to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

剣客之恋

2010-05-05 23:49:06 | the cinema (カ行)
原題 老鼠愛上猫/CAT AND MOUSE
製作年度 2003年
上映時間 92分
制作国 香港
脚本 ゴードン・チャン/フェリックス・チョン
監督 ゴードン・チャン
出演 アンディ・ラウ/セシリア・チャン/アンソニー・ウォン/リー・ビンビン/チャップマン・トウ/チョン・ダッメン

2003年中国の新春映画トップの成績を収めた大ヒット作。アンディ・ラウとセシリア・チャン共演による時代劇ラブ・コメディ。
北宋時代の中国。清廉潔白で優秀な宰相・包拯(パオ・ジン)に治められ、天下泰平の世の中。その部下で剣の達人・展昭(ジン・ジャオ)は平和な毎日に退屈を持て余していた。そんなある日、腕に覚えある渡世人・白玉堂(パイ・ユータン)と出会う。展昭は、白玉堂が実は女とも知らず、意気投合するのだが…。

お正月時代劇といっても、あの~・・アレです、相当緩く、
香港映画がお好きじゃないと、前半はかなり退屈かもしれません。
アクションシーンも終盤になってから、ほんの少しあるだけですから。
どこにも出掛けられないでいた休日、GyaO!で観ようとしていたら、
丁度遅い昼食を食べ終えた子供が覗き、そのまま一緒にツッコミを入れながら楽しみました♪

どんだけニブイんだよ~とか・・・
ヤル気、全くなしだよ~なんて、観る方もかなり脱力していて丁度いい感じ(笑)

この作品の基となっているらしい中国の全ての武侠小説に影響を与えたと言われる小説「三侠五義」や「七侠五義」を
三侠の一人展昭と、五義の一人で美男子の"錦毛鼠"を実は男装の美女だったということにして、
軽いタッチのラブコメにしています♪

遠い日を思い 旧交を惜しむ いとしき日々よ.....
   共に過ごした記憶に 心は波立つ
     忘れえぬ人よ .....



出会った時から感じていた、、信頼は愛にはなり得ないのか?

内に秘めた想いを正面切ってシンプルに告げ、展昭に問う白玉堂は清々しい男前
彼女の恋敵となるリー・ビンビンも"機転をきかせる"憎いヤツ
彼女たちの髪形や意匠、剣のデザインや帽子などの小物もみんな可愛くて素敵でした

エンドロールのNGシーンも楽しさが伝わってくる、どこか懐かしい時代劇。
ややアクションシーンは少なめだけど、アンディ・ラウのかっこよさを気楽にご覧になるつもりで
コメント (2)
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グリーンフィンガーズ

2010-04-27 01:38:59 | the cinema (カ行)
英題 GREENFINGERS
製作年 2000年
製作国・地域 イギリス/アメリカ
上映時間 91分
監督・脚本 ジョエル・ハーシュマン
出演 クライヴ・オーウェン/ヘレン・ミレン/デビッド・ケリー/ナターシャ・リトル/ ダニー・ダイア/アダム・フォガーティ/パターソン・ジョセフ/ウォーレン・クラーク

実話を基に、“グリーンフィンガーズ(天才庭師)”としての才能を持った一人の囚人をめぐる友情と再生を描くハート・ウォーミング・コメディ。
人生を諦めた男コリン・ブリッグスが、イギリス・コッツウォルズにあるエッジフィールド更生刑務所に移送されてきた。刑務所長は、コリンに、庭造りを命令する。所長が名指した仲間はおよそ園芸なんか向かない連中ばかり。しかし、仲間のひとことでやる気を出したコリンはガーデニングに喜びを見出し、美しい庭を創りあげいていく……。(allcinema ONLINE)

タイトルに惹かれて、先日録画していたものを観ました。
何の予備知識もなく、でしたが、意外によかった

模範囚が各刑務所から選ばれて、更正のために開放的な暮らしの中で社会復帰のための準備をする。
そのエッジフィールド刑務所には塀も鉄条網も監視カメラもない。
様々な過去を持ち、色んな犯歴を持つ男たちを見守るこの開かれた刑務所の職員たち。
ある日心を閉ざした模範囚コリンに、所長は庭園造りを命じる。
一緒にその作業をするのは野蛮な大男や、調子が良くて女好きのトニー、純情なジミーと、
飄々としているが頼れる同室の老人ファーガス。

「もう囚人は飽き飽きだ。庭師になろうぜ!」

…模範囚に介助犬を訓練させる事でそれなりに評価されている刑務所のドキュメントを見たことがある。
社会に貢献していることに喜びを見出していると当人たちのコメントがあったけど、
動物に触れていること、動物との信頼関係、それが先ず先に彼らを変えたのではないかという気がする。
ここでは、土に触れ、種を撒き、育つ命を感じることが男たちの喜びになっていく様子が、
ちょっとばかり可愛過ぎるぐらいの感じで描かれる
春には種が芽吹き、色とりどりの可憐な花を咲かせる

人生に何かが足りなかった男たちに始まる新しい日々。
希望と信頼と責任感をもたらしてくれた「庭師」との出会い―。

淡々として盛り上がりに欠ける感もあるけれど、
およそ花の似合わない男たちが、変わっていく様が微笑ましい
"ハンプトン・コート・パレス・フラワーショウ"辺りはもっと詳細に見せて欲しかったな~。
あと、、トニーがぁ・・・・可哀想でした
コメント (4)
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五月の恋

2010-03-14 00:26:20 | the cinema (カ行)
原題 LOVE OF MAY/五月之恋
製作年度 2004年
製作国・地域 台湾/中国
上映時間 110分
脚本 ホアン・チーシアン
監督 シュー・シャオミン
出演 チェン・ボーリン(陳柏霖)/リウ・イーフェイ(劉亦菲)/メイデイ(五月天)

ネットで知り合った台湾の青年とハルピンの少女が紡ぐ爽やかな恋物語。
人気バンドのギタリストを兄に持つアレイ(チェン・ボーリン)は、ある日ファンメールにメンバーを装って返事をしてしまう。メールの相手は、中国のハルピンで京劇を学ぶ少女シュアン(リウ・イーフェイ)。互いにメール交換するうちに、アレイは台湾に咲く花“五月の雪”を見たいという彼女の願いを叶える約束をしてしまう。

