馬鹿も一心!

表題を変えました。
人生要領良く生きられず、騙されても騙されも
懸命に働いています。

あんた、太ってるな!(2)

2012-09-08 15:52:07 | 日記

9月7日(金)漁港を抜けて高速道路高架下を通ると。

先日の爺さんが座っていた。

手で挨拶すると何か言っているようなので近づいた。

「あんた!どう見ても40代にしか見えねー」

私がからかわれているのか?

歯抜け爺さんが少し認知症なのか?

判断出来ない。

 

私は問うた。

「ほら、船溜まりには引退した漁師がかたまって

話しているじゃねーか」

「あっちに加わらないんか」?

「あいつら70代だから話が合わない」

82歳の爺さんにとっては70代の若手?爺さんは苦手らしい。

 

「50年前 魚業権放棄の見返りに5千万円もらった」。

「75坪の土地三つもらった」。

「親方(網元)なんぞ億の金もらった」。

「死んでしまったら金幾ら有っても持って行けねー」

「美空ひばり、石原裕次郎はお金たんまり持っていても

若くして死んじまった」

 

爺さんは話し続けた。

 

※       1969年、工業化を勧める都市近郊の漁港を埋め立てた。

漁民1.232人に総額185億円が支払われた。

競馬場、オートレース場、ソープ、風俗店が賑わい。

ヤクザが進出。

放蕩の末夜逃げする漁民もいた。

現在の金に換算したらすごい?

歯抜け爺さんは32歳で大金手にした。

中国に「順口溜」という文学がある。

http://blog.goo.ne.jp/kikuchimasaji/e/fea253aaf0c3b51fd33c90dd26cb5878

「海で魚獲る人貧乏人、海を売る人金持ち」。

地味に役所が世話してくれたゴミ拾いの仕事をして

年金を28万円もらい 日がな漁港に佇んでいる。

 

爺さんの装いが派手なので聞いた。

スパイダーマンのTシャツは孫のお古。

ズボンは娘のお古。

サンダルだけが自分のだと言う。

 

駅前にあるデパートの店員が東京から転勤すると

店内に下駄履きスタイルの無頓着な服装の老人達が

いるので、馬鹿にして横柄な対応してしまう。

しかしこの地域では一番の富裕層なのだ。

そのトラブルが多発したため

地域住民の特性を店員に教育させる。

 

爺さんは話続ける。

「昔は 魚が一杯獲れた、船に積み切れなかった」。

「今では、ほんの少ししか獲れない」。

「貰った土地も値下がりしてしまった」。

「だがよ~ 血圧が少し高いだけで後はどこも悪くねー」

 

今日の爺さんの語りはこれで打ち止めにして駅へ急いだ。

 

歩きながら振り返ると、爺さんはぼんやり私を見ていた。

 

道すがら中国小説「射英雄伝」の一説を思った。

 

人生に100歳なし、幼き時は物知らず、年老いては体弱く

ただ残るは青春の数年のみ、名誉と富貴に骨身けずっても、

やがてはみな白髪の老人」