70坪土地二つもらったんだ」。年齢を聞くと82歳だと言った。逆に質問した。
「私幾つに見える」。「そうだな、俺の倅と同じくれーかな」?
「倅何歳だ」!
「51歳」
私はニンマリと、そうか!と答える。
その数に15+と私の年令だ」
歯抜け爺さん、隙間だらけの口に漁港のハエが飛び込んで来そう程暫く開けていた。
爺さんに言った。
「デブが良いのは顔や体の皺を伸ばしてくれることだ。
デブ止めたら魔法使いの老人に戻って
骸骨に皺だらけの皮が貼りついただけになってしまう」
爺さん 元漁師で役所に15年勤めたという。
役所で何の仕事していたか尋ねると。
「ゴミ拾い」
漁業権放棄の代償として清掃の仕事を役所から与えられた。
「今では何にもする事ないし、女遊び、ギャンブルもせず
時折 、近くの居酒屋で飲むだけだ」と話す。
このまま会話を続けると爺さんの冥途行きまで、つき合をさせられそうなので
「じゃ!又ね」と退散。
駅前に来ると若者の群れが店前広場を占拠。
スロットマシンが新しくなったらしい。
オープン前の席取りだ。
私は団塊の世代だが、学生時代パチンコしたが
平日 朝に並び待ちはしなかった。
職も金も無い若者がマシンとの対話。
友人の息子が定職に就かず、スロットの儲けと
俺の年金で生活していると嘆いていた。
金ある爺さんも金無し若者も、陽盛りの路上で孤独なのだ。
政治経済は底無し沼に落ち込んで這い上がれない。