先日偶然BSで放送されたものを観ました。
「暗いところで待ち合わせ」よりも前の、どちらかというとイメージ的には「藍色夏恋」のボーリンくんに近いかもしれません。
台湾で繰り広げられる爽やかな恋ばかりでなく、このタイトルの「五月の恋」には「五月の雪」といわれる花に込められた、
大陸の歴史にも触れなければならない想いがあり、可愛い物語になっていました

台湾で人気のバンド“メイデイ”のギタリストを兄に持つ大学生アレンは、兄に対して超えられない劣等感を持っていた。
そんなメイデイのアルバイトスタッフで、サイト管理も任されていたある日、
くさっていたアレイはファンカラノメールに、バンドの人気者アシンを名乗ってメール交換を続けてしまう。
相手は中国のハルピンで京劇団の学生だが、彼女もまた大陸に暮らしていることを隠し、
会う約束を取り付ける。。。

約束はしたものの、現実に会えば自分がボーカルのアシンでないことはバレル。
彼は一目でシュアンに惹かれ、去りがたく・・・尾行するのみ。

彼女が向かったのは、メールでアレイが約束した三義――。

物語はとても静かに進行します。
結局、カンのいいシュアンはアレイを捉まえ、改めて今度は二人で向かうそこは・・?

恋することで、いじけた投げやりな青年から、徐々に成長していくアレイ。
恋して相手を想う気持ちが、みつけたもうひとつの物語、
はるか昔の、故郷を想いながら台湾に身を置いていた男の郷愁に触れる。

そして舞台は極寒の中国・ハルピンに移り・・・・・
そして雪の路上に大きな油桐花が......咲きます

海角七号」では、終戦と共に散った日本人と台湾女性の恋がモチーフになっていましたが、
この作品では、中国人でありながら戒厳令によって38年もの間、外省人として台湾に暮らし、
終に孫に会うこともなかった男の望郷の念に、恋うる想いが花に託されていました。
可愛い初恋モノですが、それだけじゃないところも描かれていたのが良かった♪




台湾のラブストーリーを観ると、何気ないその背景が、
今の身の回りのどこにも見つけることの出来ない何かがあります。
この作品の場合、やはり本当にはらはらと雪のように舞う油桐花の中を歩くシーンでしょう。
たぶん観た事はあるでしょう桐の花の一種。
また行ってみたいところが増えました。“五月の雪”と呼ばれているようですが、見ごろは4月下旬だそうです。
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50歳の恋愛白書

2010-02-19 01:11:33 | the cinema (カ行)
人生半分過ぎたら、やりたいことだけやろう。
原題 THE PRIVATE LIVES OF PIPPA LEE
製作年度 2009年
上映時間 98分
原作:脚本;監督 レベッカ・ミラー
音楽 マイケル・ロハティン
出演 ロビン・ライト・ペン/アラン・アーキン/マリア・ベロ/モニカ・ベルッチ/ブレイク・ライヴリー/ジュリアン・ムーア/キアヌ・リーヴス/ウィノナ・ライダー/マイク・バインダー
誰から見ても理想的な女性、ピッパ・リー(ロビン・ライト・ペン)。50歳まで美しく年を重ね、夫ともうまくいっていた。しかし、若いころのピッパ・リー(ブレイク・ライヴリー)の人生は波瀾(はらん)万丈だった。そして現在、幸せながらも物足りなさを感じていたピッパ・リーだったが、15歳年下のクリス(キアヌ・リーヴス)と出会ったことから変化が訪れる。

コチラは一度も予告を観ることもなく、そのタイトルから大人のラブストーリーで、
珍しくロビン・ライトが軽いラブストーリーで主役なんだわ♪と、決め付けて観にいきました~。ら、違ってました。。。

これは人生のターニングポイントを迎えた一人の主婦が、
自分の50年を振り返り、人生における幸せとはなにかを探り、自分を取り戻すまでをみつめた物語でした。

ピッパ・リーの夫ハーブは30も年上。出版業界で成功しているが、心臓発作を起こした為、
引退した老人ばかりが住むコネチカットのコミュニティに引っ越す。
誰もが羨む裕福な家庭の理想的な妻。
しかし、その退屈な生活は必要以上に夫に手をかけることになり、
理想的な夫婦の間に、精神的にも、肉体的にも変化が忍び寄って来ていた。

30年も良い妻であり、2人の子供を育て上げてきたピッパは、思い出す―。
私はこんな女ではなかった―。

そして彼女は原点から振り返る…

幼いピッパ・リーの残酷とも言える家庭環境もコミカルに
クスリに溺れていたケイハクな青春時代もポップに、手短に繰り広げられて、
そんな雰囲気のままその事件は突如起き、
彼女は平安を手にしたかのように30年を生きてきたのだ.....

ハッキリ言って、精神疾患と一言でいってしまうともう、、何も言えないものがある。
薬物中毒も、あまりに遠くて、
その行動や言動には、こういう作品などでしばしば学習はしているものの、到底理解は出来ない。
しかし―、
その理解できない人物ばかりがうじゃうじゃ登場する過去と現在なのだけれど、
思わず引き入れられてしまった!

暗くなりがちなテーマを、時にユーモラスにテンポよく、
重くなり過ぎない運びが良かったし、
共感はしなくとも、ピッパの爽やかな決断に胸のすく思い。

マリア・ベロ、モニカ・ベルッチ、ウィノナ・ライダーと、
豪華女優陣の演技が素晴らしかったです

いつか、誰の身にも起きる人生のターニングポイント。
それは冬の嵐のようにやってくるのか、回転ドアを潜り抜けるが如きものなのか?
ちょっと考えさせられるものがありました
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ゴールデンスランバー

2010-02-05 22:48:42 | the cinema (カ行)
無実の男、首相暗殺犯に断定
製作年度 2009年
上映時間 139分
原作 伊坂幸太郎
脚本 中村義洋/林民夫/鈴木謙一
監督 中村義洋
音楽 斉藤和義
主題歌 斉藤和義『Golden Slumbers』 エンディングテーマ 斉藤和義『幸福な朝食 退屈な夕食』
出演 堺雅人/竹内結子/吉岡秀隆/劇団ひとり/柄本明/濱田岳/渋川清彦/ベンガル/大森南朋 永島敏行/伊東四朗/香川照之

