アリの小さな魔法使い(3)

2018-07-26 05:48:22 | 童話
そして、温かくなってきたら、僕達魔法使いがまた集まり、生まれたばかりのアリの先生をするんだ。
前からいるアリはエサ集めに忙しいので、僕達魔法使いが先生になって、いろいろと教えるんだよ。
アリ地獄のように危険な生き物や、水たまりの様に危険な場所などを教えるんだよ。
巣の外は危ないからね。

だけれど、人間は大きくて、歩いたり、走ったりするのが早いので、人間に踏まれないようにするのは難しいんだ。
だから、人間に踏まれそうになった時は、僕達魔法使いが、人間が転ぶようにしているんだ。

それからね、大きなエサの運び方なんかも教えるんだけれど、たくさんのアリが、みんなで協力してエサを持たないといけないので、みんながエサのどこを持つのかをみんなで考えるんだ。
魔法使いはね、その決める方法を教えるんだよ。

そして、普通のアリは、僕達魔法使いの決めたエサの見つけ方や、エサを運ぶ方法を、みんなでやるんだよ。
僕達アリは、みんな仲が良いので、全員でやるんだ。
そして、ケガをしそうになった時は、僕みたいな魔法使いが、ケガをしないように、いつもみているんだ。
君達のお父さんやお母さんも、君達のことを、ちゃんとみているんだよ。

だから、僕達魔法使いは忙しいんだ。

あ~、忙しい、忙しい。

     おしまい

アリの小さな魔法使い(2)

2018-07-25 05:52:05 | 童話
えっ、僕のような魔法使いは僕だけかい、だって?
僕達アリは体が小さいので、魔法も小さくて遠くまで届かないから、僕みたいな魔法使いはたくさんいるんだよ。

毎日働いていたアリ達が、冬になって巣穴でじっとしている間に、僕のようなアリの魔法使いが集まって会議をするんだよ。
そうだよ、遠くからも、みんな魔法を使って飛んでくるんだ。

えっ、どうやって飛んでくるのかだって。僕達アリは、人間の魔法使いのように、空飛ぶホウキや空飛ぶジュータンは持っていないので、木の葉っぱに乗って飛んでくるんだ。
寒い時に、木の葉っぱがいっぱい飛んでいるでしょ。全部の葉っぱに、僕達アリの魔法使いが乗っているんだよ。

そうそう、遠くから集まってくる時は、魔法が遠くまで届かないので、魔法が切れた時は、一度地面に下りてから、また魔法で飛んでくるんだ。
だから、葉っぱは高くまで上がったり、地面に落ちてきたりしながら遠くへ飛んでいるんだ。

そして、魔法使いのみんなが集まったら会議が始まり、今年生まれたアリの数や、今年集めたエサの量などが報告されるんだ。そのあとで、来年の計画を考えるんだけれど、来年のアリの数を予測して、みんなに必要なエサの量を考えて、そのエサの見つけ方や、エサを運ぶ方法を相談するんだよ。
だから、計算するのが大変なんだ。そうしないと、たくさんのアリが生きて行けないからね。

来年の計画ができると、僕達魔法使いは葉っぱに乗って、元いた所へ帰って行くんだ。
そう、遠くから集まって来た魔法使いは、魔法が切れたら、一度地面に下りてから、また魔法で飛んで帰るんだ。

アリの小さな魔法使い(1)

2018-07-24 06:04:42 | 童話
僕はアリですが、魔法使いなのです。
みんなが歩いている時や、走っている時に、つまずいて転ぶ時があるよね。
あれはね、僕達アリが踏まれそうになったから、僕が魔法を使って踏まれないようにしたからなんだよ。

それと、君達は見たことがあると思うんだけれど、大きなエサの昆虫を、僕達がたくさんで運んでいる時に、少し経ってみんなが気が付いた時には、もう運び終っていることがあるよね。これも僕の魔法なんだよ。

あとね、僕達はエサを探して遠くまで歩いて行くけれど、時々迷子になることがあるんだ。その時僕が魔法で帰り道を教えるんだよ。

もう一つ、僕達アリが高い木に登って行くのを見たことがあるでしょ。僕達アリも高い所から落ちることがあるんだけれど、その時も僕が魔法を使って、そっと地面に着くようにしているからケガをしないんだよ。

それから大切なことなんだけれど、僕達アリの家は地面の下にあるので、雨がたくさん降ってきて僕達の家に水が入ってくると困るので、僕が魔法を使って巣の入口にふたをするんだよ。
いつもは、雨が降ってくるのが分るので、早くから全部の巣の入口にふたをするんだけれど、急に雨が降ってくると、魔法使いの僕は忙しいんだ。

