キリンのコロと、カピバラのノッポ(2)

2018-07-18 05:54:00 | 童話
そして、2匹で仲良く遊んでいると、飼育係の人がやって来て、
『あれっ、2匹の名札が間違えてかけられているよ。』
と言って、キリンのノッポは茶色の名札、カピバラのコロは黄色の名札に取り替えました。
そこに、女の子がお父さんとお母さんと一緒にキリンとカピバラのオリの前にやって来ました。
『あれっ、さっき来た時は、キリンがコロで、カピバラがノッポの名札だったのに、おかしいわね?』
と言うと、お父さんは
『お客さんが付けた名前が、キリンはノッポで、カピバラがコロだったのだから、これでいいんだよ。』
と言いました。
女の子は
『おかしいわね、さっきは反対だったのに。』
と言ってしばらく2匹を見ていました。すると、キリンが座り、カピバラがキリンの首からノッポと書いた名札を取り、自分のコロと書いた名札をキリンに掛けてあげました。そして、キリンの首から取ったノッポと書いた名札を自分の首にかけました。
『お母さん見て、名札を取り替えたわよ。』
『本当ね。』
『本当に取り替えるんだね。カピバラは手を使うのがうまいからね。』
そして、飼育係の人が名札を直しても、飼育係の人がいなくなると、また2匹は自分で名札を取り替えるのです。

毎日毎日これを繰り返していたので、動物園に来た子供達は、キリンの名前がコロで、カピバラの名前がノッポだと思うようになりました。
そして、2匹とも大きくなりましたが、キリンのコロはスマートで、カピバラのノッポの背は高くなっていません。
だけれど、動物園に来るお客さんは、キリンはコロで、カピバラはノッポだと覚えています。
背の高いコロと、コロコロとしたノッポは、毎日毎日、仲良く遊んでいるのです。

おしまい