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to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

空気人形

2009-10-03 23:58:36 | the cinema (カ行)
私は「心」を持ってしまいました。
持ってはいけない「心」を持ってしまいました。

あなたの息で、私の カラダを 満たして…

製作年度 2009年
上映時間 116分 映倫 R15+
原作 業田良家 『空気人形』(小学館刊『ゴーダ哲学堂 空気人形』所収)
監督/脚本 是枝裕和
出演 ペ・ドゥナ/ARATA/板尾創路/高橋昌也/余貴美子/岩松了/星野真里/柄本佑/寺島進/オダギリジョー/富司純子

川沿いの古びたアパート。ファミレスで働く冴えない中年男、秀雄(板尾創路)が優しく語りかけている相手は、空気人形のラブドール(ペ・ドゥナ)。ある朝、その空気人形が心を持ってしまう。秀雄が仕事に出かけると、メイド服を着て外へ飛び出す空気人形。見るもの全てが美しく、驚きにあふれていた。やがてレンタルビデオ店に辿り着き、店員の純一(ARATA)とめぐり会う。その店で昼間のアルバイトを始めるようになった空気人形は、次第に純一に心惹かれていくのだが…。

え・・っと、これは、多少の予備知識を持って観に行かれたほうがいいかも知れません。
「誰も知らない」が良かったとか、「歩いても歩いても」で好きになったからで行かれると、私のように(笑)戸惑います。
明らかに前2作とは違った雰囲気、描写なんですよ。映倫 R15+も目に入らなかった
いつものようにチラシもあんまりちゃんと見ないで行ったもので、軽くショックを受けるところから始まり、
でも、全体にはやはり是枝監督の人間をみつめる目の優しさを感じた作品でした。
以下、ネタバレを含みます。

    ↓
    ↓

舞台は日本のある川沿いの街。
サエナイ中年男は、彼女に仕事のグチをこぼしながら食事をし、風呂に入り、同じベッドで眠りにつく。
絶えず一方的に喋りながら、彼は楽しそうだ。
しかし、朝になりゴミを出し、フツウに1日が始まると、、彼女は初めてのお散歩に出かける。

まずアパートを出たところのゴミ集積所。
そしてこの町に住む色んな人の様々なシーンと出会っていく。

おそらくは帰ることのない母親を待つ小学生とその父親。
ニュースで知った事件をメモし、自分が犯人だと交番に名乗り出る老婦人。
その彼女の話に毎日付き合う暇な交番勤務のおまわりさん。
そして街に出ては大量の食品を買い込む食べ続ける拒食症の女。
また、老いていくことを受け入れられずにもがくハイミス。
老いて死を意識しながら時を過ごしている元教師の老人。

空っぽのヒトがいる町・・・、
そしてとあるレンタルショップで最後の出会いは訪れ―。

純一に一目で恋をした―。

心を持つことで彼女に訪れる変化。
そして彼女が知りえたこと・・知ることのなかったこと・・・。

純一によって彼女は幸福感を知り、空気入れを捨てる

そして、純一から聞いた、「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」の区別。
自分と似たようなジュンイチ――。

ドキュメンタリー出身の監督らしく、
その虚しさの描写が、露骨にリアルな場面で表現され、
人間とは上手くコミュニケートできない男の日常だとか、
「だれかの代用品」と解っている彼女の切なさが凝縮されています。
そして、ラストは韓国映画ばりの展開に、びっくりします。。。

なので・・・これはデートムービーとしては恐ろしく不向きです
私の前の列に、高校の制服を着た爽やかなカップルがいましたが、、大丈夫だったかな?
ペ・ドゥナは完璧ともいえる演技で、その心情が女子高生にも伝わったならよかったけど
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今日からヒットマン

2009-10-02 23:41:35 | the cinema (カ行)
その瞬間、伝説が人生にヒットした。
34歳、営業マン-受け継いだのは銃と女・・・


上映時間 101分 映倫 PG12
原作 むとうひろし
監督 横井健司
出演 武田真治/星野真里/森下悠里/弓削智久/深水元基/川岡大次郎/黄川田将也/津田寛治

「週刊漫画ゴラク」で連載されている、むとうひろしの同名人気コミックの映画化。
サラリーマンとして平凡な日々を送る稲葉十吉(武田真治)は、ひょんなことから伝説のヒットマン“二丁”の名を継ぐことになってしまう。“二丁”に代わって標的を倒し、彼の女を助け出さなければ、十吉だけでなく新婚の妻・美沙子(星野真里)まで殺されるという。そんな絶体絶命の大ピンチを、十吉は乗り切ることができるのか……?

稲葉十吉は愛する妻とまもなく結婚1周年を迎える、一部上場の食品商社に勤めるやり手の営業マン。
郊外の一戸建てを買い、平凡で幸せな日々を送っていたある日、
彼の出来の悪い子ほど可愛い(?!)部下、山本の不始末をカバーしようとした接待の帰途、
ワルイ状況に遭遇してしまう

自分も負い目がある中で、警察(自首)か、ヒットマンの襲名か、夫婦共に殺されるか?!
一人悩む十吉であったが―・・・
面白かったです~私的にヒット~

真剣に悩むったって、結構おかしな状況下にすぐさま巻き込まれて、
「え"~っ」「そんなぁ~!いやですよー」みたいな(笑)
武田くんこの軽さが凄くいい♪
でもかなりハードボイルドなシーンもあるし、みんなが劇画ちっく

「十吉~~、ねっ」にコロッと惚れたか?巨大なお胸の森下悠里たん(笑)
“二丁”との命がけの愛も観てみたかった気がする。黄川田将也くん、カッコええ

怪しい丸めがねで「毎度♪」のどこまでもアヤシイ「コンビニ」の津田寛治さんもはまり役だし、
だいたい「スーマー」って何語??って思ってたら「スーパーマーケット」略すとマフィアっぽくなる不思議?!
川岡大次郎くん、またヘアがこんなことに(笑)ブルース・リー?
他の皆だって決まってるンだから

似てるよね?
似てるでしょ?