巨大な陰謀に巻き込まれ、首相暗殺の濡れ衣を着せられた宅配ドライバーの決死の逃避行をスリリングに描く、伊坂幸太郎の同名ベストセラー小説の映画化。
凱旋(がいせん)パレード中に首相が暗殺された仙台、宅配ドライバーの青柳(堺雅人)は、久々に再会した旧友の謎の言葉を聞いた直後、警官から突然銃を向けられる。訳もわからず逃げ出した彼は、身に覚えのない証拠と見えない力によって無実の首相暗殺犯に仕立てられていく。絶体絶命の中、青柳は大学時代の仲間たちに助けられながら逃亡を続けるが……。

仙台でごく平凡な人生を送る男が、
これまたごく平凡な学生時代の同級生と10年ぶりに会う。
森田との再会に嬉しさを隠せない、お人よしの地元のヒーロー・青柳。
この作品ではまず序盤にひとつのクライマックスがやってきた感じです。
森田との車中でのひと時―。

人間の最大の武器は信頼と習慣
イメージだ。
どんなに無様な姿晒してもいい。逃げて、お前は生きろ。


森田の人生を賭けたメッセージに、吉岡秀隆さんの泣き笑いの懇願に、
もう半分泣きそうでした。
そしてあの声にならないGolden Slumbers・・・
「お前、オズワルドにされるぞ」

アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』でも、市井の人の心の中にある
「正義」や「勇気」がテーマになっていましたが、
本作では、それよりも愛する人たちの「生命を護る」戦いに終始していました。
生きて、戦って、生き延びること―。

今回のは、テキは大きすぎて、リアリティは余り感じないものの、
キャストがみんないい味を出していたし、散りばめられた伏線とアイテムがピタピタと嵌っていく面白さがあり、
やっぱり、伊坂+中村監督作品ってこういうゆるさの中にちゃんと前向きになれるメッセージも入ってていいです!

ハリウッドを意識し過ぎで、警官が威嚇射撃もなくいきなり命を「狙う」発砲とか
ニヤニヤ笑いながらゴルゴ13のように狙撃してくる永島さんはツボでした~。
アンタぜ~ったい刑事じゃないだろおぉぉぉーーーっ!!

そして伊坂+中村作品に欠かせない濱田岳くん、今回もよかったです!
 キモ可愛いふたり(笑)

そして常連、もうひとりの斉藤和義さん、さすがにビートルズファン!味のある、ゴールデンスランバーでした。。

伊坂さんも中村監督もともに70年代初めの生まれ、ビートルズやボブ・ディラン世代ではないはずなのに、
この時代の音楽をモチーフにした作品が多いのはちょっと不思議だと思うけど、いつもピタッと作品にあっている。
このGolden Slumbersとともにあの頃好きだったポールのジャンク(Junk)も聴いてみたくなった、ギリギリ世代の私です。

   Once there was a way to get back homeward
   Once there was a way to get back home....
     Sleep pretty darling do not cry
     And I will sing a lullabye......
そして、その人と心を同じくする思い出のメッセージは届く...... 

残された武器は 人を信頼すること ―…
大変よく出来ました 

公式HPのコンテンツ、シークレットーギャラリー13ステージ、やっとクリア出来ました~
おヒマな時みなさんも挑戦してみては?結構難しかったです
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今度は愛妻家

2010-01-27 01:05:53 | the cinema (カ行)
夫婦には「さよなら」の前に、やらなければならないことがある。
製作年度 2009年
上映時間 131分
原作 中谷まゆみ
監督 行定勲
出演 豊川悦司/薬師丸ひろ子/水川あさみ/濱田岳/城田優/津田寛治/奥貫薫/井川遥/石橋蓮司

脚本家・中谷まゆみ原作の同名舞台劇を豊川悦司、薬師丸ひろ子主演で映画化した感動の夫婦愛ドラマ。
かつては売れっ子カメラマンだったが、今や仕事をせずプータロー同然の生活を送る俊介(豊川悦司)は、健康マニアの妻さくら(薬師丸ひろ子)に日々ニンジン茶を注がれ、子づくり旅行をせがまれていた。やがて、クリスマス直前のある日、二人は沖縄旅行に行くことにするが、その日を境に俊介とさくらに微妙な変化が訪れる―。

ぐうたらなダメ夫、俊介がなぜ、いつからプータロー同様の生活になったのか?は説明が無い。
が、結婚10年目。
さくらの子作り、子育てプランももう後が無い状態。
「子どもを作る気がないなら、別れて」そう切り出されても、内心鬱陶しいと思っている俊介…。
「実は好きな人が居る」というのだ。。。

原作は舞台の戯曲というので、どうしても映画にすると間の悪さがあるのだけれど、
それも納得のこれは展開になっていくのです。

バカは死ななきゃ治らない とか、、ちがうよねぇ……ちがうの、ごめんなさい
そもそも気がついたからバカじゃないし、、、でも、
今度は愛妻家――今度って、、いつ?!  みたいな…

我慢強く、可愛い妻を演じてきたさくらに、女性は共感するでしょう。
くだらないことばかりいつも喋ってる妻を横目に、鬱陶しがる俊介をみながら、世の亭主族は居心地が悪いかも知れない。
なので、これは何も夫婦揃ってみなくてもいいんです。

今日の続きが「明日」そう思って、
今日が最後だなんて思いもしない私たち。
何気ない今日が、特筆するナニモナイ今日の幸せを気づきもしない。

何もしたくない、そんな日。
こっそり一人で観てみたい、そんな作品でした。

大爆笑はないですが、ちょこちょこ可笑しい。
8年前の舞台では高橋長英さんが演じていたオカマ役、石橋蓮司さんがスゴイ
いやぁ~~~っ!新境地?(爆)
あと、私的にツボだったのが津田寛治さんのシーン
このひと、なんてわざとらしいのぉ~って、妙にコノ中では浮いているのが巧いです~