だから、僕達アリが行列を作って歩いている時に、出かけるアリと帰って来るアリとが、頭でコッツンコをしているよね。
あれはね、出かけるアリが帰って来るアリに、魔法使いの僕がどこにいるのか教えてあげているんだよ。
僕の魔法が必要になった時に、僕のいる所を知らないと困るからなんだよ。

僕の電車のお客さん(2)

2018-07-23 05:50:35 | 童話
僕が起きると、お母さんが
『よく昼寝したわね。あら、お顔が黒くなっているわね。あらっ、シロの毛も黒く汚れているわね。どうしたのかしら?』
『蒸気機関車を運転してトンネルの中を走ったからだよ。』
『ええっ。』

次の土曜日に、僕はお父さんからトロッコ電車の旅行パンフレットを見せてもらった。
お母さんが
『あらっ、素敵ね、ここへ行きたいわね。』
と言ったので、次の日曜日に僕がトロッコ電車を運転して、お父さんとお母さんを乗せてあげることにした。
また僕が運転手で、助手は犬のシロです。
そして、ホームのアナウンスがありました。
『左の方からトロッコ電車が入って来ます、お客さんは切符を買って、客車がちゃんと止まるまでお待ちください。』
『ゴトンゴトン、ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。』
『停車位置よ~しっ。』
『今の駅、今の駅。』
『皆さん、今の駅に到着しました。乗る人は、降りる人が終ってからお願いします。』
『ルルルルルル。』
『皆さん発車しま~す。次は「次の駅」、「次の駅」で~す。』
『ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。』
『わぁ、谷の上の鉄橋だ、高い所を走っているんだね。』
『ええ、そうよ。素敵ね。』
お母さんは大変楽しそうです。

そして、トロッコ電車は「次の駅」に着きました。お父さんとお母さんはこの駅で降ります。
『はい、ありがとうございました。切符はこの箱に入れてください。』
僕とシロが運転するトロッコ電車はもっと高い山の駅へ走って行きました。
『ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。』

僕が起きると、お母さんが
『よく昼寝したわね。あら、どうしてモミジの葉っぱを持っているの?
あらっ、シロの毛にも草が付いているわね、どうしたのかしら?』
『トロッコ電車で山の高い所へ行ったからだよ。』

『ええっ。』
『うちの子は、今度ロケットに乗ったら火星の石でも持ってくるんじゃない?』
『そうかも知れないね。』
僕は、お父さんとお母さんのお話しを聞いて、次はロケットを運転しようと思った。
だけど、ロケットの運転席が分からないので、絵本で調べてから乗ろうと思った。
まだ、ロケットの運転席の絵本は見つからないが、ロケットを運転するのが楽しみだ。

おしまい

僕の電車のお客さん(1)

2018-07-22 08:14:19 | 童話
僕のお父さんは毎日電車に乗って会社へ行きます。
お母さんはお買い物をするのは近くのスーパーですが、時々電車に乗って遠くのデパートへ行きます。
だけど、土曜日と日曜日は、お父さんもお母さんも、僕の電車のお客さんになります。

昨日は新幹線だったので、日曜日の今日は蒸気機関車にしよう。
僕が運転手で、助手は犬のシロです。
そして、ホームのアナウンスがありました。
『左の方から蒸気機関車が入って来ます。お客さんは切符を買って、客車がちゃんと止まるまでお待ちください。』
『シュッ、シュッ、シュッ、シュッ。』
『停車位置よ~しっ。』
『今の駅、今の駅。』
『皆さん、今の駅に到着しました。乗る人は、降りる人が終ってからお願いします。』
『ルルルルルル。』
『皆さん発車しま~す。次は「次の駅」、「次の駅」で~す。』
『シュッ、シュッ、シュッ、シュッ。』
『ポッポ~ッ。』
『シュッシュッ、ポッポ、シュッシュッ、ポッポ。』
『ポッポ~ッ。』

『上り坂になったので石炭をたくさん燃やします。』
『シュシュッ、ポッポ、シュシュッ、ポッポ。シュシュッ、ポッポ、シュシュッ、ポッポ。』
『トンネルに入りま~す。わ~っ、煙がいっぱいだ、シロ、大丈夫かい? お父さんとお母さんは大丈夫かな?
そうか、客車は窓が閉まっているから大丈夫だね。』
『やっと上り坂の頂上になりました。』
『シュッ、シュッ、シュッ、シュッ。』
『ポ~ッ、ポ~ッ。』

そして、蒸気機関車は「次の駅」に着きました。お父さんとお母さんはこの駅で降ります。
『はい、ありがとうございました。切符はこの箱に入れてください。』
僕とシロが運転する蒸気機関車はもっと遠くの駅へ走って行きました。
『シュッ、シュッ、シュッ、シュッ。』
『ポッポ~ッ。』
『シュッシュッ、ポッポ、シュッシュッ、ポッポ。シュッシュッ、ポッポ。ポッポ~ッ。』