ブツブツいいながら段々とトイレで変身もなんだかアナログ、ヒットマン
一応キメて「二丁」になるんだけど、心はイカレてない十吉がいい♪
原作ではそこそこデキル営業マンが、映画ではきっちりデキル営業マンとして描かれていて、
窮地に陥った時に"営業マン(リーマン)心得"が彼を援けるってところがいい
平凡な毎日の中に、生き残る鍵が潜んでいる真面目に仕事に取り組んできた彼だから出来たこと。
前向きな十吉、「二丁」から開放されてどこか紳士服のCMみたいな爽やかなモデル走りが良かった~

日本の漫画って面白いんだ~って感じる作品でした
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カムイ外伝

2009-09-22 23:59:06 | the cinema (カ行)
生き抜け!
製作年度 2009年
上映時間 120分
原作 白土三平
脚本 宮藤官九郎 崔洋一
監督 崔洋一
音楽 岩代太郎
出演 松山ケンイチ/小雪/伊藤英明/大後寿々花/イーキン・チェン/金井勇太/芦名星/土屋アンナ/イ・ハソン/山本浩司/PANTA/佐藤浩市/小林薫

白土三平原作の傑作コミックを『血と骨』の崔洋一が実写化したアクション娯楽大作。
鉄の意志を持ち、見事な剣の腕前を持つ忍者カムイ(松山ケンイチ)は、おきてにがんじがらめにされた忍びの世界に閉口してそこから抜け出す。かつての仲間、大頭(イーキン・チェン)やミクモ(芦名星)はそんな彼を裏切り者とみなし、執拗(しつよう)にその後を追う。ある日、漁師の半兵衛(小林薫)を助けたことでカムイはその家族に歓迎されるが……。

週刊サンデーはある時期まで愛読書であったのですが(笑)
コチラはビッグコミックの連載で見ていた記憶がある。といっても、もう殆ど忘れていますが。
少女系漫画にはないシリアスドラマに惹きつけられて当時の楽しみでした。
その中の一編「スガルの島」を忠実に映像化した本作。
見所はカムイの得意とするワザの数々。
そして、、抜忍としての孤独と自由への飽くなき闘いの日々―。

まず、世間的には厳しい意見も多い本作品でしたが、私は良かったと思います

ちょっとアレなCGが気になる何箇所かはありましたし、
原作を知らない方に、当時の士農工商以下のなるものが存在していたところの描写が不十分ではなかったかなど、
気になるところもありましたが、
それらのマイナス評価に重きを置かなければ、十分面白い作品でした!

確かに元々の「カムイ伝」を知らなければ、
或いは冒頭のナレーションのみでは、伝わり難い心情描写もあったように思います。
カムイの抜忍となる決意をするに至る描写や、
更に言えばの出である為に、人としての安らぎも希望もないカムイらが忍者になるしか選択支がなかったという現実も、
やや説明不足かも。
そこを知った上で観ると、またこの作品の評価は違うと正直思いました。

               

ツガルとの再会、そして思わず心を通わせる半兵衛一家とのつかの間の安らぎ、
その間も彼を取り巻く孤独感や終わりのない旅への無常なる想い。
そしてまたしてもカムイの心を打ち砕く、追忍の仕業――

個人的に楽しみだった変移抜刀霞斬り、飯綱落し、は文句のないところ
監督が拘ったキャスティングだけに、松ケンのカムイは嵌っていました!
月夜に佇むカムイの姿・・・ただ数秒のその横顔にさえ
果てのない逃亡者としての寂寥感が伝わってきました。さすがです!

すっかりどっぷりで嵌り込んでいた為に忘れていた不動の登場。
伊藤英明さんももう時代劇がすっかり板についていて迫力がありました
小雪も、小林薫さんも本来の味のある雰囲気が活かせてよかったですし、
誰だか解らないくらいに汚されて登場した芦名星、イーキン・チェン、金井勇太くんも頑張っていました

惜しむらくはVFXの点数でしょうか、悔やまれるところですが
物語りも展開もよかったし、俳優陣も文句なしで
私としてはかなり満足の作品でした~
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グッド・バッド・ウィアード

2009-09-03 23:47:51 | the cinema (カ行)
ムチャクチャデ
イイノダ!

製作年度 2008年
原題 THE GOOD, THE BAD, THE WEIRD
製作国・地域 韓国
上映時間 129分
出演 チョン・ウソン/イ・ビョンホン/ソン・ガンホ/リュ・スンス/ユン・ジェムン/白竜

キム・ジウン監督が、『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』などのマカロニ・ウエスタンにインスパイアされて製作した痛快な韓流ウエスタン。
混沌とした1930年代の満州。ギャングのパク・チャンイ(イ・ビョンホン)が起こした汽車強奪のすきに、乗客を襲った盗賊のテグ(ソン・ガンホ)は荒野へ逃走。偶然にも宝の地図を盗んだテグは、ギャングたちや賞金ハンターのパク(チョン・ウソン)に狙われてさらなる逃避行をするハメになり……。

キャッチコピーがムチャクチャデイイノダーなんて、バカボンパパ?
このところ韓国映画離れして、多分もうそう嵌ることはないと思うので、
軽い気持ちで観てきました~。
アクションは凄かったし、普通に楽しめたカンジかな~。

JSA以来の2人、イ・ビョンホンもソン・ガンホも味のある役者になってますね~。でも、苦手ですが。
ってか、やっぱりマカロニウエスタンっていっても、そこは韓国映画、やはり血飛沫があがります~。
死亡率は高いです~。イタイシーンはしつこいです~。

その中で、やっぱりGoodのチョン・ウソンがカッコいいです。
長身で、軽々としたスマートな身のこなしは、怪人20面相・平吉さまにも見えました

舞台が1930年代の満州ということで、芸者姿の女性や、チャイナドレスの白人女性も、もちろん日本軍も登場します。
その日本兵の指揮官の一人は、最近韓国で活躍しているらしい白竜。
なのでこの日本兵はみな流暢な日本語を話します。(笑)ただ、、、
観てるうちに、イーストウッド主演の続・夕陽のガンマンを形だけパクッタものだという感じは否めません。
で、
スピーディーでカメラワークはいいし、アクションも派手なのに、
賞金稼ぎのいい奴と、クレイジーな強盗とおかしな泥棒が列車で出会い、
逃げる、追うを繰り返す。
ただそれだけと言う物足りなさはありました。

この3人だから演技は申し分ないんだけど、キャラと設定が弱い(浅い)気がしました。
だからクライマックスに緊張感が無かったです、私は。
お宝の正体も解っていたけど、、、あれを日本軍が?
その設定も違和感ありでしたし、ちょっとコメディにしても中途半端な感じでセリフが全く面白くなかったのは残念。

で、お宝なの?復讐なの?・・・みたいな

ということで、私はチョン・ウソンがカッコよかったからまあ良かったですけど、
これはキャストのファンとか韓国映画好きでなければ、ふぅ~~んで終わっちゃうかも

それにしてもオバサマ率が高かったです(私もおばさんですが、さらにもっとお姉さま)
イ様ファンと思われるオバサマが、上映ぎりぎりまでマシンガンのように喋り捲り(殆ど自慢話)
始まる頃には頭痛がしてきました。。。
こういう方が増えてきたのもあって、余計に韓国映画から遠ざかったのを改めて思い出したのでした
コメント (24)
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ココ・シャネル

2009-08-17 23:38:33 | the cinema (カ行)
私は流行をつくっているのではない
スタイルをつくっているの

製作年度 2008年
上映時間 138分
監督 クリスチャン・デュゲイ
出演 シャーリー・マクレーン/バルボラ・ボブローヴァ/マルコム・マクダウェル/マルク・ボウシエ/サガモア・ステヴナン/オリヴィエ・シトリュク