少し可笑しい。長く~く可笑しい(笑)みたいな
ゆるいテイストが、沖縄旅行のシーンを境に変わりますが、
怒涛の展開も無いし、おそらく夫婦の、俊介の秘密には早い段階で気づく方が多いでしょう。
ですが、たくさんの当たり前を当然としている大人たちも、
スタートはトキメキ、当たり前を知らなかった。
恋をして結婚したはずなのに、結婚は、
して当たり前、して貰って当たり前という感謝の無い夫婦を作ってしまう。
そんな哀しい大人にならないために(笑)若い人にはカップルで観て欲しいです
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(500)日のサマー

2010-01-18 22:18:06 | the cinema (カ行)
運命の恋なんて、
あるに決まってる。

原題 (500) DAYS OF SUMMER
製作年度 2009年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 96分
監督 マーク・ウェブ
音楽 マイケル・ダナ/ロブ・シモンセン
出演 ジョセフ・ゴードン=レヴィット/ゾーイ・デシャネル/ジェフリー・エアンド/マシュー・グレイ・ガブラー
グリーティングカード会社で働くトム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、新入りのサマー(ゾーイ・デシャネル)に一目ぼれしてしまう。ある日、好きな音楽をきっかけに意気投合し、いいムードになった二人。そんな中トムは、サマーに対して「彼氏はいるの?」と聞くと……。

セントアンナの奇跡」でどこか亡きヒース・レジャーの面影を見つけてしまって以来キニナル俳優で、こちらの作品も楽しみにしていました。
タイトルからしてある予感は働いていましたので、それがどんな風に展開されていくのか?
そこに期待していましたが、これが劇場公開作品初メガホンというマーク・ウェブ監督は
ミュージッククリップを手がけているだけあって、
ポップで楽しい500日と1日♪素敵なロマコメでした

建築家を志しながらもカード会社でライターの職に甘んじているトム。
ロマンチストの彼はいつか素敵な恋人に出会えると信じていたそんなトムの前にキュートな
新入社員サマーが現れ一目惚れ
出会いから4日目にいい予感
28日目にはカラオケバーで、チャンスがやってきて…と、
トムは振り返る、、、。
が、こちらも最近流行の時系列がばらばらで、トムの脳内にまかせた二人の500日が展開されていく方式。

始めに「恋人なんか欲しくない。縛られるのはイヤ」といったサマーの言葉も、
二人の関係が続けば変わっていくはず・・と、距離が縮まっていくことに有頂天になる恋するトム
100日を過ぎる頃には、サマーにとって自分は特別な存在だと思え、
お気に入りの場所に連れて行き、幸せを感じていたのに…

これでも二人の関係は…

最初から最後まで男性目線のラブストーリーというのは珍しいかも知れません。
大体ラブストーリーって、片側からしか描かれていないと感情移入し難いし、
どちらかが魅力に欠ける物語になってしまうところ、コチラは珍しくいい感じのフィニッシュだったのではないでしょうか

とはいえ、サマーのような信念を持っていたにせよ、あの展開を迎える女性は希でしょうし(笑)
男にせよ女にせよ、相手に自分のロマンを重ねて恋して、やがてどうにもならない現実を突きつけられるまで気づかないって、よくある話で
そんな珍しくも無い男女の上手くいかない恋がポップに描かれていて、好感が持てます♪

トムの喜怒哀楽の表情がなんとも魅力的で、
ジョセフ・ゴードン君の、泣いても怒っても舞い上がっても(笑)チャーミングなあの目がよかった

IKEAで息の合った夫婦を演じたり、名作「卒業」を観る辺りも何事かを予感させたり、
初めてのベッドイン後の天にも昇るようなシーンも初々しく(笑)
見せ方も上手いし、演じる二人もキュートで爽やか
傷ついても自分を取り戻し、新たに夏から秋へと(笑)1歩踏み出すラストもいいんじゃないでしょうか~
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海角七号/君想う、国境の南

2010-01-09 18:26:21 | the cinema (カ行)
時が流れても、心に残る歌がある。
遠く離れても、忘れられない人がいる。

原題 海角七號
製作年度 2008年
製作国・地域 台湾
上映時間 130分
監督・脚本 ウェイ・ダーション
出演 ファン・イーチェン/田中千絵/中孝介/イン・ウェイミン/マー・ニエンシエン/ミンション/イン・ウェイミン/マイズ/レイチェル・リャン


この作品は、本国台湾で『タイタニック』に次いで歴代2位の映画興行成績を収め、空前の大ヒットを呼び込んだという作品。
久々に苦手なシネスイッチ銀座にて鑑賞。結構混んでいましたがなかなか良かったです

日本統治時代と、その60年後のふたつの物語がリンクするラブストーリーということで
自分なりに想像して行きましたが、最後までわざとらしさの無い淡々とした人々の描写に、
この監督の愛情を感じる作品になっていました。
私の思い描いたストーリーにはなりませんでしたが、それがいい意味で裏切られた感じです。

 台北でミュージシャンとして成功するはずが、夢破れて故郷・恒春の実家に舞い戻ってきた青年、阿嘉(アガ)。郵便配達のバイトを始めることになった彼は、届け先不明の郵便物の中に日本統治時代の住所“海角七号”宛ての小包を見つける。中には、60年前、敗戦によって台湾から引き揚げざるを得なかった日本人教師が、恋人の台湾人女性に宛ててしたためた7通のラブレターが入っていた。その頃、町では日本人歌手・中孝介を招いての町興しライブを目前に、前座を地元のバンドが務めることが決まり、準備に大わらわ。急遽、即席の素人バンドが結成され、阿嘉もボーカルとして駆り出されてしまう。一方、恒春でポスター撮影の仕事をしていた売れないモデルの友子は、通訳兼世話役としてそのまま現地に留まり、前座バンドの面倒を見るハメになってしまうのだが…。


日本語で鼻歌を歌いながら80歳の今でも郵便配達をしている人間国宝の(笑)茂(ボー)じいさんの代わりに
郵便配達のバイトをする阿嘉は、初日からトラブルに見舞われ、未配達の手紙とともにあて先不明の為本局に送り返す小包みまで持ち帰る。
ふとした誘惑にかられて覗き見たそれは、一つの恋を諦める、心にしみるラブレターだった…。
以来、その胸を打つ「海角7号」の友子宛の手紙が気になる阿嘉だったけど、町興しライブのバンドメンバーとなり、
郵便配達どころか、曲作りに追われることになる―。

