週刊ポスト 1972年4月14日号に「女装パーティ潜入ルポ」が掲載されていました。
いまから52年前です。
当時、女装はまったくのアンダーグランドでありました。
そのころに行われた女装愛好者の集まりはどのようなものだったでしょうか。
記事のコピーを入手しましたので、再録します。クラブの秘密パーティに記者が潜入したものです。
潜入ルポ 医師・会社役員・高校生・助教授が集まる女装パーティの痴態
15歳から68歳まで「愛好者」たちがみせた変身と恍惚の一部始終
とにかく「パーティ」をのぞいてみていただきたい。カクテルドレスの中年紳士、ミニスカートの青年、和服姿のでっぷり太った初老の男…。場内に流れる妖しいリズムにのって踊り、もつれ合う。目をそむけ吐き気を催すのはオクれている証拠か。なにしろ「脱自己」をめざす 果敢な試みなんだそうだから--。
化粧をするとボーっとなる
「私って子供の時から母の化粧品なんかいじって、いつも叱られてたの。女の下着つけたらどんなに気持ちいいだろうなんて、本気に思い詰めていたわ それでいっぺん女装してみたらもうやめられなくなって….」(会社員・22・クラブではカヨコと名乗る)
「鏡を見ながら化粧するでしょ。下地からクリーム、アイシャドウ、頬紅、ルージュ。ええ普通の女の人の手順よ。衣装をつける頃にはもうボーっとなっちゃって、下着がつっぱっちゃって、一度なんか帯を締め終えて ポンとお太鼓を叩いた途端、いっちゃったわ」「大学助教授・32・ユミちゃんが会員名」
<3月中旬土曜日・午後7時40分>
黒いレザー黄金のノッカーの扉をして一歩踏み込む。内部が暗く、数分--目が慣れると赤と紫のミラーボールが先着の会員(20人くらい)を照らす。いる、いる。和服の服装が9人、ミニスカートが3人、キラキラしたカクテルドレスが5人、男の服装そのままが4、5人。
手前のカウンターに腰を下ろすとセーラー服の子がスッと脇に座る。「新しい会員のかた?」
早速ビールを抜いてくれる。
「君いくつなの?」
「17よ。真弓って呼んで」
「マユミちゃんは、そいじゃ高校生?」
細い襟首から背にかけてのゆったりとクセのない長い髪。鼻にかかった声が甘い。
「僕、女装じゃないけどいいのかな」
「ええ、男の人が少ないから大歓迎じゃない」
全く調子が狂う。あどけないマユミちゃんをはじめ、掛け値なしのオトコばかりと途中で何度も自分で確認していないとオトコが不明になってしまう。
「お願い、離してぇ」
「かわいいね、僕とお話ししようよ」
隣のボックスで、黒のパンタロン、胸に白いリボン、赤いブラウスの子が嬌声を上げる。
「あの子なんて、名前?」
「エイコよ、大学生なの」
相手は財閥系のバンカーだという。バンカー氏がエイコを膝の上に抱きすくめ、ほおずりしている。
一方の隅では、白地に大輪の菊花模様の和装が、赤いミニスカートとしゃべっている。
「今日のカズヨさん、おきれいねぇ。ミニがすごくかわいい….」
「あーら、オリエさんだってお色気いっぱいよ。あたし、おねえさまにキスされたい」
カズコさん(会社員・28)とオリエさん(開業医・46)の粘っこいやり取りの向こうでは、着流し、薄いサングラスの中年男がカクテルドレスと抱き合って、熱い口づけの最中。音楽のボサノバがけだるく流れ….。
高校生から助教授、会社社長の女装マニアが「月一回、都内某所でマル秘パーティーを開く」という噂を聞き、僕はこの目で見たいとさる筋に依頼。やっとOKが取れて、指定の喫茶店(新宿三越裏・H)で呼び出しを待つことしばし。
かねて打ち合わせどおりの仮名で、店へ電話があり、そこから別の場所を指定される、という厳重なチェックぶり。
女装ファンなら誰でもOKとはいえ、入会には紹介者が必要で(「芙蓉クラブ」はマジメな女装ファンであることが第一条件)、秘密保持が厳しく守られている。
やっと指定のクラブ(新宿コマ劇場付近にあるビルの地下室。普段は普通のクラブ)にたどりついて、そこでまた2度目のチェックをされたのである。
