産経新聞 2025・01・09
『トランプ氏のグリーンランド買収発言に欧州が反発 北極海戦略の変化が「覇権主義」背景に』
全部、タイトルに入れようとするから後半部分は意味不明になっています。文章に関しての「センス」が無いですね。
トランプ氏が、パナマ運河やグリーンランドに関して軍事力の行使を否定しなかった事が波紋を呼んだと言えます。「軍事力の行使」発言も、どのような経緯で出てきたのか不明です。
①デンマークが売らなければ、軍事力を行使してでもアメリカ領にすると言ったのか❓
②ロシアや中国が領土化しようとしたときは、軍事力の行使もありうる・と言ったのか❓
それを伝える少なくとも日本のマスコミは、ありません。
「軍事力の行使」の部分だけが切り取られて独り歩きしています。
①なら今時、許されることではありません。
②なら、どちらかと言うとNATOの領域の防衛であり、むしろアメリカが軍事力を行使して防衛してくれなければ困る話です。
CNN 2025・01・08
『トランプ氏が記者会見、パナマ運河やグリーンランドの獲得に軍事力の行使の可能性排除せず』
https://www.cnn.co.jp/usa/35228004.html
記者会見で多くの事柄や問題に関して、ごく大雑把に答えたもので、質問者がどのような前提での軍事力の行使の可能性を聞いたのかは分かりません。その質問に対してトランプ氏は、軍事力行使の可能性を否定しなかったと言うだけです。特に積極的にするとは、言っていないと思います。
なんだか良く分からないことを、切り取って「こうだ!」と決めつけてトランプ批判をしているわけです。
偏向マスコミだけがやっていれば大した問題ではありませんが、ここにEU側高官が「口論」に参加しました。
●デンマークのフレデリクセン首相が、売却を否定
●フランス、バロ外相
「どの国であろうとデンマーク領であるグリーンランドを攻撃するのはEUは決して容認しない」
●ドイツ政府高官
「米国による武力行使を認めない」
なんだか良く分からないトランプ発言が大西洋を渡ると、ほぼ言いがかりみたいなトランプ批判のネタにされてしまいました。ヨーロッパ各国のトランプ嫌いは、相当なものがあります。ヨーロッパは、米民主党が大好きです。特にバイデンさんが大好きです。理由はヨーロッパに甘く、ヨーロッパの政治的既得権益構造に有利だからです。
トランプ氏の考えはほぼ正反対です。イーロン・マスクの発言を聞いているとドイツやイギリスなど攻撃したい放題です。トランプ政権になったら、「激!カラ対応ですよ!」と予告しています。
第1次トランプ政権の時は、ヨーロッパはトランプに逆らいまくりでした。
今回は第2次政権で、かなりトランプの政治基盤も固まりました。加えて米議会でも共和党が過半数を握っています。トランプは、今度は自分の政策を遂行しようとするでしょうね❓
ヨーロッパが逆らえば逆らうほど、トランプの「お仕置き」は厳しいものになるでしょう。
ドイツとイギリスは、その槍玉に上がっています。まず、この2か国は逃れられませんね❓
カナダのトルドー首相は、早速撃沈!されました。就任前の「朝飯前」のKOパンチ一発でした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
確かにグリーンランドの戦略的・経済的価値は、過去になく高まりました。
(北米防衛の巨大要衝、豊富な地下資源、北極海航路の要など)
今、グリーンランドの独立の規定を見ると実に簡単です。
独立後、ロシアや中国の傘下に入ることも可能です。
もし、そのような可能性が出てきたらどうするのか❓
地図を北極点からみると北極周辺の中心にあるのがグリーンランドです。
今、地球温暖化の影響で北極海の価値が大きく向上しました。
北極海航路を見てください。日本やロシアは最大の恩恵を受けます。
日本からアメリカ東海岸、日本からヨーロッパへの距離が大きく短縮されます。
ここが物流の大動脈になれば、その周辺国であるロシア・カナダ・アメリカは大きな恩恵を受けます。
トランプ氏が、カナダにアメリカの州になるよう誘いをかけているのは、これが理由です。そして北米大陸の防衛を考えるとカナダとアメリカは、同じ国である方が何かと便利です。人口約4100万人のカナダが広大なカナダ領を単独でロシアから防衛するのは不可能です。事実上、カナダ防衛はアメリカ軍が担うのだから、「いっそのことアメリカになった方が、いいだろう❓」と言うのがトランプの主張です。「そうしたら防衛費も関税もいらないよ!」、言われてみるとその通りなんですね❓
一方でヨーロッパは、グリーンランドが独立してアメリカに帰属するなら北極海での大きな権益を失います。
では弱体ヨーロッパにグリーンランド防衛が出来るのか❓
北極海は、ロシアの内海のような海域です。100%ロシアに競り負けるでしょうね❓
トランプ氏の「軍事力行使」の可能性は、ロシアや中国を念頭に置いた発言だろうと思います。
このような予備知識を知って産経新聞の記事を読んでください。
全然、ピント外れのことを書いていることが分かると思います。
だからトランプ氏(=アメリカ)は、グリーンランド問題は絶対に譲ることのできない問題なのです。
北米防衛の最前線であることも分かります。
もし、グリーンランドにほどほどの規模のアメリカ軍が展開したらロシアも今よりはアメリカに対して慎重になるでしょうね❓
東西にあるロシアの奥行きが、南北だとかなり狭くなります。今はまだ気温の関係で無理ですが、もう少し暖かな気温になれば、アメリカがロシアに対して渡海作戦を実行するのは、今より遥かに簡単になります。
つまり、グリーンランド問題はこのような視点からの考察が必要だと言うことです。
※関連記事
BBC 2025年1月8日
『トランプ時期大統領、グリーンランドとパナマ運河支配めぐり脅し強める 「カナダ併合」にも言及』
2025年1月9日
『仏独、トランプ次期大統領に警告 グリーンランド支配の発言めぐり』
2025年1月8日
『マスク氏の「口撃」を欧州首脳らが批判、24時間で4カ国から異議』
☆イギリスは、トランプ氏の厳しい欧州政策の槍玉(候補)に上がっています。
英労働党が、職員を派遣して大統領選でハリスに加担しては無事では済まないでしょう。勝ったトランプが、それなりの報復をするのは既に「お約束済み!」です。
(それが、イヤなら中立を保つべきでした。負け犬を応援した以上・・・)
それに身構える英政府を代弁して、BBCの記事も相当、攻撃的です。
私の考えは、負けたら「恭順の意」を現わして謹慎するべきだと思います。
逆に反抗してしまえば、トランプ「お仕置き」はさらに厳しくなると思います。
今、イギリスの立場にはなりたくないですね❓
☆追記(知らなかったので・・)
グリーンランドの面積 2166088平方km
コンゴ民主共和国の面積 2345410平方km
コンゴよりやや狭いです。地図で見ると広く見える理由は「メルカトル図法」で描かれた地図を見ることが多いからだそうです。
メルカトル図法
「等角航路を地図上で表現でき、海図に利用できる」
「高緯度での面積拡大が大きく、最短距離が曲線になる」
このような特性により極地のグリーンランドや南極は、実際の面積よりかなり大きく地図上に表示されます。
なるほど!
※関連記事目次
項目「ヨーロッパ」の目次②
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/70484af7010580642c91d2a502a7002d