to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

愛を読むひと

2009-06-28 00:40:10 | the cinema (ア行)
愛は本に託された
原題 THE READER
製作年度 2008年
製作国 アメリカ/ドイツ
上映時間 124分 映倫 PG-12
製作 アンソニー・ミンゲラ シドニー・ポラックドナ・ジグリオッティレッドモンド・モリス
原作 ベルンハルト・シュリンク 『朗読者』(新潮社刊)
監督 スティーヴン・ダルドリー
出演 ケイト・ウィンスレット/レイフ・ファインズ/デヴィッド・クロス/レナ・オリン/アレクサンドラ・マリア・ララ/ブルーノ・ガンツ

1958年のドイツ。15歳のマイケルは偶然出会った年上のミステリアスな女性ハンナに心奪われ、うぶな少年は彼女と彼女の肉体の虜となっていく。やがて度重なる情事のなかで、いつしかベッドの上でマイケルが本を朗読することがふたりの日課となる。ところが、ある日突然ハンナは姿を消してしまう。8年後、法学生となったマイケルは、ハンナと思いがけない形で再会を果たす。たまたま傍聴したナチスの戦犯を裁く法廷で被告席に座る彼女を見てしまったのだ。裁判を見守るマイケルは、彼女が自分が不利になるのを承知で、ある“秘密”だけは隠し続けようとしていることに気づく。その秘密を知るただ一人の者として、マイケルは葛藤し、答えを見い出せないまま苦悩を深めていくのだが…。

予告のみの情報しか持たないで観てきました。
確かにラブストーリーではありましたが、
舞台が戦後のドイツということを思い知らされるふたりの人生を素晴しい脚本で描いた
上質な人間ドラマでもありました。

1958年―15歳のマイケル(デヴィッド・クロス)は、気分の悪くなったところを21歳年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)に助けられる。その出会いからハンナに夢中になり、朗読と情事の時を過ごす。
しかし、ある日ハンナはマイケルの前から(?)姿を消してしまう。
彼女は何を恐れ、何から逃げたのか?

思春期の坊やの性の目覚め的なプロローグから一転、
二人の人間の置かれた立場、その年齢差、その格差を浮き彫りにする再会後の展開・・・

戦後の混乱の中でも、日本ではその時代考えられなかったハンナの境遇・・・
それでも、生きる為に仕事は選べなかったであろう事は想像できる。
その生き方をハンナは後悔してはいなかった。
彼女の生い立ちは語られないけれど、
彼女は教育を受けていなかったことを、その貧しさを恥じていたのかもしれない。

おそらくは今日を生きることに精一杯だった36歳のあの日、少年と出会い、
安らぎと楽しみを得たのに、それを捨てでも口にすることはできなかった、、。
そして少し大人になったマイケルは迷いながらも、
自由より選び取った彼女の決意を知り―遠ざかる。。。

彼女の「秘密」と彼の「良識」。
彼女への愛と、超えられない壁に苦悩し続けるマイケルの人生。。。
戦後育ちの、しかも法に携わる真面目な青年の、
捨てることの出来ない想い。
そして彼は朗読者となり・・・・・・

「レボリューショナリー・ロード」に続く女の決着のつけ方。
ケイトは今回もその表情ひとつで、その時を訴えてきます。

デヴィッド・クロスからレイフへの繋ぎも不自然さはなく、悲しげな眼差しは
二人が本当によく似ていたと思えた。
ケイトの演技も素晴しかったけど、私は初めてのクロスの演技がとても良かった。
特に自転車で立ち寄ったレストランで、女主人にみせつけるキスのシーンは、
少年らしい主張と優しさが巧くでていてとても好き!
そして、
実は彼女の秘密には最初から気付いていながら、声を殺すのが大変だったあのシーン
デヴィッド・クロスのキャスティングの成功が大きい作品だったようにも思う。



ひとつの出会いから語られるその朗読者の人生。
ドイツに生まれた為に辿ってしまった不器用な女の切ない人生。
心をつかまれ一気に読んでしまった本のような、満足感がありました


この原作者も、ハンナとマイケルが自転車で立ち寄る村のエキストラで出演しているそうです。
あの人かな?いつかDVDで見直すときの楽しみにしたいと思います。
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24 コメント

