東京の山では最高峰の雲取山、いろんなコースがあるが、三峰神社から登って行くと、奥社の妙法が岳を経由して、途中に霧藻が峰という、休憩に丁度いい見晴らし場がある。
たいした見晴らしではないが、馬酔木が咲いてたりするし、秩父宮記念碑や小屋もある。
ここを越えてから一度峠に下り、そこから雲取への山道が始まると言っても良い。
片道10キロチョイくらいの、素敵なコースだ。
深い静かな森を登って行くと、古木の枝から大きな蜘蛛の巣が垂れてるような光景を見ることもある。
これを霧藻、サルオガセという、植物というか菌類というか、不思議な生き物に出会うことがある。
夜明け前だとか日暮れ後なんかにヘッドライトをつけて歩いていて、これが照明に浮かび上がってくると、ちょっとドキッとする。
・・・怪しい奴が、おいでになったか?
神や仏やあの世すら信じておらず、自分が神だと信じて生きてるオヤジでも、ドキッとすることはある。
怖いというよりも、不思議、自然界にはそんな愉しい不思議はいくらでもある。
いないものが見えることはないが、あるものを錯覚する、これはガキの頃に散々に、まわりの無粋な大人たちに脅されて育った名残りだとも言える。
成人して、一度すべての知識や洗脳から解き放たれた、そう想っておっても、まだまだ感覚として残っている。
笑うしかない。
サルオガセは残骸ではなく、腐った枝葉でもなく、名残でもなくって、そういう生き物なんだな。
どう贔屓目に見ても、やっぱり美しい生き物とは違うがな。
この頃も、相変わらずに離婚の相談は多い。
商売でやってる訳でもなく、紹介でやってくる人ばかりだから、俺も言いたいことは言ってやる。
・・・そんなことは離婚の理由にはならんだろうよ
この台詞が多くなってる。
なんで結婚したの? なんで子供を作ったの? 別れてどうするの? キチンと答えられる大人はいない。
あげくにたいしたこともない財産の奪い合い、養育費・生活費の奪い合い。
自分が一番大事、旦那や妻や子供よりも、自分が一番大事。
俺みたいな自由自在に生きてる者は、なにがあっても自分が一番最後になってる。
やることはキチンとやっておいて、自分の自由を主張し行動する。
呆れ返って笑うしかなくなってる。
・・・やっちゃえ! 別れちゃえ! とっとと逝ってしまえ!
笑いながら言ってやってるが、本音だ。
ガソリンが安くなってきた。
山用の車は毎週5~600キロ走ってるし、営業車も毎日乗ってるから、敏感に眺めているけんども、だいぶん安くなってる。
・・・なにが喰いたい?
・・・そうね、美味しい湧き水で美味しいコーヒーを飲みたいね
・・・そうか、じゃ~高い山に登ろう