「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

シリアに統一政権は誕生するのか❓<2024・12・09

2025-01-12 01:15:16 | アフリカと中東

どの記事を読んでも独裁者アサドが権力を失った事しか書いていません。
今後のシリアでどのような政治の流れが生まれるのかは、誰も分からないようです。
11月の末までは存在したアサド政権が、これほど脆く崩れ去るとは誰も考えていなかったでしょう。

落ち着いてみると今回の政変は、事前に何らかの合意があったと思います。
その合意の当事者は、アル・シャーム(シリア解放機構)と旧シリア政府内の和平派(ジャラリ首相のグループ)だろうと思います。
これ以前の話としてシリア政府内で宮廷革命が起きていたはずです。
カチンコチンのアサド派を外して、ジャラリ首相が他の政府閣僚や有力者を仲間に引き入れて政府内の実権を握らなければ、こうはなっていないと思います。
ジャラリ首相のグループには、シリア軍、情報組織などの治安機関、警察などが全部参加しているはずです。

どうしてかと言うとアル・シャームがアレッポを攻撃した時は政府軍は戦闘をしたようですが、それ以降は政府軍がまともに戦闘した形跡がありません。それどころか武器や装備を放棄して撤退しています。それを捕獲したアル・シャームの戦闘員が武装を強化して更に進撃する構図が見えます。
最後の数日は、1日30km~40km進撃しています。これは進撃ではなくて進駐でしょう。
もっと遠い位置のホムスを7日に制圧したはずのアル・シャーム軍は、翌日の8日にダマスカス近郊に進出し、即市内に入場しています。ホムスからダマスカスまでの距離は200km以上あります。しかも7日には、一部のアル・シャーム軍の先遣部隊がラジオ放送局とテレビ局を占拠しています。

アサド大統領抜きのシリア政府とアル・シャームの何らかの合意がなければ、このようなことは不可能です。
8日のダマスカスでも政府軍は一部の部隊を除いては、アル・シャームの部隊と戦闘はしませんでした。
そしてジャラリ首相は8日に政権移譲への協力を表明しています。

このような流れを考えるなら次に出来る政権は、「旧シリア政府の和平派とアル・シャームの連立政権」に近い性質になると思います。よくよく見てみるとアサド大統領一派が追放されただけです。アル・シャームと政府軍の力関係から、次期指導者はアル・シャームのジャウラニ代表が就任するのも既定路線だと思います。

このような流れが、いつ頃出来たのかは分かりません。
あるいは、今年に入ってからかもしれません。
単なる口約束程度のものではなく、かなり綿密な打ち合わせがあるように見えます。
そう考えると今回生まれる政権は、旧シリア政府和平派とアル・シャームの連立政権と見るのが、一番近いように思います。

と言うことは、アル・シャームと他の反政府勢力の間には合意は、まだないことになります。
今後、トルコ系反政府組織(シリア国民軍)、クルド系反武装組織(シリア民主軍)、南部方面の自由シリア軍などとの統合が待っています。
ISまで蠢動し始めましたから、まだまだ安定には程遠いものがあります。

クルド系は、どさくさに紛れて政府軍が支配していた原油地帯を占拠しました。
新政府は、これを認めないと思います。貴重な収入源を放棄はしないでしょう。
トルコ系とクルド系が、さっそく小競り合いをしているような話もあります。

自由シリア軍は、中小の組織の寄り合いです。すんなり意思統一をするのは無理でしょう。
日本で言うなら旧シリア政府とアル・シャームの連立が成立して西日本と京都は、新政府の支配下になりました。
東日本の3大組織と戦いますか❓折り合いが付きますか❓
大雑把に、このような話だろうと思います。

どうするのかは、新政権の形が出来てその後の交渉次第でしょう。
話し合いが決裂すれば、武力による統一を目指すことになります。
まだ、シリア全土が平和になるには時間がかかりそうです。

☆なぜ、シリアの人々は「アサド政権打倒!」で団結したのか❓
BBC
2024年12月9日
『シリア刑務所から大勢を解放、子供の姿も 多数がまだ地下房に閉じ込められてる恐れ』
https://www.bbc.com/japanese/articles/clyn720ndg1o

『【解説】アサド政権崩壊後、シリアと周辺のパワーバランスはどうなるのか』
https://www.bbc.com/japanese/articles/cx2vk330xv2o


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