第二次世界大戦後、亡命生活を終えてファッション界へカムバックを果たした1954年以降のシャネルが、自身の駆け出しの時代を追想するという2部構成で描れる。
1954年のパリ。空白の15年を経てファッション界に戻り、復帰コレクションを用意したココ・シャネル(シャーリー・マクレーン)のオートクチュール店には、たくさんの評論家や顧客が集まった。しかし、コレクションは不評に終わり、シャネルと、ビジネス・パートナー、マルク・ボウシエ(マルコム・マクダウェル)はがく然とする。

15年の亡命生活から戻ってきたココ・シャネルの復帰コレクション当日。
その騒然としたステージの傍ら、腹を括った71歳のシャネルは、自身もシャネルの大ファンだというシャーリー・マクレーン。
そして、貧しく家族の愛に薄かった少女時代、お針子として社会に出て行く回想シーン。
若き日のココを演じるのは、ジュリエット・ビノシュそっくりのバルボラ・ボブローヴァ。

そう、ジュリエット似のため、最初から少し老け顔なので(失礼)、最初の恋人エチエンヌと出会ったのが幾つのころなのか少々解りづらい。
また次に出会う、ココにとっては生涯で最も愛したひとであるボーイ・カペルとの出会までがちょっと長すぎるような感じがした。
エチエンヌとのエピで、彼女の上昇志向、負けん気もプライドの高さも、
それゆえ自立に拘っていく部分も描かれてはいるのだけど。

なぜ1954年の復帰コレクションが酷評されたのか。
そして、諦めない強気のココが再度開いたコレクションが大好評だったのか―?

フランスの国民感情に触れられず、アメリカで受け入れられ成功したカムバック劇を、
いかにシャーリー・マクレーンの名演技、存在感をもってしても
空白の15年のその時を一切語らずにこの2つのショーを受け入れるのには違和感が拭えなかった。

この作品、もとはアメリカのテレビドラマだというから、編集でカットされたのかもだけど・・・
女としての幸せをいつも目前でとり逃してきたココが、デザイナーとして世に出るまでの
ロマンス的な部分が中心に描かれているわけだけど、
時間が長い割りにちょっとアッサリ目な感じ。
まぁ、シャネルブランドのタブー的部分だし、無理かもだけど
シャーリー・マクレーンを起用するのなら、第二次大戦後の亡命生活にも触れてもらいたかったところ


名言をたくさん残したココ。
中でも"美しさは女性の「武器」であり、装いは「知恵」であり、謙虚さは「エレガント」である"
は共感するところだけど、
この作品の中のガブリエルからは謙虚さを感じ取るのは難しいかな(笑)

予告がよかったので期待が大きかったのか、
キャストは魅力的だったけどちょっと中途半端な感じが否めず、
シャネルブランドのコレクション自体もそれほどではなく、
あのNO.5誕生なども軽く一瞬で流され、(実際そんな感じだったのかもだけど)
まぁ普通に楽しめたといった作品でした~。
コメント (8)
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クララ・シューマン 愛の協奏曲

2009-07-30 21:02:21 | the cinema (カ行)
製作年 2008年
製作国 ドイツ=フランス=ハンガリー
上映時間 109分
監督・脚本 ヘルマ・サンダース=ブラームス
出演 マルティナ・ゲデック/パスカル・グレゴリー/マリック・ジディ
ハンブルグのコンサートホールで、ピアノを演奏するクララを見守る二人の男がいた。名作曲家として名高いクララの夫、ロベルト・シューマンと、無名の天才作曲家であるヨハネス・ブラームス。ヨハネスはその才気と奔放な性格でたちまちシューマン一家に気に入られ、デュッセルドルフで共に暮らすことになった。この奇妙な同居生活の中で、クララ、ロベルト、ヨハネスの心は激しく揺れ動くのだった…。

一度も予告を目にすることもなかったけど、前日に『アマルフィ』を観た時に、
夕方の上映に間に合いそうだと思い、楽しみにしてました♪
平日の夕方の回でしたが、前方の2列を除いてほぼ埋まっていて、8割方の入り。
全然宣伝もしていないのに、ビックリです

この三人の不思議な関係を知ったのは、中学に入った頃だっただろうか?
踏み込んではいけない芸術家同士の愛。しかし不思議に猥らな感じは持たなかったのは何故だろう?

ヨーロッパ各地を回る演奏旅行の繰り返しで疲れていたシューマンとクララ夫婦。
デュッセルドルフの音楽監督に招聘されたシューマンが、そのころから悪化した躁鬱に苦しみながら作曲に打ち込む夫を、
内に外に、逞しく支えながら、
音楽を愛し、家族を愛する母であり、ピアニストとして働く女性であり、
時に14歳も年下のブラームスの求愛に心揺れるクララ・・・。

監督はその名前が示すように、直系のブラームスの末裔とのこと。
かなり踏み込んだクララとブラームスの関係を描いています。

100年以上も前に、ピアニストとして成功を収めながら、
ブラームスを支えることに重点を置き、妻としての限られたステージでのみその活躍の場を狭めてしまったクララ。
現代の働く女性の先駆者的存在だったのですね。
そして、ブラームスは彼女のピアニストとしての才能だけでなく、作曲家としての才能にも気付いていた・・・。
恋する彼だけが、クララの密かな願望に目を向けていた。そして崇拝していた

クララの前で、彼女の作曲した曲を演奏するブラームスは、
出会う前から音楽家としてのクララに恋していたのかも知れないと思いました。
この時ブラームス20歳。クララは34歳で、7人の子持ち。
先ず音楽があって、天才の、魂に触れるその何かでこの3人は惹かれあっていったのだと、
だから仕方なかったんだと、、そんな気になる。

クララもブラームスも、
私の記憶の中のイメージよりも大分逞しくて、最初はちょっと違うと思っていましたが、
生きて傷ついて、きらめきを放つ――人間臭い芸術家という感じで、
これはこれで惹かれました。
『善き人のためのソナタ』は未見ですがマルティナ・ゲデック、凄いです!
マリック・ジディのブラームスも魅力的でした♪

  

内気で神経症に苦しむシューマンは、昔見た若き日のイメージからは遠かったけど、
パスカル・グレゴリーの演技にはひき込まれます。

使用楽曲の一覧はこちら

音楽もですが、この時代の衣裳やインテリアもとっても素敵でした

「アマルフィ」の感想はまた後日
コメント (2)
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GOEMON

2009-05-14 21:28:05 | the cinema (カ行)
製作年度 2008年
上映時間 128分
監督 紀里谷和明
出演 江口洋介/大沢たかお/広末涼子/ゴリ/要潤/玉山鉄二/チェ・ホンマン/深澤嵐/福田麻由子/広田亮平/田辺季正/佐藤健/中村橋之助/寺島進/平幹二朗/伊武雅刀/奥田瑛二

