内田勝春著 ちくま新書296 P8より引用
ISBN4-480-05896-6 680円+税
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江戸の町が深い眠りについてい
る丑三つ時。(略)
黒装束姿が油問屋の屋根にぬっ
と姿を表した。千両箱をひとつ
担いでいる。(略)鼠小僧だ。
同心は鼠小僧を奉行所に引った
てて、江戸町奉行本田筑後守の
前に行く。(略)
同心は得意顔で鼠小僧を引っ立
て、牢屋にぶち込む。(略)
寝床についた奉行は「む、カネを
回すにはやむを得まい…。永久
循環のほうが大事じゃ」とつぶ
やき、牢屋に潜んで行くと、牢
番は口を朱、船をこいで眠り込
んでいる。さっと鍵を開け鼠小
僧を起こし、「さ、速く行け」
とうながす。
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▼昔鼠小僧の映画を見たことが
ありますが、↑のような話の展
開を聞いたことがありません。
屋根から屋根へひらりと飛び越
えて大活躍する場面は記憶にあ
ります。その裏があって実は当
時の大店はあくどい儲けで小判
を溜め込んでいたらしい。で逃
げる鼠小僧に大店を書き込んだ
図面を与えてやったとは意外で
す。どうやら「金は溜め込むな」
というのが江戸の方針だったら
しい。その発案者が柳生宗矩さ
んでそれを(永久循環)徳川さ
んが取り入れた。というのが真
相のようです。江戸っ子は「宵
後しの金はもたない」なんての
もそのへんに由来するものかな?
こめぞう