日本知財学会は設立当初より入っている学会で、知的財産の勉強をするために末席に。
産学官連携やMOTの情報収集をしているなかで、参加した学会です。
もちろん学究の徒ではありませんし、弁理士でもないので、直接的な情報活用ができるわけではありませんが、知的財産の最先端の動きを知ることができるので、シンポジウムなどには積極的に参加してきました。
研究ノートの大切さやそれを公正証書にまでするなど、研究の成果の担保の難しさを教えてもらったのもこの学会です。
さて、
公務員の間、参加してこなかったのですが、今回のシンポジウムのタイトルが、「アグリ・フードビジネスと知的財産」。
写真の題目は誤りと本学会の創設者の妹尾先生が第一声で言われていました。
「アグリ」と「フード」に興味を持つ方が研究者にも増えてきたということでしょうか。
もっとも、ネスレのグローバルなブランドなどの知財戦略について、多面的な情報をこの学会で教えてもらいましたら、「フード」は継続的なテーマではあったわけですが・・・
今回のシンポジウムは、妹尾先生の名前を農林水産省のWEbページで拝見するようになったからのようです。
シンポジウムの中で特に興味深かったのは、パネル討議の中の二人のパネリストの方の発表でした。
キッコーマン(株)の常務執行役員の村田さんは、圃場から消費者へ至る各段階に多数の知財が関与しているという話をされました。
そのなかで、食品にこれだけの知財が関わり、それがコストに転嫁されていることが良いことなのかとも考えるという趣旨の発言をされました。
「ものごと」の「こと」が重たくなる経済の中で、答えの出ない課題だと感じました。
Innerbrain(株)代表取締役、前シンジェンタジャパン会長の、村田さんは世界の農業環境の課題とリスクについて話をされました。
農薬の普及、ハイブリッド品種の普及、遺伝子組み換え作物の導入が、単収の増加に貢献しているという図を見て、複雑な感情を持ちました。
単収の増加は今後の世界的な食料問題を解決するには不可欠な課題ですが、遺伝子組み換え作物が、いかに安全といわれても、生態系に与える影響が本当にないのか、経験則がどれだけあるのか、など考えてしまいます。
ただ、村田さんの言われたことで、本質をついていると思ったことがあります。
「今ある仕組みをもっと生かす施策がひつようだ。農協の生産にはたしてきた役割は大きい。」
うがった見方で、農協があったほうがアグロ多国籍企業は有利だからという考え方ができるかもしれませんが、単純な農協不要論は、日本の農業政策を誤った方向に導くと思います。
シンポジウムの最初に「答えを出すのではない、課題の整理だ」ということでしたが、課題を整理する入り口にしか立てずに終わった気がしました。
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