紀里谷和明が約5年ぶりに放つエンターテインメント超大作。
1582年。天下統一目前の織田信長が明智光秀の謀反に遭い本能寺にて非業の死を遂げた。その悲報を受け、信長の右腕・豊臣秀吉はすぐさま光秀を討ってとり主君の無念を晴らすとともに、自ら天下統一を果たし、ここに豊臣の治世が始まった。しかし、それなりの平安は訪れたものの、格差は広がり、庶民の困窮ぶりはひどくなるばかり。そんな時、彗星のごとく現われた天下の大泥棒・石川五右衛門。金持ちだけを狙って盗みを働き、貧しき者に分け与える義賊行為で一躍庶民のヒーローに。ある夜、五右衛門が紀伊国屋文左衛門の屋敷からたまたま盗み出した南蛮製の箱。やがて五右衛門は、石田三成が配下の霧隠才蔵を使い、その箱の行方を血眼に追っていることを知るのだが…。

予告を観た時点で、こういう感じは予想できていましたし、
映像もおそらく凄く綺麗なんだろうなぁ~とか思いながらもパスするつもりでした
が、
オススメしてくださる方がいらしたので観てみると、予想以上の迫力で良かったです~

やっぱりちょっとヒカルちゃんのPVっぽいかな~と予想した映像は的中(笑)
茶々のヘアとか衣装までも、ちょっと思い出されましたが

コスチュームが、とにかく絢爛豪華。戦国時代だよ?
城の外観を見て どこの国だよっ とか、
茶々を始め女たちのコスチュームに 誰なんだよっ とか
ツッコミを入れながら楽しみました~♪
いくら派手好き、豪華だったとはいえ独特の世界ですよね(笑)徹底してアニメちっくです。

トレンディドラマの頃はちっとも惹かれなかった江口君ですが、
いつもアツイあんちゃんという役が多い彼が、このところ地味でもいい作品に出ていたりしてるので、
こういう大作系に出て、しかもそれがかなりカッコよく決まってて良かった~



才蔵役の大沢たかおもカラーコンタクト、よく似合ってて(笑)何をやってもカッコいい!
この二人の少年期を演じた子役も見覚えがある子達で上手かったし、
五右衛門の青年期を演じた田辺季正くんはこれから要注目だわ!
福田麻由子ちゃんもさりげなく巧いし、この二人のシーンが凄く良かった
先ず90%以上がアクションシーンなので、この二人のシーンは貴重でした♪

五右衛門と信長の不思議な関係。彼を育てた一言。
そこでめぐり合った生涯の友。
五右衛門と茶々をつなぎ合わせたのも信長。
先日の大河ドラマではすっ飛ばされた「本能寺」の信長の謡いのシーンをここで観てしまうという(笑)
何度も見せられる「天下布武」の文字といい、紀里谷監督は信長を影の主役にしたかったのかも知れない。

いかにもルパンを連想させるオープニングからして、普段時代劇を観ることのない若者にも、
忍者好きのガイジンにも楽しめる作品になっていると思いました~
コメント (24)
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グラン・トリノ

2009-04-26 21:56:34 | the cinema (カ行)
俺は迷っていた、人生の締めくくり方を―。
少年は知らなかった、人生の始め方を―。

原題 GRAN TORINO
製作年度 2008年
上映時間 117分
監督 クリント・イーストウッド
音楽 カイル・イーストウッド/マイケル・スティーヴンス
出演 クリント・イーストウッド/ビー・ヴァン/アーニー・ハー/クリストファー・カーリー/コリー・ハードリクト

『ミリオンダラー・ベイビー』以来、4年ぶりにクリント・イーストウッドが監督・主演を務めた人間ドラマ。
妻に先立たれ、息子たちとも疎遠な元軍人のウォルト(クリント・イーストウッド)は、自動車工の仕事を引退して以来単調な生活を送っていた。そんなある日、愛車グラン・トリノが盗まれそうになったことをきっかけに、アジア系移民の少年タオ(ビー・ヴァン)と知り合う。やがて二人の間に芽生えた友情は、それぞれの人生を大きく変えていく。(シネマトゥデイ)

「硫黄島からの手紙」のクリント・イーストウッドから、「イエロー」だの「米食い虫」だのと言う言葉が頻繁に繰り出される驚き。
本当にこれが最後の主演作になるのでしょうか、
「グラン・トリノ」初日の最終回観て来ました!凄くよかったです


朝鮮戦争に行き、長年勤め上げたフォードの工場を引退し、
今、妻にも先立たれて、孤独で単調な日々を送るウォルト・コワルスキー。
その妻の葬儀で語られる息子たちの父親像。
相容れない息子たちの家族との溝をも、サクサクと映し出し、
昭和の日本にもいた、頑固で変わったものを受け付けない、偏見もあるが正義もある老人の姿が懐かしいイーストウッド。

工場に勤めていた時の腕を生かし、家の修理をし、芝生の手入れをし、
M-1ライフルと72年製フォード車グラン・トリノの手入れは欠かさず、暇な時は愛犬に語りかけビールを飲む毎日。
しかし彼の周りが変わり始めている事に、苦々しく思っていた。
次々にアジア系移民が押し寄せ、白人が街を出て行って、
彼の隣にも、従軍経験から彼の毛嫌いするアジアのモン族が越してくる―。

関わりを持ちたくないウォルトはしかし、関わってしまう。深く――。

鱗家に住む気弱な少年タオが不良少年グループに絡まれていたのを追い払ったのをきっかけに、
タオ一族による貢物攻勢、挙句、車を盗もうとしたお詫びに仕事をさせなければならない羽目になり、
孤独だった彼の生活も、次第に目的のあるものへと変化していく。

ここまでが、彼の差別発言や、息子家族や神父に浴びせる辛らつなセリフもありながら
尊大な態度の元軍人・ウォルトが過去の己を許せず人に心を閉ざしてきた事、
気づいてみれば、彼がユーモアもあり、男気のある人物だということに惹きつけられている。
この老人のぼやき、嘆き、怒りが不当なものではないし、
時に笑い、ほのぼのとした懐かしさに包まれ、、
物語は避けられないウォルトの決断の時を迎える。

これは何と言っても、セリフがいいです。
序盤の神父とのやりとり。「生より死に詳しい」とやりかえす若い神父もウォルトから目を離さず、
馴染みの床屋の主とのやり取りも、内気なタオの教育に一役買う。
タオ一家のパーティーで、ふと漏らすぼやきも、
怒りながら生きてきたウォルトの胸のうちを思うに十分。

