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製作国 イギリス/ブラジル
上映時間 114分
原作 アンディ・ムリガン『トラッシュ』(KADOKAWAメディアファクトリー刊)
脚本 リチャード・カーティス
監督 スティーヴン・ダルドリー
出演 マーティン・シーン/ルーニー・マーラ/ヒクソン・テヴェス/エドゥアルド・ルイス/ガブリエル・ワインスタイン/ワグネル・モウラ
「リトル・ダンサー」「愛を読むひと」のスティーヴン・ダルドリー監督がアンディ・ムリガンの児童文学をブラジルを舞台に映画化したジュブナイル冒険サスペンス
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リトル・ダンサーでは貧しい炭鉱の町の少年。愛を読むひとで病弱な文学少年と、哀しい宿命の年上女性の愛を描いたダルドリー監督の今作は、
リオの郊外の貧民街を舞台に、ジュブナイル冒険サスペンスと云えないほどの鬼気迫る2時間弱!
とっても面白かったです。
ラファエルが拾ったサイフのことをただ一人打ち明けたガルドの、ある行動によって、
刑事のフェデリコに目を付けられ、執拗に追われることになる。
そしてその異常さが少年たちに疑惑とともに、何としても謎を解きたい正義感に突き動かされ
独りぼっちで生きてきたラットを加えて危険な謎解きに挑んでいく。
開始3分で心拍数が上がり始め、謎解きとサスペンスに巻き込まれていきました。
そんなに過激な暴力描写はないものの、つきまとうフェデリコが十分怖い!
久しぶりに先の解らない展開にドキドキでした!
この、少年たちの逃走のさまは、彼らの日常的差別、貧困、を感じさせます。
暴力や、銃弾、執拗な追跡を、子供の身軽さと地の利と、単純にある心の正義でくぐり向けて――
僅かに14年の人生経験が、彼らに悪とキケンを嗅ぎ分けさせる!
政治家や警察は悪だと、彼らの防衛本能が言っているのが凄いなあと、感心しながら見守りました。
何も持たない少年たちが、ブレない心で大人の悪に挑む。
ちょっとお伽噺っぽい結末でも、最後までスピーディで爽快さがあって良かった
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11年ガーディアン児童文学賞を受賞し27カ国語に翻訳された本作は、舞台制作に関わりながらも
後に教師となった原作者の、ムンバイとマニラでの経験を基に書かれたものだそうです。なるほど
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2012年のカーネギー・メダル賞にノミネートされたという原作ですが、
少年の持つへこたれない信念と、取り巻くオトナたちが
ムリないギリギリの攻防で見せる脚本も演出もよかったです
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