僕達の小さくて大きな森(4)

2019-10-09 07:00:44 | 童話
次の日、僕達の小さくて大きな森の盆栽を、おじいちゃんが大事にしている花壇の、一番奥の安全な場所に置いてあるのを見つけた。
『お~い、有ったよ、僕達の小さくて大きな森が。』
『本当だ、良かったね。』
『また、二人一緒に入って行くよ。』
『いいよ。』
また二人でエンピツを持って植木に近付いて行った。
『うわっ。』
『うわっ。』
僕達は森の中に入って行った。

しばらく歩いて行くと、多くの動物が集まっている広場に出た。
『みんなで何をやっているのかなぁ?』
『何をやっているのかね。』
『ゾウやキリンもいるし、カブトムシやクワガタもいるよ。』
『本当だ、チンパンジーやカピバラもいるよ。』
『やぁ、人間がやって来た。』

『みんなで何をやっているの?』
『相談しているんだよ。』
『みんな僕達とお話しができるの?』
『うん、みんなお話しができるよ。』
『みんなで何の相談をしていたの?』
『この森からの引越しを相談しているんだよ。』
『どうして引越しをするの?』
『この森はね、すごく年を取ったので、みんなで遠くへ引越しをするんだよ。この森が生まれ変わるのには永い時間がかかるので、それまでのあいだ、若い木も連れてみんな引越しするんだよ。』
『生まれ変わるのにはどれくらいの時間がかかるの?』
『何百年か何千年か分からないんだよ』
『ふぅ~ん。引越したら新しい森の場所を教えてね。』
『ああ、いいよ。』
『きっとだよ。』
『ああ、約束するよ。』