5/29/2020 4,700円 #300
言いたいことが山ほどある。京都市内でどこに泊ってもいいのなら、街はずれでもいいのではないか。というか、何も四条の人混みにもまれなくても、外側の方が安全?嵐山は名前は聞いたことあるが、どんなとこか知らない。よし、ここにしよう。某恣意的旅行会社にお伺いを立てる。(娘)「まぁいいでしょう」今般は旅行も許可制だ。そして、泊まるホテルはここだ!自分には地図を見てホテルを当てる才能があると思っている。下関をよく知らない時にあまたある中からグランド・ホテルを引き当てた。だから多分ここがいい。もう街中の狭いホテルはいやなんだ(先週嫌だったのか)。
初めて嵐電に乗り、九相図で有名な帷子ノ辻へ。嵐電は不思議な鉄道だ。最初は普通に電車っぽく線路を走っていたが、途中から車道に出てしまった。そのままトラックと一緒に4車線の道路の中央を走り続け、目印もないような場所に停車。数人乗ってくる。この人たちは、どうやってここまで来たのだろう。駅名はコワイのが多い。一番グッと来るのが「蚕ノ社(かいこのやしろ)」。その名前の響きが一番恐ろしかった。夜に古い列車から一人で降りて、駅のホームにオシラサマがうようよ居たらどうしよう。ウホホホ。ゾワッゾワッ。
肝心の帷子ノ辻は、今は普通の交差点で車の交通量も多く、とても自然分解をじっくり観察できそうな環境にない。せっかくだからと言っても、いつまでも辻の雑踏に立って交差点を眺めているわけにもいかないから、角のラーメン屋に入り担々麺をすする。後で聞いたら、生ラー油だか何かの元祖の店だそうで。
終点嵐山に着き、ぶらぶら歩いているうちに長い橋を渡った。今のが渡月橋だったのか。これが全部木製だったら、雨のたびに流れるだろうが、基礎はコンクリート製で車も通れる。広い川だ。山がすぐそこまで迫り、嵐山と渡月橋、2つの名所が同じ場所にあるのを知った。今までずっと、京都のどこか別々の場所にバラバラにあるのかと思っていた。
ホテル眺望今までで最高!渡月橋しか見えない。2重窓も網戸も全部開けると川の音がゴゥゴゥ聞こえる。火事になったら目の前の川に飛び込めばいい。部屋広い。バスルームきれい。アメニティー今までで最高の式部調。白いスポンジで洗いまくる。やはりこの高野豆腐のようなのが楽しい。エクストラ枕は本物の西陣織。冷蔵庫は最新のペルチェ方式。しかしエレベーターがないorz
その代わりにフロントの人が荷物を運んでくれる。なぜないのかわからないが、そのホテルが建った時には確実にエレベーターの技術はあっただろうに。広い階段ルームを改装してエレベーターにすればと思うが。デスクの引き出しを開けたら、80年代風黒ヘビ革の卓上ミラーがあった。こういうのは先輩の家で見たぞ。宿帳に記入のみ。職業欄があったが、どこまで人は細かく書くのだろう。歌手とか、学生とか、大統領とか。そうでないと、みんな従業員か自営業のどちらかにならないか。
用事を済ませ、5時頃ぶらりと橋を渡り駅の方へ。軽くうどんでも食べよ~っと。(店)「ガラガラ。ピシャッ」どうしたことか全部店じまい。昼間あれだけ明るかった通り全部が(店)「閑散」どどどこか1軒でも。(シャッター)「シーン」(きの)「・・・。」そうだ、さっき橋のたもとで飲み物買った店(板)「ガタガタッ」閉めた!
じゃあ、ぶらぶら歩きまわって散歩してたような人達はみんなどこでご飯を食べるんだ?見てると三々五々山の方へ消えていく。そっちにはホテルなどない。あっちに何があるんだ?阪急の駅?駐車場?釣竿をしまう高校生2人。そういえばみんな妙に手ぶらだが荷物は?もしかして全員近隣の人?ええっ!?
とりあえずホテルの方に逃げよう。と思って歩き出したが、向こうの方は明かりすらもない。あてどなく彷徨い歩く。何なんだこの悪夢のような暗闇は。アァ向こうに一軒だけ明かりが灯ってOPENの文字が!手打そばだって(泣)。怪談のムジナのようになってはいけないので(きの)「やってる?ねぇここやってるよね」よく確かめてから素早く入る。1杯のまばらかけソバの、この温かさよ。
部屋に帰ってTVをつけてみた。京都の番組ばかりをやっている。CMも京都信用金庫の社員が、鴨川沿いで踊っている。天気予報は市内と違って奈良と和歌山ばかり。通販の再放送をやっていたが、果たしてその商品は今も売っているのだろうか。今週もNHKの若様は、無事に現代の生活になじみ高校の制服などを着ている。現代に来て自分の家が滅んでいたことを知る。これはショックかもしれない。うんうん。若君の兄上が相当病んでいることがわかった。
夜遅くに渡月橋の西の空に月が出てきたが、なぜか途中で消えた。雲はないのに。渡月橋というくらいだから、月が渡るのかな。時おり車が橋を渡ってくる以外は、川の流れる音しか聞こえてこない。窓際のコーヒーテーブルに座って、いつまでも外を眺めていた。ふと思い立って嵐山まで来てしまった。異世界のようだが、明日ちゃんと帰れるだろうか。
昼間、渡月橋を渡っていた時に、頭の中で「Meant to be」という曲が鳴っていた。カントリーがR&Bに昇華したような現代風の曲だ。歌詞の「もしかすると、もしかするかもね。だからとりあえず、ちょっと一緒に行ってみようか」みたいな控えめな誘い文句が微笑ましい。それを聞きながら、愛猫の遺骨をバッグに忍ばせて一緒に旅をしている。誰もいない橋の上は、夢に出てくる景色のようだった。
翌日は朝から阿倍晴明の墓参り。竹林視察にも人はいなかった。こんなうっそうとした林なら、家に伝わる京都の昔話に出てくる「西竹林の一足鶏」という妖怪も、いるだろうと思える。帰りに嵐電の駅で、頼まれていた漬物を買い、きなこソフトクリームを食べながら電車を待つ。足湯はやってない。
窓口で(きの)「切符を売ってくれ~」(駅員)「そのSuicaで払えばいいでしょ。」わかってない。(きの)「違うんだ。嵐山って書いた切符がほしいんだ~~」だだをこねまくる。(駅)「はいはい(苦笑)駅に着いても渡さないように。」的を射た指摘を受け乗り込む。四条大宮で改札済のスタンプを押してもらい、ご満悦でバスに乗り、すぐうちに着いた。
嵐山は近かった。今まで観光客がいっぱいと聞いて行こうとも思わなかったが、また落ち着いて来よう。後日「300(スリー・ハンドレッド/スパルタの映画)」を見たのは、部屋番号#300に泊ったからか。
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