名の通った俳優を起用しているわけではなく、奇をてらった演出もなく、
観客に媚びない姿勢がいかにもイーストウッドらしい、素敵な作品でした。
最後まで大人の男のスタイルにこだわった、カッコイイ老人の選択に打たれました

そうそう、エンディングのGran Torino イーストウッドの渋い歌がとってもいい味。ゆっくり余韻に浸れます
コメント (32)
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カフーを待ちわびて

2009-03-06 23:43:40 | the cinema (カ行)
絵馬に返事が来ました。
製作年度 2009年
上映時間 121分
原作 原田マハ 『カフーを待ちわびて』(宝島社刊)
脚本 大島里美
監督 中井庸友
音楽 池頼広
出演 玉山鉄二/マイコ/勝地涼/尚玄/宮川大輔/白石美帆/高岡早紀/沢村一樹
第1回日本ラブストーリー大賞を受賞した同名の小説を映画化したピュアなラブストーリー。
タイトルの“カフー”とは、島の言葉で“果報”、“幸せ”の意味。
沖縄の離島で雑貨店を営む青年・明青(あきお)は、愛犬のカフーとのんびりした毎日を送っていた。そんなある日、一通の手紙が届く。それは、以前明青が縁結びの名所という神社を訪れたときに冗談半分で“嫁に来ないか。幸せにします”と書いた絵馬を見た幸(さち)という女性からのもので、自分を嫁にしてほしい、というものだった。そして数日後、長い髪の美しい女性・幸は本当に明青の前に現われるのだが…。

去年恭子ちゃんとテレビで共演して直ぐに勝地涼くんの「吉祥天女」は観たのに、感想記事は埋もれてしまってますし、
玉鉄の映画も久々なので観てきました~♪

ってか、原作を知らないし、予告も観てないし、だったので、Yahoo!の画像の玉鉄が
なんでロングなの?どっか身体悪いの?ってそればっか気にしていました(笑)

ただ、怠惰なやる気の欠落した男子だったんですねぇ~(笑)

とにかく、ゆったりと起伏の無いストーリー運びですが、これが所謂沖縄時間なのかー!みたいな。
どこか日本に似てる他所の島みたいな、「医者が居ない」といった時にはコトーが出てきそうでした(笑)
でも、他所の島・・って言ったのは、あり得ないくらい海がキレイだったから!

主人公明青はたしかにカフーを待っていた......それはもう、長いこと、、、
彼はきっと時が止まっていたんだ、と思う。
家も替えたくなかった。きっと、大人にもなりたくなかったんだと思う。
現実から目を逸らして、、、待っていた。

だけど、幼馴染にうながされ、ふと書いた絵馬に返事が来て、
おばあが明青のカフーを予言する。

明青の待ってたカフーとは違っていたけれど。
その為にたくさんの、周囲の彼を心配する心ともちゃんと触れ合い、彼は目を覚ます。
静かに・・・ちゃんと。

もう、殆ど先が読める展開で、なるほどね・・というよりやっぱりねぇという感じですが、
大層な謳い文句があるわけじゃないのでそれはそれでいいかなーというラブストーリー。

恐らく沖縄を舞台にしたこれまでのテレビドラマの比ではない海の色のキレイさ、
沖縄の家庭料理、路地裏の佇まい。
字幕が無いと全然理解できない会話に、とってつけた感のないリアルさが良かった
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「神様のパズル」//「キング 罪の王」

2009-03-04 00:00:02 | the cinema (カ行)
ロックと物理で宇宙をつくれ!
製作年度 2008年
上映時間 134分
原作 機本伸司『神様のパズル』(ハルキ文庫刊)
脚本 NAKA雅MURA
監督 三池崇史
出演 市原隼人/谷村美月/松本莉緒/田中幸太朗/黄川田将也/六平直政/塩見三省/遠藤憲一/李麗仙/笹野高史/國村隼/若村麻由美/石田ゆり子

おちこぼれ大学生と飛び級天才少女が、“宇宙創生”なる壮大なテーマに挑むファンタジー・ラブコメディー。
第3回小松左京賞を受賞した機本伸司の同名原作を、角川春樹、三池崇史監督が映画化。
双子の弟・喜一が突然海外旅行に行ってしまい、代わりに素粒子物理学のゼミに出席した基一。代返するだけのつもりが、担当教授から不登校の穂瑞沙羅華をゼミに連れてくるという難題を課せられてしまう。あまりの天才ゆえに学校にも興味が持てず孤独に生きる沙羅華。勝算もないまま彼女のもとを訪れた基一だったが、難しい話をする沙羅華の前で彼がふと口走った“宇宙をつくることはできるのか?”というあまりにも壮大で素朴な疑問が彼女の心を捉えてしまう。翌日、ゼミに現われた沙羅華は、基一を従えて“宇宙創生”を立証するための研究に乗り出すが…。

何度か観た予告で惹かれて楽しみにしていました♪
三池監督のSFものだというので、もっとぶっ飛んでいるのかと思っていたら、
ちょっとマジメに作ってあり、意外でしたが楽しめました♪

凡人の想像を超える「宇宙創造」の謎に挑戦する――、一見小難しそうなテーマもそこは漫画好き三池監督。
物理学の難解な用語やシーンなどはCGを使った映像でユニークで解りやすい“講義”になっていました
苦手な分野ですが、同じく勉強苦手な基一クン(市原隼人)が宇宙の仕組みなどをわかりやすく説明してくれてます(笑)

天才少女・沙羅華役の谷村美月さんは、この作品で初めて観たんですが、、ちょっと
天才少女的オーラは欠けるかもですが、
いつも一生懸命で清々しくアツイ市原隼人くんがカバーしてたかな

これは劇場観賞だったのですが、忙しさにかまけて草稿中のままとなっていたうちの1本。
もうDVDが出ていて、焦ってしまいましたが、
クライマックスの、三池監督らしい迫力の「むげん」のCG技術は十分劇場で観賞するに足りるものでした。
                     
                                     満足度:★★★☆
++++++++++++++++++

「キング 罪の王」 DVD観賞      
懺悔しよう、愛のために。
製作年度 2005年
原題 THE KING
上映時間 105分 R-15指定
脚本 ミロ・アディカ
監督 ジェームズ・マーシュ
出演 ガエル・ガルシア・ベルナル/ウィリアム・ハート/ポール・ダノ/ペル・ジェームズ/ローラ・ハリング

まだ見ぬ実の父親に会いに行った青年が、初めて会う父に自分の存在を拒否されたのを機に復しゅうの権化となっていく姿を描いた衝撃のサスペンス・ドラマ。
海軍を退役し、まだ見ぬ父デビッド(ウィリアム・ハート)に会うためテキサスの田舎町を訪れたエルビス(ガエル・ガルシア・ベルナル)。しかし、今は裕福な牧師として妻子とともに暮らすデビッドは、エルビスの存在を拒否。絶望したエルビスは父の娘であり、自分とも血がつながった妹マレリー(ペル・ジェームズ)を誘惑する。(シネマトゥデイ)

