先日の土曜日。
父に店番をお願いし、結城紬を学ぶため大阪まで行ってまいりました。結城紬と言っても色々ありまして、
女性が唾液を使って手で紡ぎ地機で織る本場結城紬はなかなかお目にかかれません。
ましてやその職人さんやその作業をする姿を見る機会など関西では滅多にありません!
今回このようなご時世だという事もあり、各工程の職人さんたちの時間ができ、大阪まで来てくださいました。
立派な建物大阪市中央公会堂
緊急事態宣言中でしたが、大阪市の強い要望で開催されたそうです。
その分何度も検温もされましたし、アルコール消毒も何度もしました。
入ると長~い衣桁に結城紬の反物が
これは単衣などに最適な結城ちぢみだそうです。
結城紬のちぢみなんて珍しいですよねー。
そして工程見学へ。
繭約2200個。
これが着物1反分(約13m)だそうです。
その繭を煮て柔らかくしてから、ぬるま湯の中でお蚕さんを取り出し、手の指で広げて真綿にします。
台の左側が柔らかくなった繭。右側が繭を広げた後の真綿になります。
ちなみに中から出てきたお蚕さんはミイラのように真っ黒でした。
白いと思っていたのでちょっと衝撃的でした
真綿から糸を紡いでいきます。
今回はコロナの関係で水で紡いでおられましたが、本来は唾液を付けながら紡いでいかれます。
水だと乾燥するとまた真綿に戻ってしまうそうです。
年齢とともに唾液の性質も少しずつ変わるそうで、若い方のほうが柔らかく、高齢の方のほうが硬い糸になるそうです。
ですので硬い糸は経糸にするなど使い分けているということでした。
こちらができあがった糸。
触らしてもらったら、とても軽くてふわふわ~
結城紬が暖かいと言われるのは、1本1本優しく人の手で紡がれて、糸にたっぷり空気が含まれているからなのですねー!
ちなみに1反に必要な糸は約3万7000m。気の遠くなる作業です
その後、柄が書かれた着物専用の方眼紙に合わせて糸に墨打ちをし、木綿糸をくくっていきます。
細かい柄になればなるほどくくる箇所は増えます。
また色数が増えれば増えるほど、くくっては染めくくっては染めの繰り返し。
間違えると柄がつながらなくなるのでせっかく出来上がっても正規品ではなくなってしまう。
これも気の遠くなるほど大変な作業です
ちなみに糸が黄色いのは糊がおかれているから。
くくった箇所の染めが終われば、この糊をとって最後に地色を染めます。
2反分一緒にくくっているので、同じ柄の地色違いができるというわけです。
その染まった糸を使って地機(じばた)で織っていきます。
経糸のテンションは職人さんの腰で調整されています。
機械で張りっぱなしでするより糸が切れにくいのだとか。
この会場は乾燥していたので、途中何度か切れて直しておられました。
それぐらい繊細なんですねー。
だって優しく手で紡がれた糸ですもんねー
そしてこちらが、様々な職人さんの手によってようやく完成した本場結城紬の反物たちです。
ふわっとした感じ。
画像でも分かっていただけるでしょうか?
ちなみにこの雪輪柄の反物は、先ほど画像に写っていらっしゃった地機の職人さんが自分で墨打ちして織った結城紬だそうで、とてもレアなものだそうです。
というのもこの雪輪の白い部分。
通常は経糸の上糸が白で下糸は色がついているのでぼやっとした白になるのですが、これは上糸も下糸も白の柄をおいてあるのでパキッとした真っ白の雪輪になっているそうです。
ただし経糸の上糸と下糸の柄を合わせて織るのは相当難しいそうで、普通は輪郭がぼやけてしまうそうです。
このように輪郭もぼやけず真っ白の柄を織ることのできる職人さんは、この職人さんだけだろうとの事でした。
まさに熟練の技です
きっと「こんなの作ってみたい!」という思いから出来た柄なんでしょうけど、それを実現させてしまう所がスゴイです
この技が継承されるべきだとは思いますが、現在の価値観では難しいかもしれませんね
でも当日はたくさんの着物姿の方がおられました!
もちろんこれほどの手間暇のかかった反物ですので、それなりのお値段がするのは当然の事。
手が届かないという方も多いとは思うのですが、まずは日本にはたくさんの素晴らしい技術や生地があるという事を、もっと知ってほしいですよね
それが一番似合うのは日本人だという事も気づいてほしいです
こちらが本場結城紬の商標です。
地機の横に各社のロゴの判子が押されていて、どこの織元さんか一目瞭然です。
現地に着いたときにダンディな男性とステキな着物マダムに撮っていただきました。
大阪へは1年以上ぶり。
高いビルを見るのも久しぶりでした。
本場結城紬。
こんな色のありますか?など
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