一方モデルの友子も、遠く日本を離れてまでモデルとしての活躍を夢見てがんばってきたのに、田舎のライブの通訳兼監督を押し付けられ苛立っていた。

その町興しライブのバンドメンバーがなんともいえない(笑)
友子や阿嘉でなくとも、信じられない子供や老人の地元生え抜きのメンバー。

若者はこの美しい町を離れ、都会を目指す。
その現実を憂える、ゴリ押しの市議会儀員の「地元」へのこだわりが、彼らの何かを変えようとしていた。
この町に残っている彼らもまた真剣に打ち込む何かを求めていたのだから。

やりたいことがあるのに夢に届かない…
くすぶり続けた日々にさよならしたいそんな誰も…
…。

60年前の日本人教師と阿嘉がすれ違い、いくつもの出会いがこの恒春で待っていた。
帰国する船の中から恋人を想い書き綴られる遥か昔の青年と出会い、、
失意の中で、激しく自分の扉を叩き続ける恋と出会い、
手がかかるけど同じ目的で集まったバンドメンバーとも触れあえ、
つまらなかった阿嘉の故郷での日々が変わろうとしていく物語―。


主人公阿嘉(アガ)を演じたファン・イーチェンは、もともと台湾で人気の歌手だということですが、
屈託のある表情や、投げ出したくて投げ出せない人生に苛立つ青年の心情がとても自然でよかった

劇中に流れる手紙も、これがイマドキでない素敵なラブレター!
何度か登場する、阿嘉の秘密の場所であり、他のメンバーも実はお気に入りの海を見渡すポイントも、
そして、中孝介のライブ当日も!
コミカルさと郷愁を誘うシーンもいいバランス
公開劇場が少ないのがとても残念な愛しくなる作品でした~

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華麗なる恋の舞台で

2009-12-30 13:34:40 | the cinema (カ行)
女であること、恋をすること、私であること
原題 BEING JULIA
製作年度 2004年
上映時間 104分
原作 サマセット・モーム 『劇場』
監督 イシュトヴァン・サボー
出演 アネット・ベニング/ジェレミー・アイアンズ/マイケル・ガンボン/ブルース・グリーンウッド/ミリアム・マーゴリーズ/ジュリエット・スティーヴンソン/ショーン・エヴァンス/ ルーシー・パンチ/モーリー・チェイキン

イギリスの文豪サマセット・モームの傑作を基に、人気女優の生き様をエネルギッシュに描いた人間ドラマ。
1938年のロンドンで舞台女優としてトップを走るジュリア(アネット・ベニング)は、舞台監督の夫マイケル(ジェレミー・アイアンズ)や聡明な息子ロジャー(トム・スターリッジ)と平穏な家庭を築いていた。そんな中、ジュリアは母子ほど歳の違う米国人青年トム(ショーン・エヴァンス)と出会い、やがて恋に落ちる。

こちらも劇場鑑賞を逃したのが悔やまれる、大人の女性の人生を謳った素敵な作品でした

若さと共に失っていく美貌。
40代も半ばを過ぎると、ジュリアのように舞台人でなくとも、女はそのことに気づき、
恐れもし、立ち止まり、自分を見つめ直す。

1938年のロンドン。
人気女優のジュリアは、満たされながらも、マンネリ化した生活に苛立っていた。
夫婦であり、舞台に関しても彼女のよきパートナーである夫マイケルは、何気なく(、のように
ジュリアのファンだというトムを紹介する。
ここからして、このジェレミー・アイアンズ扮する舞台監督の夫が、今、この女優に必要ななものが何であるか?知っていたという気がする。

そして、思惑通り(だと、私は思う)彼女に恋がやってきて、
彼女は息を吹き返すのだから♪
恋する女であり、息を吹き返した女優。
しかし良き友人、チャールズ卿の予感は現実的であり、、
そんな第一幕の後、彼女の恋の第2幕が幕を開ける。

ジュリア自身の恋の舞台を見守るチャールズ卿役のブルース・グリーンウッドと息子ロジャー(トム・スターリッジ)を興奮させる瞬間は、
世の不条理をなんとなく受け入れざるを得ない日常を清々しく吹き飛ばす爽快さが味わえます



これは記事がかなり遅くなりましたが、ジュリアのナイーヴな息子を演じているのは、
パイレーツ・ロックで高校中退して船に乗り込んでくるあのカール役のトムくんです。
これからが楽しみな一人です

サマセット・モームの妻は、有名なインテリアデザイナーでもあったリー・モーム。
一室に鏡が60枚もあった極端な例もあったというから驚き。
この作品のジュリアの寝室はそのリー・モームの作品をモデルに作られたとか。
インテリアやファッション、照明など趣があり素敵です
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風が強く吹いている

2009-11-26 23:45:42 | the cinema (カ行)
俺たちはつかんだ。
人生を変える、一歩を。

製作年度 2009年
上映時間 133分
原作 三浦しをん『風が強く吹いている』(新潮社刊)
監督・脚本 大森寿美男
音楽 千住明
出演 小出恵介/林遣都/中村優一/川村陽介/ダンテ・カーヴァー/橋本淳/ 森廉/内野謙太/斉藤慶太/斉藤祥太/水沢エレナ/五十嵐隼士/渡辺大/津川雅彦

直木賞作家・三浦しをんの同名小説を映画化した青春ストーリー。
寛政大学の4年生ハイジは、新入生のカケルに声を掛けると半ば強引に自分が寮長を務める竹青荘に入居させる。まかない付きで3万円という破格の家賃の裏には陸上部への入部という条件が付いていた。カケルは、高校時代には将来を嘱望されていた天才ランナーだったのだ。そんなカケルとの出会いが、ハイジに無謀な夢への一歩を決意させる。そして、寮の住人たちを前にして、このメンバーで箱根駅伝に出場する、と宣言するのだった。しかし、ハイジとカケル以外の残りの8人は、ハイジのつくるおいしいまかない料理目当てで入居(=入部)した、陸上とは縁遠い素人集団だったのだが…。

公開されて1ヶ月近くが経っていて、他に気になる作品もあったのに、
なんだか疲れていて、元気になれる作品が観たかったのでコチラをチョイス。
といっても、1日に2回の上映になっていたのでかなり時間的に無理はしましたが、
ほぼ予想どうりの地味な陸上競技のお話。
舞台が箱根であっても、その練習風景は極めて地味。。。