天涯孤独の21歳の青年エルビスが、母に話を聞いていたとはいえ、
現在の父についてどの程度の情報があったのか、余り語られなく、
感情を秘めたエルビスが、本当に父の家族の存在を知らなかったのかさえ解りにくい。

しかし、彼は思っていたのだ・・・父は自分を受け入れるべきだと―
その無表情にみえる顔の下で、半ば狂信的に父を求めていたのかも。。。
そう、家族と、家庭を・・・。

しかし、この父もまた信仰とは何かと問いたくなる自己中心的な、
あまりに配慮に欠けた男だった――しかも町の信頼を集める牧師・・・

心に兇器を隠したエルビスは果たしてどんな結末を描いていたのか・・
切ないかすかな笑顔のまま、彼は本心を誰にも告げない。
バッサリと心を斬られるようなラスト・・罪は恐怖からか、絶望からか、憎しみからなのか
映る景色の明るさと反比例していくダークな内容でした。

                                       満足度;★★★
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恋におちたシェイクスピア

2009-02-08 00:55:25 | the cinema (カ行)
製作年度 1998年
映時間 123分
脚本 マーク・ノーマン トム・ストッパード
監督 ジョン・マッデン
出演 グウィネス・パルトロー/ジョセフ・ファインズ/ジェフリー・ラッシュ/コリン・ファース/ベン・アフレック/ジュディ・デンチ/トム・ウィルキンソン/ルパート・エヴェレット

16世紀末のロンドン。スランプに陥っていた劇作家シェイクスピアはオーディションにやって来た一人の若者トマス・ケントを追ってとある屋敷へたどり着く。そこには以前、芝居の最中に目を留めた美しい女性ヴァイオラの姿があった。シェイクスピアと彼を信奉するヴァイオラはたちまち恋におちてしまう。燃え上がる恋心が創作意欲を書き立てたのか、シェイクスピアの台本は急ピッチで仕上がって行き、トマス・ケントを主役とした芝居の稽古も順調に進んでいた。ヴォイオラの別れの手紙をトマスから受け取ったシェイクスピアは納得できず再びトマスの後を追うのだが、そこで彼はトマスこそヴァイオラの男装した姿だった事を知るのだった……。

あの名作「ロミオとジュリエット」は実はシェイクスピア自身の恋物語だった....というお話。

16世紀のロンドンでは、日本の歌舞伎と同じように、女性が舞台に立つのを法的に禁じられていたというのがポイント。
風紀上の問題とやらで、変声期前の少年が女性役を演じていた。
そして当時のエリザベス女王(ジュディ・デンチ)が芝居好きというのもポイントかも。

ペストが流行り、しばしば劇場が閉鎖される事態が相次ぐ中、
ウィリアム・シェイクスピア(ジョセフ・ファインズ)はローズ座の頼みの綱だった。
上演準備が進んでもスランプで書けない状態がつづいていたが、
芝居好きの美しい女性ヴァイオラ(グウィネス・パルトロー)に恋をし、身分違いの恋に身を焦がすシェイクスピアは、
まんま、ロミオさながらのシーンを展開していく。

芝居好きが高じて男装してシェイクスピアのオーディションを受けるヴァイオラがトマス・ケントとなって中心となる劇中劇が、
コメディから次第に現実の恋同様、悲劇へと変化していくさまを、
現実に酒場で命を落とした実在の作家・マーローのエピソードが盛り込まれていたり、
シェイクスピアの後の時代の劇作家で詩人のジョン・ウェブスターが"血を見るのが好きな"ネズミを連れた少年で登場したりと、
史実を織り交ぜながらも、コミカルに、テンポよく描かれていく。

この年のアカデミー賞をかっさらった作品。
グウィネス・パルトローはとても美味しかった役。
そしてエリザベス女王役のジュディ・デンチも、登場シーンはすくないながら納得の存在感、貫禄!
水溜まりにマント!「遅いわいっ」みたいな、(笑)
去年公開された「エリザベス・ゴールデンエイジ」でも同じエピがありましたが、
それぞれに印象的なシーンになっていますね

賞を争った「エリザベス」の方にもジョセフ・ファインズ、恋人・ダドリー役で出ていましたね~。
どちらかというと「エリザベス」の役のほうが胸をかきむしられますが、
脚本の緻密さ、発想の面白さが評価されたという感じでしょうか。

悲恋を次作の喜劇につなげるラストもまた洒落ていましたね

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告発のとき

2009-01-17 01:09:47 | the cinema (カ行)
真実を語る勇気は ありますか―
原題 IN THE VALLEY OF ELAH
上映時間 121分
監督 ポール・ハギス
脚本 ポール・ハギス
音楽 マーク・アイシャム
出演 トミー・リー・ジョーンズ/シャーリーズ・セロン /スーザン・サランドン /ジョナサン・タッカー /ジェームズ・フランコ

「クラッシュ」のポール・ハギス監督が、イラク戦争から帰還した一人の兵士を巡る衝撃の実話を映画化したミステリー・ドラマ。帰還後間もなく無断離隊したとの連絡を受けた父親が、息子の汚名を拭うべく行方を捜す中で次第に浮かび上がる過酷な真実を描き出す。
2004年11月1日、元軍警察のハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)のもとに、軍に所属する息子のマイク(ジョナサン・タッカー)が行方不明だとの連絡が入る。軍人一家に生まれ、イラク戦争から帰還したばかりのマイクに限って無断離隊などあり得ないと確信するハンク。不安に駆られた彼は、息子の行方を捜すため基地のあるフォート・ラッドへ向かう。同じ隊の仲間に話を聞いても事情はさっぱり分からず、念のため地元警察にも相談してはみたものの、まともに取り上げてはもらえず途方に暮れる。そんな中、女性刑事エミリー・サンダース(シャーリーズ・セロン)の協力を得て捜索を続けるハンクだったが・・・

アメリカで2003年に実際に起こったイラク帰還兵の事件をもとに、
退役軍人の真面目な男が、行方不明の真の息子に辿りつくまで―。

イラク戦争が始まった1993年の日本は、バブル崩壊後の不況が始まってはいたけど、
若者たちの間では今ほどの危機感はなかったのではないかという時代。
アメリカの若者たちはどうだったのだろう?
青年兵とて、テレビを観てニュースをみても、「戦争」の実感などなく普通に青春を過ごしてきたのではないかという気がする。
そんな青年たちが、「正義」という大儀を掲げて見知らぬ人の死を見ながら、血にまみれて行くのが戦争。

昔かたぎの男であり、愛国心に支えられた軍人のハンクが、
頭の中にこびり付いている息子の声に不安を募らせ、その行方を捜す。
先日の「永遠のこどもたち」が、息子を捜す母の物語なら、
これは息子を捜す父の物語。
そして、強いアメリカではなく、病んだアメリカを知る物語。

