グー、グー、グー(2)

2018-07-15 09:26:36 | 童話


『起きなさい、映画が始まるよ。』
僕はお父さんに起こされた。
『あれっ。ここはロケットの中ではなく、映画館の中だ。おかしいなぁ。』

そして、映画が始まった。
外国の小さな町の、中心部から遠く離れた草原の中に家が有り、その家には老人夫婦が住んでいる
この老人夫婦の家のテレビに、毎日同じ時間にビビッ、ビビッと雑音が入ってくるのだ。少し離れた家のテレビには雑音は入らないので、この老人夫婦に対する宇宙からメッセージではないかと、天文学者と生物学者と通信技術者が調査を行なった。そうして、大きな電波望遠鏡を作り、時間をかけて調査した。その結果、宇宙からのメッセージだと確認ができたので、電波の来る方角にある星の調査を行うことにしたのだ。

そして、多くの技術者が乗り組んだロケットが打ち上げられ、宇宙探検が始まった。永い宇宙旅行なので、火星と土星を経由して飛んで行く計画である。
永い時間の映画なので、火星に着いた時間で10分間の休憩があった。

『土星に近付いてきたので起きなさい。』
とお父さんに起こされた。僕は火星を出発してからずっと寝ていたんだと言われた。
『あれっ、またロケットの中だ。さっきは映画館の中だったのに、おかしいなぁ。』
ロケットの外を見ると、土星の大きなリングが見えた。
『わぁ、きれいだね。お父さんの言ったとおりだね。』
『ああ、きれいだね。前に土星に来た時に見たのと同じだね。』
『また、土星の基地で休憩するの?』
『そうだよ、最後の休憩だね。』

そして、ロケットは土星に着いた。
『やっと土星に着いたね。地球に向って電波を出している星はもう少し遠いらしいよ。』
『どんな生き物か楽しみだね。』
『今晩は、この土星の基地の休憩室で寝るよ。』
『うん、分かった。だけれど、今度起きたら僕はどこにいるのかなぁ?』