でも、奇を衒わない演出に心地よく入り込めました。

特別出演の有名女優や俳優を除けば、林遣都と、小出恵介、川村陽介、五十嵐隼士といったROOKIESつながりの学生役を見知っているだけで、
そんなスター俳優は出ていない。

寛政大学陸上部の青竹壮の住人たちは、自分たちの為に毎日美味しい飯をつくってくれ、母親のように面倒をみてきてくれたハイジ(小出恵介)が決めたことだから、
なんとなく断れなくて箱根を目指すことになる。

ハイジが集めてきたメンバーは、彼に言わせればそれなりに資質は十分だが、
長距離を専門にやってきたのはハイジとカケル(林遣都)だけ。
それでいきなり箱根の山を目指すというのだから、上手く出来過ぎの感もないとはいえないけれど、
実際、毎年行なわれるホンモノの箱根駅伝にも、似たようなドラマは現実に起こっている。

10人のメンバーの過去の傷や個性を短く語りながら、やはり、
たった一度の青春の日に、たとえそんなにのめり込む物がなくても、
心を通わせた仲間のために一歩を踏み出せば、
苦しい日々の向こうに、きっと何もしなかった昨日と違う明日がある!と感じさせてくれる。

さすが日テレと感じさせる画と、緊迫感においてチョット・と思うところもあったけれど、
普通の青年たちの夢にも思わなかった挑戦。
なかなかよかったです!
元々箱根駅伝は毎年みているのでそうだったのか?2時間越えの作品だとは終わるまで気づきませんでした!

特別好きな俳優も出ていなくて、
大感動とかっていうのではないけれど、
コミカルさとドキュメンタリーのようなリアルな演出のバランスもよく、
楽しんで観れた青春ドラマでした

久々の千住さんの音楽もよかったです
コメント (6)
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九月に降る風

2009-10-25 11:59:28 | the cinema (カ行)
この煌めきが風になる
製作年度 2008年
原題 九降風/WINDS OF SEPTEMBER
製作国・地域 台湾
上映時間 107分 PG-12
プロデューサー エリック・ツァン(曾志偉)、イェ・ルーフェン(葉如芬)
監督・脚本 トム・リン(林書宇)
出演 リディアン・ヴォーン(鳳小岳)/チャン・チエ(張捷)/ジェニファー・チュウ(初家晴)/ワン・ポーチエ(王柏傑)/リン・チータイ(林祺泰)/シェン・ウェイニエン(沈威年)/チウ・イーチェン(邱翊橙)/チー・ペイホイ(紀培慧)/リー・ユエチェン(李岳承)

台湾期待の新鋭・トム・リン監督が、自身の高校時代を重ね合わせて描く切なくも瑞々しい青春グラフィティ。
1969年9月、高校3年生のタン(チャン・チエ)は仲間たちと野球観戦に出かける。親友のイェン(リディアン・ヴォーン)を筆頭に、最年長だがいまだ高校2年生のヤオシン(ワン・ポーチエ)や、1年生のチーション(チウ・イーチェン)らを含む7人組はいつも騒動の渦中にいた。今回も彼らは野球場でばか騒ぎし、教官室に呼び出され……。

リーダー格のイェンは公認の恋人ユンがいるが、街で可愛い子を見かけるとナンパし、ポケベルの番号を訊きだす。
そんな彼と親友でありながら同級生のタンは、ユンの数学を見てあげているが、実は彼女に惹かれている。
もう一人の3年生で超人というあだ名のチンチャオは実はイェンが好き。タンには複雑な思いを抱えている。

それでも放課後にはポケベルで連絡を取り合い、憧れのプロ野球選手リャオ・ミンシュンの試合を観戦したり、
夜のプールで皆でじゃれあったりと仲良しだ。
このポケベルも懐かしいアイテムだけど、重要なキーとなる。

チョイト見のブログで、この7人の友情に何かがあって、
その友情にひびが入る的なことがかいてあったと思うので、
かなり序盤からドキドキして、はしゃぎ過ぎな彼らを見守っていました。。。

107分という短い時間に、彼らの関係性は短く語られていて無駄なセリフも無く、
ちょっとでも聞き逃したり、見逃せば??が残るかも知れない緻密でタイトな作品。


たったひとつの行動が・・ちょっとしたいつもの思い遣りが・・たったひとつの嘘が・・・

何もしなければ、何事も起こらなかったかもしれないあの頃・・・
何が起こっても不思議ではなかったともいえるあの頃・・・
幾つものもし・・を、この彼らに代わって遡ってみたくなり、
かけがえのない青春の痛みを知る物語にこころはもう水色...

監督自身の学生時代の体験を基に脚色されたものらしいですが、
よくある学校の問題児のエピソードばかりなのに、
この7人の性格が、ちょっとしたセリフや何気ないショットでちゃんと表現されていて、
2度と戻らない青春の輝きと傷痕に心が震える。忘れられないドラマになっていました

九降風=台湾北西部の町、新竹に9月になると降る季節風。
この時期の台湾では卒業と入学が続く人生の節目の季節なので、日本で言えば桜のような存在だとチラシにありました。

迷いながら行った『ジャック&ベティ』,若い女性が多かったですが、
これ、、男子に観て欲しい作品です
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この道は母へとつづく

2009-10-23 23:05:07 | the cinema (カ行)
ほんとうのママに会いたい──
原題 ITALIANETZ/THE ITALIAN
製作年度 2005年
製作国・地域 ロシア
上映時間 99分
監督 アンドレイ・クラフチューク
出演 コーリャ・スピリドノフ マリヤ・クズネツォーワダーリヤ・レスニコーワユーリイ・イツコーフニコライ・レウトフ

顔も知らない母親を探し求めた少年の実話を、ロシアの新鋭アンドレイ・クラフチューク監督が映画化した感動作。
ロシアの孤児院で暮らす6歳のワーニャ(コーリャ・スピリドノフ)は、幸運にも養子を探しに来たイタリア人夫婦に引き取られることになる。院の仲間たちからの嫉妬(しっと)と羨望(せんぼう)のまなざしを浴びる中、「引き取られる前に、一目でいいから本当のママに会いたい」という気持ちを募らせた彼は、実の母親を探しに孤児院を脱走してしまう。