いまから52年前です。
当時、女装はまったくのアンダーグランドでありました。
そのころに行われた女装愛好者の集まりはどのようなものだったでしょうか。
記事のコピーを入手しましたので、再録します。クラブの秘密パーティに記者が潜入したものです。
潜入ルポ 医師・会社役員・高校生・助教授が集まる女装パーティの痴態
15歳から68歳まで「愛好者」たちがみせた変身と恍惚の一部始終
とにかく「パーティ」をのぞいてみていただきたい。カクテルドレスの中年紳士、ミニスカートの青年、和服姿のでっぷり太った初老の男…。場内に流れる妖しいリズムにのって踊り、もつれ合う。目をそむけ吐き気を催すのはオクれている証拠か。なにしろ「脱自己」をめざす 果敢な試みなんだそうだから--。
化粧をするとボーっとなる
「私って子供の時から母の化粧品なんかいじって、いつも叱られてたの。女の下着つけたらどんなに気持ちいいだろうなんて、本気に思い詰めていたわ それでいっぺん女装してみたらもうやめられなくなって….」(会社員・22・クラブではカヨコと名乗る)
「鏡を見ながら化粧するでしょ。下地からクリーム、アイシャドウ、頬紅、ルージュ。ええ普通の女の人の手順よ。衣装をつける頃にはもうボーっとなっちゃって、下着がつっぱっちゃって、一度なんか帯を締め終えて ポンとお太鼓を叩いた途端、いっちゃったわ」「大学助教授・32・ユミちゃんが会員名」
<3月中旬土曜日・午後7時40分>
黒いレザー黄金のノッカーの扉をして一歩踏み込む。内部が暗く、数分--目が慣れると赤と紫のミラーボールが先着の会員(20人くらい)を照らす。いる、いる。和服の服装が9人、ミニスカートが3人、キラキラしたカクテルドレスが5人、男の服装そのままが4、5人。
手前のカウンターに腰を下ろすとセーラー服の子がスッと脇に座る。「新しい会員のかた?」
早速ビールを抜いてくれる。
「君いくつなの?」
「17よ。真弓って呼んで」
「マユミちゃんは、そいじゃ高校生?」
細い襟首から背にかけてのゆったりとクセのない長い髪。鼻にかかった声が甘い。
「僕、女装じゃないけどいいのかな」
「ええ、男の人が少ないから大歓迎じゃない」
全く調子が狂う。あどけないマユミちゃんをはじめ、掛け値なしのオトコばかりと途中で何度も自分で確認していないとオトコが不明になってしまう。
「お願い、離してぇ」
「かわいいね、僕とお話ししようよ」
隣のボックスで、黒のパンタロン、胸に白いリボン、赤いブラウスの子が嬌声を上げる。
「あの子なんて、名前?」
「エイコよ、大学生なの」
相手は財閥系のバンカーだという。バンカー氏がエイコを膝の上に抱きすくめ、ほおずりしている。
一方の隅では、白地に大輪の菊花模様の和装が、赤いミニスカートとしゃべっている。
「今日のカズヨさん、おきれいねぇ。ミニがすごくかわいい….」
「あーら、オリエさんだってお色気いっぱいよ。あたし、おねえさまにキスされたい」
カズコさん(会社員・28)とオリエさん(開業医・46)の粘っこいやり取りの向こうでは、着流し、薄いサングラスの中年男がカクテルドレスと抱き合って、熱い口づけの最中。音楽のボサノバがけだるく流れ….。
高校生から助教授、会社社長の女装マニアが「月一回、都内某所でマル秘パーティーを開く」という噂を聞き、僕はこの目で見たいとさる筋に依頼。やっとOKが取れて、指定の喫茶店(新宿三越裏・H)で呼び出しを待つことしばし。
かねて打ち合わせどおりの仮名で、店へ電話があり、そこから別の場所を指定される、という厳重なチェックぶり。
女装ファンなら誰でもOKとはいえ、入会には紹介者が必要で(「芙蓉クラブ」はマジメな女装ファンであることが第一条件)、秘密保持が厳しく守られている。
やっと指定のクラブ(新宿コマ劇場付近にあるビルの地下室。普段は普通のクラブ)にたどりついて、そこでまた2度目のチェックをされたのである。
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