以下は多少のネタバレを含みます。
 ↓
 ↓


「母と娘」や「母と息子」の絆を描くものには、どこかに甘い郷愁とか優しさがあるけど、
「父と息子」の姿を追う時、いつもなぜか物悲しい。
本作でも、父と母の、子供との繋がりが対照的に描かれる。
どんなに頑張っても母親と息子の間にはない、父と息子を繋ぐもの。
それがどうしようもなく切なく苦しい、だけど、それが親子。。。



原題「IN THE VALLEY OF ELAH」(エラの谷)は、
息子を失ったハンクを夕食に招いたエミリーの家で、彼女の息子に話して聞かせる羊飼いの少年と巨人ゴリアテが戦った場所の名前。
御伽噺を読んであげれない昔かたぎの古い男であるハンクが、父のいない少年に語り聞かせる英雄の伝説。
このシーンにも、男が息子に望む姿、母親が子に望むものが象徴的に描かれていると思う。

「何故、王はダビデを送り出したの?」と問うエミリーの息子
まだ子供なのに・・
そう、後日エミリーは息子に問われるのだが・・。

戦争→出兵。こういう場合、女は愛するものを奪われる予感に激しく反応する。
しかし、世の男たちは見送る側ではないと思っている。
「コールドマウンテン」のレニーのセリフが思い出される。
男たちは自分で雨を降らせておいて・・・」の、あのセリフ。

ベトナム戦争終結後の帰還兵は、枯葉剤の後遺症や、凄惨だった状況によって精神のバランスを崩し、PTSDに苦しんでいると、
私たちは後になって事件や映画でそれを少しだけ擬似体験する。
そして、イラク戦争―。
今また帰還兵の1割以上がPTSDに苦しんでいるアメリカの現状があるという。



この映画のテーマについて、主演のトミー・リー・ジョーンズはいっている。
登場人物達が感じている事は、アメリカ人がみんな感じている事なんだ。映画を観て、こういう問題について一度は考えてほしいと思う。」

遠い戦地から、震えながらの息子のSOSを逃してしまった父親の息子探しの旅。
それは、まだ子供のSOSに気づいていない無数の帰還兵の親たちへのメッセージ。
答えを持たないまま戦争を始めたアメリカのSOS.....なのかも知れない。
そして、世界はとても近くなっているこの時代の多くの人に送られてくるSOSなのだという気がした、心に残る作品でした。
コメント (16)
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紙屋悦子の青春

2009-01-06 01:35:07 | the cinema (カ行)
製作年度 2006年
上映時間 111分
原作 松田正隆
監督 黒木和雄
音楽 松村禎三
出演 原田知世/永瀬正敏/松岡俊介/本上まなみ/小林薫

『美しい夏キリシマ』『父と暮らせば』などで知られる黒木和雄監督の遺作となる人間ドラマ。
現代演劇の旗手・松田正隆の同名戯曲を原作に戦争に引き裂かれる恋と、庶民の日常を淡々と描く。
昭和20年、東京大空襲で両親を亡くし、兄夫婦と暮らす悦子(原田知世)は縁談を勧められる。相手は密かに想いを寄せる明石少尉(松岡俊介)の親友、永与少尉(永瀬正敏)。当日、緊張のあまりしどろもどろになりながらも、真摯(しんし)な愛情を示す永与に悦子は好感を抱く。数日後、悦子は明石の特攻隊出撃が決まったことを知らされる。(シネマトゥデイ)

これはとっても良かったです。
まるで舞台をみてるような回想シーンに入ってからは、
土手のこちら側にある1本の桜の木のある悦子の暮らす家だけで繰り広げられる、
静かに胸をたたく反戦映画であり、秀逸なラブストーリーでした。

昭和20年の紙屋悦子は、両親を亡くし鹿児島の兄夫婦とともに慎ましく生きている。
兄の安忠(小林薫)が妹の帰りを待つ間に交わされる夫婦の会話で、
彼が愛する妹の親友ふさ(本上まなみ)と結婚したことが明かされ、
この家の食卓に上がる惣菜などで当時の食糧事情などが、
鹿児島弁でコミカルに語られる。
しかし、その明るい会話の中に戦争はちゃんとあって、悲しみと不安を隠し今を生きようとする
当時の人々が丁寧に描かれています。

うららかな春、同じ航空隊の同期・永与少尉を伴って紙谷家にやってくる明石少尉。
しかし、なぜか無人の家にて待つ羽目になり・・・と、
この時のふたりの、おはぎを前の会話にも
永与の不器用さ、純粋さ。明石の男気、秘めた想い、決意を垣間見ることになる。
やがて悦子本人を前にして、ひと時穏やかな3人の若者の時間を映し・・・
亡くなった父の土産のお茶と、大切に取って置いたあずきでこしらえたおはぎで
目を輝かす明石と、緊張しまくりの永与
しかしここも、明石のどうしても託したい意志と、その想いを飲み込んだ純朴な永与がいる。

出撃前夜、一人で挨拶に来て満開の桜の下を通って土手の向こうに去って行く明石―
密かな想いは一度も言葉にされることはない。。。そして、
数日後、勤務地が変わることを告げ、土手の向こうに去って行く永与。
僅かな間に重きものを受け継ぐ、ふたりの男女の姿が淡々と描かれます。

これは紙屋悦子の青春であり、
同時に、永与少尉の青春であり、明石少尉の青春でもある。
ふつうに今考えれば、とても重い友情であり、
量りきれない愛の重さであるけれども、
託し託された男同士の友情もまた、この時代にこそ似合う絆によって決然と描かれ
戦争の残酷さを思わずにはいられません。

この作品の中で、狂言回し的な位置にいるのが兄嫁のふさ役の本上まなみ。
彼女の映画はあまり記憶にないのですが、
飄々として一家を切り盛りし、義妹に対しても母のようにその心情を察し背中を押し、
ゆるりとした鹿児島弁で女心も見せる。とっても良かったです!

「弁当箱、四角かですね~」
モノがない時代。得意の技術でプレゼントをしたいと目論む永与が、弁当箱を何に変身させるのかは
明石との会話の中にあり、
彼がその弁当箱をゲットした瞬間の顔はツボでした♪

脚本の丁寧さと、役者の演技が光る、とても静かな感動作でした
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K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝

2008-12-28 00:35:43 | the cinema (カ行)
怪人二十面相は誰だ!?
違う!オレは二十面相じゃない!