フィンランドとの国境近くの孤児院に向かう一台の車には二組の男女が乗っていた。
一組は仲睦まじい夫婦であることは窺えるが、もう一組の、というよりもう一人の女性がなにやら不安を煽る。
そう、、彼女は孤児を子のない裕福な夫婦に斡旋して高額を得る業者だった。

お金持ちの家に貰われる子は幸せ―
そのチャンスに恵まれないまま大きくなった子供たちは、子供だけで稼ぎ、自分たちのルールの中で働き、生きていくしかない。
それはまた、大人の社会の構図を真似たシステムにもなっている事が丹念に描かれている。

その幸運なチャンスに恵まれた6歳の少年ワーニャは、イタリア人夫婦の養子になると言うことから、
早速"イタリア人"と呼ばれることになる。
からかいに見えるそのあだ名の裏には、院に残る子供らの羨望と嫉妬が混じっている。
ここに留まり大きくなれば、犯罪に手を染めながら生きていく運命なのだから....。

大人しく賢いワーニャが、その頃起きたある出来事を境に、記憶にもない自分の母に会いたくなり、
一生懸命に知恵を絞り「そのために先ず何が必要なのか」数々の障害もあるものの
一番に必要な勇気は持っている。
そして始まる"追跡"を逃れながらの冒険の旅!

執拗に追ってくる"マダム"と、その運転手。
これが怖いのです~。黒い車体が視界に入るだけでドキドキ
僅か6歳の少年が、ひと目だけでも母に会いたい一念で数々の危機にも臆せず、
温かな見知らぬひとの援けを受けながら、ただひたすらその道を進みます。

先ず、自分の名前は誰が付けたのか?
母は自分の子が"ワーニャ"であると知っているのか?
訪ねる母の名前は何というのか?に始まる孤児の事情など、
舞台となるロシアの社会における貧しい孤児たちは、度々テレビなどで取り上げられ、
過酷な環境でも逞しく生きていく子供たちは目にしているけど、
重いばかりではない、ワーニャの物語。
どんな人の中にも流れている温かなものも描かれていて、そのラストもいい

この作品に登場するほとんどの孤児は素人で、みんな孤児院の子供だそうです。
だから、なのか、
養子に選ばれなかった子供たちの瞳に宿る悲しみや羨望が、とてもリアルでした。
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クヒオ大佐

2009-10-19 23:32:50 | the cinema (カ行)
嘘のない恋愛なんて、
退屈でしょう?

製作年度 2009年
上映時間 112分
原作 吉田和正 結婚詐欺師クヒオ大佐』(新風舎文庫刊)
監督 吉田大八
出演 堺雅人/松雪泰子/満島ひかり/中村優子/新井浩文/児嶋一哉/安藤サクラ/内野聖陽

カメハメハ大王の末裔のアメリカ人パイロット“ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐”と名乗り、何人もの女性を騙し続けた実在の結婚詐欺師,吉田和正原作の「結婚詐欺師 クヒオ大佐」を映画化した、型破りな人間ドラマ
1990年代初頭、クヒオ(堺雅人)は、自分はアメリカ軍特殊部隊のパイロットで、エリザベス女王とも血縁関係にあたるなどと吹聴し、次々と女性たちをだましていた。だが、実際彼は純粋な日本人で、華麗な経歴もすべて自ら作り出したものだった。弁当店を営むしのぶ(松雪泰子)も彼の立派な軍服姿にころりとだまされ、懸命にクヒオに尽くすが……。

これ、当時のニュース、話題になりましたよね~。
おぼろげながら覚えています。「え~、なんでぇ?こんな男にぃ~」でした(笑)
それに比べたら堺さんのクヒオ大佐なんて、カッコよずぎるんじゃないの~と、心配しましたが、
そんな心配は無用ノ介でしたぁ~(爆)

いちいちワザとらしい登場の仕方。
日本語上手すぎるガイジン(???)
大佐なのに車も鞄持ちもいない任務ばっか。気づけよ~~

実際のクヒオに比べると、騙しの手口は似ていても、
被害額にとんでもない差!
その小粒っぷりが、この作品のキャラを楽しいものにしてました~

足代わり、お財布代わりに使われていた第一のターゲット、弁当屋の女社長・しのぶからはある程度貢がせていたようだけど、
博物館学芸員の浅岡春などはまだ若いし、それほど結婚願望が強いとは思えず
銀座のホステス須藤未知子に目をつけた時も、実は違う女性を狙っていたのを急遽乗り換えた感があり、
どうにも凄腕の結婚詐欺師に見えない

それどころか、なんだかしのぶの弟(新井浩文)じゃないけど、ダメだしすらしたくなる
だって、、エーゴ出来なくちゃダメじゃん

しのぶの弟の出現で、かなり面白くなります
度々窮地に陥る場面での堺クヒオの瞬きの早さが笑えます
あんぐりお口も閉じてあげたい(爆)
ふてぶてしさより、ナルちゃんっぽくて、だからターゲットの選び方もダメなんだと思うと、
憎めないのよね~。

あのコスプレも、口からでまかせの嘘も、実は彼の願望そのものだったのかと思える。
彼は女性に夢を与えているようで、実は自分がその夢の中の住人だったのだろうという気がする。
心地よい嘘の世界・・・。その嘘は実は誰にとって一番素敵だったのか。
楽なばかりの仕事などない。
事実と大きく違う本作のクヒオは、そう云っているのだろうか。
悪人らしくないダサい詐欺師、堺さん、はまり役
コメント (10)
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ガタカ

2009-10-14 23:22:20 | the cinema (カ行)
残酷なまでに美しい未来…愛だけでは君に届かない
原題 GATTACA
製作年度 1997年
上映時間 106分
監督・脚本 アンドリュー・ニコル
音楽 マイケル・ナイマン
出演 イーサン・ホーク/ユマ・サーマン/アラン・アーキン/ジュード・ロウ/ローレン・ディーン/ゴア・ヴィダル/アーネスト・ボーグナイン/ザンダー・バークレイ/イライアス・コティーズ

