時事通信
2024年12月8日 08:08
『反体制派、首都へ攻勢 アサド政、権崩壊の危機ー支配地域相次いで失う』
産経新聞
2024・12・8 09:28
『シリア反体制派、第3都市を掌握と主張 アサド政権に大きな打撃 首都攻防戦に突入も』
航空万能論の「中東アフリカ関連」の項目に記事が複数あり戦況略図が添付されています。
詳しく知りたい方は、それを見ると良く分かります。
シリアの首都がダマスカス、第2の年が北部のアレッポ。第3の都市が両都市の中間にあるホムスです。
昨日のニュースでは反政府軍が、ホムス郊外まで迫っていました。1日で陥落したのは、政府軍が防衛を放棄して撤退した(逃走)ことを示しています。ほぼ政府軍が支配していた地域全域を放棄してダマスカスに撤退しているようです。
首都ダマスカス以外のほぼ全ての地域で反政府勢力が武装蜂起したり、反アサド・デモが行われているようです。
反政府勢力がアレッポ方面で攻勢を始めて約10日で、政府軍は首都ダマスカス市街以外のほとんどの地域を放棄したことになります。
「人民の蜂起」
人民の海に溺れそうになったシリア政府軍は、どうにもならずひたすらダマスカス市街に向かって逃走した状況が見えてきます。
内戦が始まって以降は、シリア政府軍はシリア国民を虐殺してきたと言えます。だからアサド政府を支持するものは、アサド政府にぶら下がってきた一部のシリア人しかいない様子が見えます。これほどまでにシリア国民に見放されていれば、最早アサド政権が存続するのは、限りなく難しいように思います。
第3の都市ホムスを反政府勢力が制圧するとロシア軍が駐留している地中海沿岸のラタキア方面との陸上のアクセスを失います。ロシアが政府軍を支援するとしても、空爆しか出来ません。空爆は既に実行していますが、反政府勢力はひるむ様子はありません。イランの革命防衛隊も幹部は国外に撤退したようです。地上戦を戦っていたヒズボラは、イスラエルとの戦争で大きく消耗しました。アサド政権側で戦うのは、ダマスカス市街地にいるであろう部隊だけです。
この情勢を受けて、ロシア・イラン・トルコの外相がカタールの首都のドーハで緊急会談をしました。
しかし、プロパガンダを主張するばかりで中身のある議論にはならなかったようです。
産経新聞
『ロシア、イラン、トルコの外相がシリア情勢を協議 「衝突直ちに終わるべき」』
要は、ウクライナ紛争で手がいっぱいのロシアとガザ紛争やヒズボラ・イスラエル衝突で手がいっぱいのイランは、何もできないと言うことです。
こうなる前にトルコのエルアドン大統領は、アサド大統領に反政府勢力との話し合いを何度も呼びかけたようです。
言ってみればアサド大統領には「最後通告」が通達済みと言うことです。
アサド政府軍が、降伏する以外には終わらないでしょう。
長く続いた内戦の間にシリア政府軍は数も減り、士気も衰え弱体化していたと言うことです。
噂では、シリア政府を見限りロシア軍に応募してウクライナ紛争に参戦したシリア兵は少なくないようです。
資金不足から兵士の大量解雇があったようです。おまけに政府や軍では腐敗がはびこる、兵士の給料は遅配する・などの状況があり、シリア軍兵士の士気は衰え戦う意欲が失われていたようです。
それを見ていた反政府勢力が、タイミングを見計らい一気に攻勢をかけたようです。
シリア全土で武装蜂起や反アサド・デモが起きているようですから、もうどうにもなりません。
スマホ時代は、それが瞬時に全国に伝わります。同時多発的、五月雨式に拡大していきますので。
シリア政府軍の周りは、「人民の海」に取り囲まれていた・と言うことのようです。
首都ダマスカスに立て籠もったところで、周囲を包囲されれば補給を失います。
長く戦えるはずもありません。
☆こうして一連の流れを見ていると、アメリカ軍撤退時にアフガンの傀儡政権のカルザイ政府軍が、たちまち崩壊した時とよく似ています。
タリバンとシリア反政府勢力を、置き換えてみるとほぼ同じです。
つまりアサド政権は長い内戦の間にロシアとイランの傀儡と化していたという事でしょう。
シリア国民の多くから、外国の手先と見られて支持を失って行ったという流れが見えます。
ロシアやイランの助けを借りて、シリア国民を殺しまくれば、確かにそうなるでしょうね。
アサド一族とその取り巻きのための権力維持装置になり下がっていたわけです。
宗教の構成を見ても、それが見えます。
アサド派⇒シーア派約10%
反政府側⇒スンニ派約90%+他宗教
アサド派をどう支えようと、最初から無理があるわけです。
その無理を支えたのは、恐怖支配と弾圧と虐殺です。
☆戦況略図。
航空万能論の記事に戦況略図が添付されています。
2024・12・8
『シリアの首都を反政府勢力が3方から包囲 アサド政権の崩壊は時間の問題』
略図を見ると米軍支配地付近を根拠地とする「自由シリア軍」が三方向に一番長い距離を進撃しています。
ここには、アメリカのイラク防衛用の支配地しかなかったはずです。
突然、満を持して「自由シリア軍」が出現しました。
その北の砂漠には、「IS」の残党もいたはずです。
<あくまで推測>
北部のシャーム機構を支援しているのは、トルコ
南部の自由シリア軍とダルアー県の自由シリア軍の別派を支援しているのはアメリカ
このような構図が見えます。
(アサド政府軍を支援していたのは、ロシアとイラン)
どっちにしても残虐で長く続いたシリア内戦に終わりが見えてきたのは、シリア国民にとっては望ましいと思います。
☆追記>ニュースは事態の進展に遅れており、既にダマスカス市街では市街戦が始まっているようです。
アサド大統領は、ダマスカスを飛行機で脱出したようです。
西部の地中海沿岸のロシア支配地に向かうのか、それとも国外に脱出したのかは不明です。
アサド政権は、崩壊しました。
ロイター
2024年12月8日 12:01
『シリア反政府勢力が首都ダマスカス入り、アサド大統領は首都出発か』