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うん! (miyu)
2009-06-28 08:31:00
デヴィッド君良かったですよね~!
あのレストランでのキスも良かったし、
まっすぐにハンナを見る目がとても素敵でした。
ケイトはもちろん良かったのだけど、
彼がとても素晴らしかったオカゲでとても
引き締まったいい映画になってた気もしましたね。
返信する
マイケル (にゃむばなな)
2009-06-28 20:51:23
デヴィッド・クロスのまっすぐな彼女への想いが前半で描かれていたからこそ、後半のレイフ・ファインズの悲しげな演技が活きてましたよね。
ほんと、いい脚本にいい役者、そしていい監督が揃った名作でしたよ。
返信する
こんばんは~♪ (ひろちゃん)
2009-06-29 00:09:11
>「レボリューショナリー・ロード」に
続く女の決着のつけ方。

本当だ!そうだよね(T^T)こう言う役柄ケイト
似合うよね(^^;
デビッドクロスは、期待以上に良かったです!

>女主人にみせつけるキスのシーンは、
少年らしい主張と優しさが巧くでて
いてとても好き!

すっごくチャーミングな表情でしたよね~
そして、女主人の顔が面白かった(笑)
レイフへの繋ぎも不自然ではなく、kiraさんが言われるように、悲しげな眼差が似て
ました(T^T)

私も、ラブストーリーと言うより、上質な人間ドラマだと思います^^
原作者のかた出てたんだ(*_*;
私もDVD出たらの楽しみにします(^_-)-☆
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TBありがとうございました (sakurai)
2009-06-29 11:28:51
素敵な映画でしたね。
じわじわ沁みてきました。
彼の「良識」かあ。
いい言葉ですね。

レイフ・ファインズ様が大好きなあたしとしては、彼の素敵な登場だけで満足なんですが、今回はデビッド君がお見事だった。
目つけておかないと。
返信する
今年のケイトは… (オリーブリー)
2009-06-29 14:33:02
複雑な女性像で共感はできないんだけど、深く考えさせられますよね。

>実は彼女の秘密には最初から気付いていながら、声を殺すのが大変だったあのシーン

私もそうかな~と思ってて、サイクリングで間違いないと思った。
あのシーン、泣きそうだった?
私は涙線が硬いので(笑)感情がイッパイになって、鳥肌がたって来ました。
あのワンシーンだけでもオスカーものかもね♪

デヴィッド・クロスは良かった!!
アントン・イェルチン君とこの子、今後楽しみだわ~(笑)
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こんにちは~^^・ (由香)
2009-06-29 17:10:30
お邪魔します♪
>心をつかまれ一気に読んでしまった本のような、満足感がありました
おお~!その表現ピッタリかも!!
私は原作を読んでいますが、不思議なことに、映画の方が本よりも“一気に読んでしまった本のような”感じがありました・・・
う~ん、何なんだろう?(笑)
ハンナやマイケルの気持ちが今一つ伝わり難いところがありましたが、それでも心に沁みました。こも物語で感じた切なさは後を引きそうです・・・
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切ない・・・ (マリー)
2009-06-29 22:44:09
こんばんは・・・
切なくて、哀しいお話でしたが~“残る映画”でしたね。

でもkiraさんも感じてらっしゃったけど~マイケルがウソでもいいから、せめて彼女に手を差し伸べ、触れてくれてたら・・・と願わずにいられなかった。あまりにも憐れで。。。

デヴィッドくんは、本当に良かったと 私も思います。彼のキャスティングをミスったら、この作品は別物になってたかも・・・

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Unknown (mig)
2009-06-29 23:26:31
kiraさんこんばんは☆

前回のレオくんとの共演作同様、ケイトは自己中心な女のような気がしちゃったんだけど、
とても悲しいお話でしたよね、
ただのラブストーリーと思ってたので
いい意味で裏切られました!!
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こんにちは♪ (ミチ)
2009-06-30 21:31:35
ケイトはご贔屓女優さんなんだけど、やっぱり今回も凄かった~。
初々しいデヴィッド君もステキな演技を引き出されていましたよね。
もう大満足の作品です~♪
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miyuさん* (kira)
2009-07-06 23:32:36
デヴィッド君の、年上の女性に心を奪われ
翻弄される、演技が自然でしたよね~!
ケイトも頑なでマジメな、女性がじれったいくらい巧かったですが、
揺れに揺れる大学生になった彼の表情は切なかったです~。
その控えめな愛情とモラルのせめぎあい、、
素敵なラブストーリーでした
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