おじいちゃんのメガネ(1)

2018-07-12 05:49:04 | 童話
僕は自転車で公園へ行った。
坂を登る時はハアハアと大変だったが、丘の上にある公園は見晴らしが良くて気持ちがいい。
公園を3周したらかえろう。帰りは下り坂なのでラクチンだ。

そこへ、おじいちゃんが帰って来た。
『またおじいちゃんのメガネで自転車ごっこをしているのかい? メガネのガラスは汚れるから、ガラスにさわったらダメだよ。』
『うん、ガラスじゃない所を持っているから大丈夫だよ。』
おじいちゃんは優しいので全部がダメだとは言わない。
『さっきね、自転車で丘の上の公園に行ってきたんだよ。』
『悠太君は、まだ三輪車も上手く乗れないから、自転車は来年買ってあげるね。』
『うん、まだ三輪車を押してもらっているから、自転車は来年でいいよ。』

明日、自転車で何処へ行こうか、と考えていると楽しくなる。
おじいちゃんの円いガラスのメガネ、おじいちゃんに借りた僕の自転車。
そうだ、明日は近くの小川に行こう。少し前にお兄ちゃんと一緒に行った小川だ。この小川は、水が僕のヒザの高さまでしかなく、ゆっくりと流れているから安全なんだとお兄ちゃんが言っていた。その小川にはフナやメダカがたくさんいて、僕の家でも水槽に入れて育てている。

今日はお兄ちゃんと一緒に歩いて行くではなく、おじいちゃんのメガネの自転車でいくので、何も持っていかないいかない。
やっと小川に着いた。
『やぁ、メダカやフナがいっぱいいる。メダカ君、フナ君、今日はお家に連れて行ってあげないよ、また今度ね。』
僕は小川でメダカ君とフナ君に会ったので、今日はもう帰ろう。
『メダカ君、フナ君、バイバイ。』

おじいちゃんが僕の所にきて『新聞を読むからメガネを使うよ。』
『うん、いいよ。』