『血と油と運河』は1974年から『週刊読売』に連載された梶山季之先生の小説です。
広崎皎介は- 三星商事の社長。
石油ショックに見舞われた日本では石油の確保が急務であり、広崎は中東・ソ連・インドネシアを駆けずり回り、石油確保のために奮戦します。
(詳細はウィキベティアに詳しいのでそちらをご参照ください→★)
広崎には和子という娘がいます。
この和子の婿が木島宏。
広崎社長の娘婿は三星商事の秘書課長という要職を務めています。
このブログでは、この木島宏氏に焦点を当てます。
なぜならば、木島宏氏は宏子という名前を持った女装愛好者だからなのです。
妻の和子は、昨夜とうとう帰って来なかった。
木島宏は、流石に立腹した。
箱根で同窓会だなどと云っていたが、どうせ嘘に決まっている。
〈あのユダヤ人と深い仲になったに違いない!〉
彼は、そう思った。
(中略)
木島は、目を覚まして煙草を一服すると、べッド脇にある電話機を取り上げ、丸い底部にあるダイヤルを廻しはじめた。
掛ける相手は、社長の主治医である詫摩病院長の長男―詫摩夏彦である。
夏彦は、ニューヨークに留学した前衛画家であった。
木島とは、ホモ達の仲である。
ホモ・セクシュアルを好む人間たちは、一目で自分の同類項を見分ける特技をもっている。
大体において、同性愛者は、白眼がちであった。
そして瞳が、濡れたようにキラキラと輝いているのが特長だ。
木島と夏彦が知り合ったのは、新宿にある女装愛好会の席であった。
むろん隠花植物みたいな、秘密クラブであるが、みんな立派な職業と地位をもったインテリばかりの集まりである。
木島宏は宏子と名乗り、詫摩夏彦は夏子と云う呼び名だった。
お互いの職業、本名、住所など、一切知らせ合わないのが、会の規則である。
宏子も、夏子も、洋装しかしないところから、自然と意気投合し、その夜のうちにモーテルで関係した。
以来、二人はずーっと交際している。
出所:『血と油と運河』(梶山季之著) 集英社文庫
引用者注:文中、同性愛者に対する不適切表現がありますが、原文のまま引用いたしましたことをご了解ください。
広崎皎介は- 三星商事の社長。
石油ショックに見舞われた日本では石油の確保が急務であり、広崎は中東・ソ連・インドネシアを駆けずり回り、石油確保のために奮戦します。
(詳細はウィキベティアに詳しいのでそちらをご参照ください→★)
広崎には和子という娘がいます。
この和子の婿が木島宏。
広崎社長の娘婿は三星商事の秘書課長という要職を務めています。
このブログでは、この木島宏氏に焦点を当てます。
なぜならば、木島宏氏は宏子という名前を持った女装愛好者だからなのです。
妻の和子は、昨夜とうとう帰って来なかった。
木島宏は、流石に立腹した。
箱根で同窓会だなどと云っていたが、どうせ嘘に決まっている。
〈あのユダヤ人と深い仲になったに違いない!〉
彼は、そう思った。
(中略)
木島は、目を覚まして煙草を一服すると、べッド脇にある電話機を取り上げ、丸い底部にあるダイヤルを廻しはじめた。
掛ける相手は、社長の主治医である詫摩病院長の長男―詫摩夏彦である。
夏彦は、ニューヨークに留学した前衛画家であった。
木島とは、ホモ達の仲である。
ホモ・セクシュアルを好む人間たちは、一目で自分の同類項を見分ける特技をもっている。
大体において、同性愛者は、白眼がちであった。
そして瞳が、濡れたようにキラキラと輝いているのが特長だ。
木島と夏彦が知り合ったのは、新宿にある女装愛好会の席であった。
むろん隠花植物みたいな、秘密クラブであるが、みんな立派な職業と地位をもったインテリばかりの集まりである。
木島宏は宏子と名乗り、詫摩夏彦は夏子と云う呼び名だった。
お互いの職業、本名、住所など、一切知らせ合わないのが、会の規則である。
宏子も、夏子も、洋装しかしないところから、自然と意気投合し、その夜のうちにモーテルで関係した。
以来、二人はずーっと交際している。
出所:『血と油と運河』(梶山季之著) 集英社文庫
引用者注:文中、同性愛者に対する不適切表現がありますが、原文のまま引用いたしましたことをご了解ください。