底辺より怖い、底なし。
堕ちたら最後――
製作年度 2013年
上映時間 130分 映倫 R15+
原作 福澤徹三『東京難民』(光文社刊)
脚本 青島武
監督 佐々部清
出演 中村蒼/大塚千弘/青柳翔/山本美月/中尾明慶/金井勇太/吹越満/福士誠治/津田寛治/小市慢太郎/金子ノブアキ/井上順
学費未払いを理由に大学から除籍された青年が、ネットカフェ難民からホスト、さらにホームレスへと転落していく青春群像劇
親の仕送りでお気楽な毎日を送っていたごく普通の大学生・時枝修は、ある日突然大学を除籍されてしまう。父親が借金を作って失踪し、授業料が未納となっていたのだ。当然仕送りも止まってしまい、アパートも追い出される羽目に。あっという間にネットカフェ難民となり、日払いのバイトでどうにか食いつなぐ日々。挙げ句の果てには、騙されて入ったホストクラブで高額の請求を払えず、下っ端ホストとしてこき使われる修だったが…。
大学入学と同時に母親を亡くし、父親がガイジンパブの女性に入れあげたのを機に実家を出た青年の
親子間のコミュニケーション不足もありながら、
学費未納、家賃未納という事実を知ったことから始まる流転の人生―
どこにでも居そうな、チャラい大学生が、
肉親の存在を無くし、大学生という身分を失くし、住所を無くし、
その日暮らしに身をやつしてから知る、社会の仕組みと底辺でうごめく悪…―
これが奇想天外な話でなく、現在進行形のノンフィクションのようなリアルさでもって
世間知らずのイマドキの若者に襲う不幸を描いていて、ぞっとする。
時枝修がものの見事に堕ちていく、その落とし穴。
絶対に落ちないと、あなたは言えるだろうか・・・
核家族―、少子化。。。加えて、
親も子も、社会との繋がり、人との絆の希薄さが根底にあり、問題の深さを感じるものでした。
暗い遣る瀬無い物語ではあるけれど、
全て無くしたようでも、新たに得ることが出来ると、暗に教えてくれてもいる。
彼を苦しめたはずの人の中に、切ない温かさも垣間見えるし、
彼が無くさなかった命と名前と、もうひとつ。。。
なので、
意外と後味は悪くない。
「スマグラー おまえの未来を運べ」より身近で「ホームレス中学生」より孤独。
結構若いカップルとかが多かったのですが、、お一人ででも、
R15+となっていますが、これは多くの若者に観て戴きたいと思った作品です
僕も佐々部さんが監督だったので観て来ました。
何故、この原作を選んだのか、何故今なのかわかりませんが、
でも、何故か惹き付けられる力のさる作品でした。
>意外と後味は悪くない。
と、僕も感じました^^
>何故、この原作を選んだのか、何故今なのかわかりません
そうですか?
実は私は、コレ、「今そこにある危機」に近いものを感じています。
数年前になりますが、当時うちの子のバイト先に、某私立校の男子が家を出て
ネカフェから登校していると聞いて、暗澹たる気持ちになったものです。
本人だけの所為ではないし、現実は厳しいけれど、
行政に頼ったりしながら、前を向いて欲しいと願うばかりです。。。
ですよね~。
ウチが見たところ、すごく観客の年齢層が高くて。
若者に見てほしいですよね。
突然落ちていくと言うのは誰にでも有り得る恐怖で、今ある生活をありがたく感じなくてはならないな、と思いましたわ。
父親の生家とかには普通お爺ちゃんとかいそうなものなのに、
付き合いがなかったって予想させますよねぇ・・・
そういったことも含めて、
親の社会との付き合い方とかも考えさせられました。
でも、堕ちてからの彼のヒトとの接し方、
彼をギリギリのところで救ってくれた男たち、に
救われました。厳しいけど、きっとがんばれるって思う。。
でも、これって大学とか高校で教材にしていいと思います。そのくらいの現実感がある。
常に常に子どもたちには「自立してよ」「ちゃんとした仕事に就くように」と言い聞かせてます。
ですが、どこに落とし穴があるかそれは誰にもわからないんですよね。恐ろしいです。
こういう事を学ぶ機会が、今の子供たちの日常の、どこらへんにあるのか?
スマホでやりとりをしている仲間うちではきっとナイんだろうなあ~
という気がします。。。
ウチは本当は禁止されているのに、高校時代からバイトをしていて、
それが何より多くの他人との関わりと体験をもたらして、
親の説教より身に染みたことが糧になっていたと思います。
どんな状況でもやけにならず、人の手をつかんで、生きていって欲しいですね。
メインキャストはみんな良かったですよね
修の周りにいる人たちも、貧困システムに取り込まれて身動きできなくなっている被害者のように見えました。
高校生くらいのときに、こういう仕組みをしっかり知ってもらいたいです。
仰る通り、蜘蛛の巣にかかってしまったような感じでしたが、
最後まで捨てられないもの、が
分かれ目なのかな・・と思いました。
少なくとももう少し緊張感を持って生きること、なのでしょうか。
その選び方もあざとくて嫌いなんですがね。。。
いつもの監督の風味は薄かったかな。
そんだけ原作の力があるんでしょうね。
原作読まなきゃ!って強く思いました。
妙に明るい終わり方は、監督のカラーですよね。
やっぱり作品の「何か」にあらがえないっていうか(笑)
まあ、私はアレン監督かな(笑)
この主人公を落とす人の中にちょこっと垣間見える突き放す優しさ、
たとえば二人の警官のうちの若い方。明らかに、釈放したがっていたようにみえたし、、
痛みを知って、強くなれ!っていう、どこか優しさが感じられました。
「人として繋がって生きていく」というラストも、アレじゃなきゃ救いがないもんね♪