美術の先生は考える

中学美術の授業の実践を中心に、美術について考えたイロイロを紹介できればと思います。

折って折って何ができる?

2014-10-09 01:03:54 | 日記
1年生の参観授業。
以前から考え、FBでもご意見いただいていた『紙を材料にした彫刻』にトライ。
今回は1時間だけの授業。

『彫刻って?』の話から導入。
画像を使い、誰もが一度は見たことがあるだろうロダンの「考える人」を見せたり、地元の有名作品「AtoZメモリアルドッグ」(奈良美智)を見せたりした後に、本題材の唯一の材料である紙の話へ。
生徒の食いつきが良かったので、ここまでで予定より時間がオーバー気味…。

簡単に日本の紙遊び「折り紙」の話をしつつ、ちょっとすごい折り紙作品も画像で見せる。
やはりビジュアルの力は強い。
資料集をパラパラやる時間も短縮されるし、食いつきも一段と増しました。

残された授業時間が40分弱のところで、条件「折るのみ」なども説明し終えてようやく制作へ。

急いだなー…。

今日の授業の目標は、
普段使い慣れた紙だけを材料に、『きれいな立体、面白い立体』を作ってみよう。
といった軽いものでしたから、取っ掛かりは早くて良かったです。

しかーし…思いの外そこからが進まない。
途中折り目が模様のように見えたシンプルな四角柱を見つけて紹介。
たくさんたくさんとにかく折りまくってる立体を見つけて紹介。


…等々、撮って映しての紹介を挟み、もちろん僕が試しに作ったものも見せてはいました。
こんな感じのものを3つほど。

でもどうも『ちゃんとした形』にとらわれている様子でした。
「具体的な何かを作るんじゃないよ。」
何度も繰り返したのだがやはりそう…『抽象』ってことの難しさがそこにありました。

しかし、「お!きれいじゃん!もう完成でいいよそれで。展示してみて!」と1人に制作を完結させ展示台に置きに行かせてみたら、他の子たちも「あ、そんな感じでいいんだ。」と自信を持てたようで、次々と重い腰を上げ始めました。
そして授業終了時には全員の展示が無事完了。


本当はここから『全員で作品鑑賞』→『全作品の集合体に題名をつけるべくグループor個人で考えて紙に書いて投票』で終わる予定だったのですが、欲張りすぎたかな(^_^;)本来二時間でやるべき題材でした。
制作序盤の『試しにやってみる過程』をゆっくりとやらせたかったな。
来年へ向けての反省材料。

さて、今回自分が初めて使ったのはGoogleのクロームキャストによる映像資料の提示。

僕Apple派ではないもので。
他校の美術教師に相談したり、自力で調べたりしてたどり着いたのがこのツールでした。
授業実践前日に思い立ち、欠けていく月を見ながら家電量販店へと走り購入。
一晩で設定、研究、準備しての使用でしたが、思いの外うまく使いこなせたと思います。
今後も効果的に、あくまでサブツールとして使っていこうと思うのでした。

また、工夫したのは授業後の展示。

授業翌日、朝からポスターを印刷して校内へ貼りまくる。

すると、
立ち止まって目を丸くしてじっくり見いる生徒。
驚き友人を呼びに走る生徒。
単純にポスターの完成度を誉めてくれる生徒。

教師の指示通り置いただけの作品がそのまま作品展扱いされ、ポスターで紹介され…
授業の中で「展示するからね。」とは明言されていたものの、こんな風に扱われるとは思っていなかったでしょうからね。
わざと大々的には宣伝せず、さりげなくポスターを貼りまくって驚かせる作戦でした(^-^)

更に思い付いたので、空き時間にライトアップ。


使ったのは昨年の東北造形の授業で使ったグッズたち。


短期間でバタバタしたけど色々工夫できたぞ!
けっこう満足です(^_^)v

今回の実践で得たものは多い。
FBで頂いた皆さんからのアドバイスを生かして授業実践に生かすことができた。
先生方の様々な取り組みから勉強させていただいたことを参考に、自分でやりたいことや目指す生徒の姿を探り、やってみたかった授業スタイルを試すことができた。展示までを含めて。

何より生徒たちの反応や、同僚教師の反応はかなり好感触。
「美術って素敵でしょ!?」
って言いたい感じです。言葉にはしませんでしたが伝わったでしょう。
日常にちょっとした驚き・喜び・感動を注ぐことができる。
美術ってそんな素敵な教科です。


二学期制の本校は今週で前期終了。
後期は2年生でもう少し本格的な紙の彫刻を制作させようと準備中。
発想力を評価する教科、美術の先生として、今回の実践に満足することなく、どんどん発想・工夫を続けて授業を作っていきたいと思います。

今回色々アドバイスをしてくださった方々、相談にのって下さった方々、ありがとうございました。

 


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