「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

どうやらシリア政府内でクーデターが成功した模様、シリアは新時代へ<2024・12・08

2025-01-12 01:13:00 | アフリカと中東

※一応説明
やや誤解するかもしれないので説明すると、アサド大統領は逃亡したため政治権力を失いました。
これとは別にシリア政府があります。シリア政府は、そのまま残っていて業務を続けています。
シリア政府の中からアサド大統領と(多分)側近が逃亡したという話です。
ただ、事実上政治的な権力は反政府グループに移行したと言えます。
政権移行の正式な手続きを、これから行う必要があります。
ジャラリ首相は、そのことについて発言しています。
シリア政府の行政を管理しているのは、現在はジャラリ首相です。

時事通信
2024年12月8日 16:26
反体制派、「首都解放宣言」 アサド政権崩壊かー大統領の所在不明・シリア
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024120800305&g=int
BBC
2024年12月8日11:53
シリア反政府勢力、大統領は逃亡し国は「自由になった」と主張 首都ダマスカス掌握と
https://www.bbc.com/japanese/articles/cp833759120o

両方の記事を読むと、他の記事は反政府勢力の急速な進撃が中心ですが、ここではシリア政府内の動きも報道しています。
シリア政府内の和平派の動きです。
ジャラリ首相のメッセージは、政権移行への協力を伝えています。
シリア政府軍は、各地でほとんど戦闘していません。
ひたすら武器や装備を捨てて、ダマスカスに撤退しています。
それは首都ダマスカス市街でも同じで、一部の部隊は散発的に戦闘しているようですが、ほとんどの部隊は戦闘していないようです。
反政府側の兵士たちは、既に市街地に立ち入り治安の引継ぎをしている様子が見えてきます。

つまり反体制各派の連携が形成されるとともに、シリア政府内の和平派とも事前に協議がなされていたことを示しています。
政府軍は撤退する、その後に反政府勢力が進駐するのは事前に予定されていたことのようです。
シリア軍、シリアの治安組織、地元の警察組織などにも中央から戦闘を避けるように指示があったのではないか・と思われます。
そうでなければ、たった10日少々でシリア政府が支配していた地域のほとんどを反政府勢力が奪取することは不可能だと思います。

アサド政権のカチンコチンの強硬派やロシアとイラン抜きで(極秘裏に)内戦停止と政権移譲の話し合いが、事前になされていたのだろうと思います。

つまり、アル・シャームが進撃開始した時点で、全部終わっていたと言うことです。
シリア軍には、おそらく武器・装備も放棄するよう命令が出ていたでしょう。
反政府勢力は、その武器装備を押収して武装を強化して更に進撃を続けた様子が見えます。
何しろ1日で30km~40km進撃していますから、政府軍が全く抵抗しなかったことが分かります。
反政府勢力が政府軍に入れ替わる形で進撃と言うより、進駐しました。

そしてアサド氏の動静です。
シリア政府は、何も発表していないようです。
時事通信の記事には・・・
米ニュースサイト「アクシオス」
『アサド氏を乗せたとみられる軍用機はダマスカス(空港)を離陸後、離陸後北西方面に向かい、中部ホムス上空で進路を変え(Uターンし)た後、高度を下げて行方不明になった(レーダーの画面から消えた)』
他の記事にも書いてありますが、これが一番詳しいです。
もうこの頃には、ホムスは反政府勢力(アル・シャーム)が掌握していると思います。
反政府勢力は、途中で対空ミサイルを鹵獲して装備しています。
大体、流れが見えますね。
軍用機が向かったのは、西部のロシアの空軍基地だろうと思います。
Uターンしたのは、受け入れを拒否されたためでしょう。
そして、何故かアサド氏の軍用機の飛行ルートは、ホムスの反政府勢力に伝えられていたのでしょうね。
その後の政権移譲や、アラウイー派の暴発を抑えるためにも「誰か」は、居ない方がいい訳です。
「ゴタゴタの種は、消えてもらおう」と誰かが考えたのかもしれません。

ロシアは、ウクライナ紛争でもうこれ以上の関与は無理です。
部分的に部隊を撤収しているかもしれません。
イランの関与はレバノンのヒズボラが主体です。
イスラエルとの衝突で大きな損害を出したヒズボラに、シリアに援軍を送る余裕はありません。

ほぼ全ての反政府組織が同時に行動を起こしたと言うことは、事前に全部に小火器程度の武器は配備されているでしょう。
支援したのは、北部はトルコで南部はアメリカでしょう。
シリア全土を敵に回した、アサド一派とロシア&イランはシリアから排除される運命だったと言えます。

過酷すぎる内戦を通じて反政府勢力は、外国に内政干渉される愚かさを悟ったのではないかと思います。
そしてロシアとイランの援助を得て多くのシリア国民を虐殺したアサド政権はシリアの政府ではないと言うことを、シリア政府の内部の人間も思ったでしょう。

これらを考え合わせるとシリア政府内のシリア民族派が、アサド一派にクーデターを起こした部分もあります。
記事を読む限りでは、少なくともシリアのジャラリ首相が率いるグループとアル・シャームのジャウラニ代表が率いるグループには、事前の打ち合わせがあるように見えます。

アル・ジャラリ首相の発言が象徴的な意味を持っているように思います。
「シリアは近隣諸国や世界と良好な関係を築く、普通の国になれる」

やはりアサド政権はシリアから追放されるべき政権であり、アサド政権を支援したのは今となっては間違いであったろうと思います。しかし内戦が始まった当初は、反政府勢力の方も未熟であり、あるいは内部で権力闘争をしたりハチャメチャでした。長い内戦の間に反政府勢力も政治力を身に付けたのだろうと思います。
アル・シャームは以前はアルカイダの別派です。
しかしフランスのジャーナリストが取材したところでは、2016年にアルカイダと決別しています。
理由は、アルカイダの首脳がイランに匿われていることです。
アサド政権の虐殺を助けているイランがアルカイダ幹部を匿うなら味方では、居られないという理由です。
その後、イスラム原理主義的主張は弱めて他の民族や宗教も受け入れるような主張に変わりました。
アル・シャームの勢力がアサド政権と最も激しく戦った勢力です。大きな犠牲も払いました。

その経緯を考えると新シリア政権では、アル・シャームが中心となり政府が形成されるのであろうと思います。
少なくともアル・シャームと旧政府の和平派が、新政権のコアな部分になるでしょう。
そこに他の勢力も参加すれば、内戦は取り敢えず停戦になりそうです。

また、ぐちゃぐちゃの内戦に逆戻りする・と言う無責任な意見を言う人がいます。
それが嫌だからシリアの人々は、折り合いをつけて新政府を作る試みを始めたことに気が付いていません。
散々、戦争して大勢の人々が犠牲になりました。また外国の関与を許して内戦を始めたいシリア人は、ごく少ないと思います。
普通に誰だって、イヤでしょう❓

だからシリアの人々は新政権樹立に向けて努力もすると思いますし、折り合いも付けようとすると思います。
何とか内戦が終わるといいですね❓


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