遺伝子操作により管理された近未来。宇宙飛行士を夢見る青年ビンセントは、劣性の遺伝子のため希望の無い生活を送っていた。そんなある日、ビンセントは闇業者の手配により、事故により身障者となった優秀な遺伝子をもつ元エリート、ジェロームに成りすます偽装の契約を結ぶ。そうして、ジェロームの遺伝子を借りてエリートとなったビンセントは、宇宙飛行施設“ガタカ”に潜り込む。が、そんな中、彼の正体に疑いを持っていた上司の殺人事件が起こり……。(allcinema ONLINE)

遺伝子工学が発展した近未来―。
無邪気な若い夫婦が、出産の場合の選択をする。
この時代の妊婦は胎児の間に劣勢の遺伝子を排除することが出来る上、既往症予測、果ては寿命までが判るシステム。
「なにを思ったのか両親は・・」というビンセントの長いナレーション。
彼の不運の人生は、両親が遺伝子操作を望まず、自然なままで出産という出生時に既に決定していた。
遺伝子操作をされたエリート集団の中には入れない。一生下層階級としてしか道はない。

無邪気な両親はビンセントの「遊び相手に」という軽い気持ちで、
だが今回は医師のススメを受けマイナスの遺伝子は全て取り払った、優秀で健康な遺伝子をもつ弟アントンを儲ける。
心臓の持病を持つビンセントの、何をしても決して勝てない相手が弟だった。

ある日兄弟の肝試し遠泳で、いつものように沖に向かっていたビンセントの前に弟は居ない・・。初めての勝利。
劣勢の遺伝子をもつ「神の子」の彼には叶えられない宇宙飛行士の夢。。。彼は希望のない家を出る―。
DNAで全ては管理されているのだけれど....。

コチラも派手さはないけど、サスペンスフルで、
じんわりとした恐怖、じんわりとした怒り、
押し寄せる悲しみに心を締め付けられます。

ビンセントの孤独と絶望。
ジェローム・ユージーン・モロー(ジュード・ロウ)の厭世観と閉塞感。
アントンを覆う寂寥感。

寿命までが判っていて、どこに身体的弱点があるのかも瞬時に当局に判る社会で、
それでも夢を持ち続ける、現代の私たちと同じ「神の子」ビンセント。
安易に髪を掻くことも出来ないし、紙コップも捨てられない。
この社会は緊張感に満ちていて、
かすかな笑みはあっても笑い声のない世界。たとえ恋をしても―。
愛の前に、必要なものが欲しかった彼――

静かに忍び寄る恐怖に息苦しくなりながら、
なぜかビンセントを逃がしたい・・・。この世界から。この地球から...。
DNAに苦しむ二人の男が悲しい。けど、好きな作品でした・・・
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カイジ 人生逆転ゲーム

2009-10-12 01:01:27 | the cinema (カ行)
考えろ、裏をかけ。
そして未来を手に入れろ。

製作年度 2009年
上映時間 130分
原作 福本伸行
監督 佐藤東弥
出演 藤原竜也/天海祐希/香川照之/山本太郎/光石研/松尾スズキ/佐藤慶/松山ケンイチ

自堕落な日々を送る26歳のフリーター伊藤カイジ(藤原竜也)は、友人の借金の保証人になったために多額の負債を抱えてしまう。そんな彼に金融会社社長の遠藤(天海祐希)は、一夜にして大金を手にできる船に乗ることを勧める。その船で奇想天外なゲームをするはめになったカイジは、人生を逆転するための命懸けの戦いに挑む。

いまやテレビでも映画でも漫画原作の実写化が激増というのも頷ける面白さ、
コチラも、原作は全く知らないで観に行きましたが、解りやすく、面白かったです!
初日の午後の回、大勢の若者に混じって楽しんできました!

初っ端から中学生の清掃シーンみないな藤原くんに、そうそう、あんなだったよね~と、いきなり親目線(笑)
その人物像に危うさを覚えながら、ある程度闇の世界の予測はついてしまいますが、
ドラマの「ライアーゲーム」は複雑で乗れなかった私でも付いていけるシンプルなゲーム。

ゲーム開始時からあからさまな組織側の(勝ち組?)罵詈雑言。
カイジを含む負け組みのこれまでの「生きるスタイル」が曝されて・・・と、
これはある種、社会の中で大人が負うべき若者に向ける叱咤、指導する姿を、
そうしてこなかった大人や社会への自戒を込めた作品でもあると感じました。

うかうかと知り合い程度の「友人」の保証人になりながら、
その事実すら忘れ、
その日暮らしのような頼りない生活をしてきた情けないカイジは、借用書を前にしても言い訳三昧。
この時の遠藤サンのセリフには親として(笑)同感でした~。

ゲームが始まっても、借金が増えていくという事だけでもカイジにとってはなんとか逃げたい思い。
しかし、自分の都合のために下した安易な方法では直ぐに騙される。
それは信じるに足りる男か?という事よりも、楽な方に乗っかった結果。
しかし、進退窮まって一つ彼は勝つことへの最初のヒントを得る
それは、なにも勝負に勝つだけに限らない、ちゃんと生きていく為に必ず必要と思われることなんですよね。
しかし、ここで彼はまだほんの一歩、前進(人として)しただけ。
「限定ジャンケン」では命の危機はまだないのです。

そして彼の苦難の道すがら、彼は更に己の甘さ、人間の汚さと闘うことになるのです。

本当に悪趣味な「鉄骨渡り」、「Eカード」の真実
コレより先のキャストの演技はもう最高~

演出的に(?)な部分も個人的にはいくつか気になりましたが、
これはその非現実の展開と、役者の演技で引っ張っていかれます。
そして、何か上手くいかない現実に、いつも言い訳して逃げている気味な若者に、
ぜひ、カイジからの、というよりこの負け組みを演じた人たちからのメッセージを受け止めて欲しいと想いました。
モチロン、悪の帝国の面々からのがんがんな暴言も胸に!
最悪の状況でも人生は逆転でき得る!・・・かも?!

藤原くんと松ケンの2ショット~
カイジと利根川(香川照之)の心理戦!見応えありました
地下帝国の大槻(松尾スズキ)とのやりとりの場面もなかなかでした。
ここに載寧龍二くんの姿もありましたね、久しぶりでした。

やっぱり日本の漫画家はスゴイ面白いよ
コメント (24)
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