製作年度 2008年
上映時間 137分
原作 北村想 『完全版 怪人二十面相・伝』
脚本 佐藤嗣麻子
監督 佐藤嗣麻子
出演 金城武/松たか子/國村隼/高島礼子/本郷奏多/益岡徹/今井悠貴/小日向文世/鹿賀丈史/仲村トオル

江戸川乱歩の小説に登場するダークヒーロー、怪人二十面相の真相に迫るアクション・エンターテインメント。北村想の「完全版 怪人二十面相・伝」を原案に、「アンフェア」などを手掛けた佐藤嗣麻子監督が現代風のアレンジで映像化した。
極端な格差社会の架空の都市“帝都”では、富裕層のみを狙い、美術品や骨董品を鮮やかに盗み出す“K-20”こと怪人二十面相が世間を騒がせていた。ある日、サーカスの曲芸師・遠藤平吉(金城武)は、財閥令嬢・葉子(松たか子)と名探偵・明智小五郎(仲村トオル)との結納の儀に潜入して写真を撮ってくる依頼を引き受ける。(シネマトゥデイ)

金城武+仲村トオルくんということでとっても楽しみにしていた「怪人二十面相伝」観てきました~
楽しかったです
監督の佐藤嗣麻子氏は、恭子ちゃんと二宮くんのドラマ「南くんの恋人」の監督でもあり、
当時から密かに応援していましたが、こんな楽しい作品でお目にかかれて嬉しいです!

アメリカにはスパイダーマンやバットマンが未だに活躍してるし、
日本には、、はっ、そうだ!怪人二十面がいたじゃん!・・って、思い出させてくれました(笑)

初めて江戸川乱歩の小説を手にしたのは、小学校の図書室だったと思う。
それから中学校に入る頃まで嵌っていたと思うけど、もう内容はほとんど覚えてなくて、
シャーロック・ホームズにワトソンがいるように、明智小五郎には小林少年がいたこと。
小林少年には少年探偵団がついていたことなどぐらいしか覚えていなかった
今では少年探偵団ときいて思い浮かぶのはコナンくんだったりしてしまうけど
それでも舞台設定が1949年の架空都市というのも効いてて、
レトロな雰囲気満点の登場人物たちに、
怪人二十面相が出現するのにぴったりの世界が出来上がってました

明智小五郎といえば、土ワイの天知茂さん(古~っ)が印象的でしたが、
今回の明智くんは仲村トオルくん。自信と不遜と、、翳りとお茶目なところと・・見たいトオル君が観れます



そして、その明智くんに怪人二十面相として追われる心優しいサーカス団員の遠藤平吉役の金城くん♪
35歳とは思えぬ軽やかな身のこなしに、ファンならずとも萌え~るのでは?
”秘伝の書”に習い、ヤマカシさながらの街を縦断する身のこなしにはわくわくドキドキ

金城ファンには懐かしい「神すこ」で、いつも金城君をサポートしていた益岡徹さんが、
今回10年ぶりの共演で、怪人二十面相を追う側の浪越警部役で顔を合わせているのも嬉しい♪
あと、ドラマでは金城君とは直接の絡みのなかった小日向文世さんも共演者でした。


先日「青い鳥」で観たばかりの本郷奏多くんがちょっと大人びた小林少年
仲村・明智といいコンビだったのではないでしょうか
”良家の子女”の松さんは、笑った時の目が、どうしても森光子さんにみえてしまうのだけど(笑)
今回、一番お得な役どころにみえましたコミカル担当で、なかなか良かったです♪

怪人二十面相がどうしても手に入れたくてさまざまな罠をしかけるモノの正体
それが冒頭に説明されるのですが、そこが子供に理解できるか?が鍵かな~。
ま、ちゃんと理解できなくても十分子供にも楽しめる作品になっていたのではないでしょうか
コメント (24)
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ゲット スマート

2008-10-17 00:02:01 | the cinema (カ行)
原題 GET SMART
製作年度 2008年
上映時間 110分
監督 ピーター・シーガル
音楽 トレヴァー・ラビン
出演 スティーヴ・カレル/アン・ハサウェイ/アラン・アーキン/ドウェイン・ジョンソン/テレンス・スタンプ/ケン・ダヴィティアン/マシ・オカ/テリー・クルーズ/ジェームズ・カーン

1960年代に人気を博したアメリカのTVシリーズ「それ行けスマート」を装いも新たに劇場版としてリメイクしたアクション・コメディ。
監督は『50回目のファースト・キス』のピーター・シーガル。
アメリカの極秘諜報機関“コントロール”に所属する敏腕分析官マックスウェル・スマート。彼は40種類もの言語を自在に操り、些細な重要情報のヒントも見逃さない脅威の分析能力を持つため、これまで憧れのエージェントへの昇格を見送られていた。そんなある日、コントロールの本部が世界征服を企む国際犯罪組織“カオス”の襲撃に遭い、全エージェントの顔と身元が割れてしまう事態に。そこで急遽、敵に顔が知られていないスマートがエージェントに昇格するのだった。エージェント“86”となったスマートとコンビを組むのは、整形手術によって新しい顔を手に入れた男勝りの美人エージェント99。2人はカオスの陰謀を阻止するため、さっそく極秘任務に就くのだが…。allcinema ONLINE

このところ、感動系作品が続いていたら、いきなり時間が出来て観たのがこれ。
「それ行けスマート」だろうな~って、予告観た時から思っていたんだけど、
実はTVで観ていたのはめちゃくちゃ小さい頃で、
近所の親戚の叔父はアチラのドラマが大好きで良く一緒に観ていたから、殆ど従姉妹と叔父の大好きな番組として記憶に残っているに過ぎなかった
でも、ちょっとレトロなテーマがもう聞き覚えがあって、あの導入部でセピア色の記憶が・・・(笑)
(ホントは、白黒だったけど・・・
あの頃は、アメリカドラマって凄い面白いオトナドラマがいっぱいあって、子供ながらわくわくしてたっけ。
ちなみに叔父は、スカパー命で、もう高齢なのであまり劇場には行かなくなったといってましたが、
コレはきっと行くでしょう

かなり大きいスクリーンで、めちゃ空いてましたが、
最初は声を抑えてガマンしてましたが、私の近くの方も同じところで揺れてましたので
もう途中から声を出して笑っちゃいました~

腕のいい分析官マックスウェル・スマートはとてもスパイなんてムリっぽいし
真面目で、どうしたことかヘンに自信家。
そんなスマートと組まされる整形美人のエージェント99は当然嫌がるんだけど・・
意外や意外、運も実力のうち?
かるいスティーヴ・カレルと、濃い系アン・ハサウェイのコンビがいいんです~!!




アメリカのドタバタコメディがダメな私ですが、とっても楽しめました~♪
スパイの必須アイテムもやっぱり!
愛の告白も、、やっぱりネー。
後姿も、、、やっぱり~、なんだけど、
お約束づくしでも
もうそこに行く前にツボに嵌っているので、駄目です、止まりません

木の中の気になるヒトも可愛い(笑)
キスも可笑しい
予想外にアレだった、ダンスにはまいりました~(爆)
笑えます~
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