カップヌードルが一気に広まった切っ掛けがあの浅間山荘事件だと言われる。
建物を取り囲む機動隊が寒さの中ですする映像が全国に流れ一気に知名度が上がったそうだ。
今でも時々あるが地域限定販売で売れ行きを見る事は珍しくない。
カップヌードルも実はそんな商品だった。
都会で限定発売して客の反応を探ったのである。
当然田舎に無い。
所がそんな幻の商品であるカップヌードルが実家の前に忽然と姿を現したのだ。
何故かというとその家の息子がわざわざ東京からカップヌードルの自動販売機を持ってきたのである。
この息子は東京の大学へ進学し(卒業したかは不明)色々な文物をこの田舎に流入させていた。
彼はその後借金を抱え夜逃げをするが。
で、この自販機、実はお湯が出るタイプなのだがそんな設定はしていない。
どう見てもお湯が出る部分があって横に専用のフォークが置いてある。
我家では設置されて直ぐ家族全員でしげしげと眺めに行ったがお湯が出るとは凄いなと思ったね。
しかし出ないけど。
四人分のカップヌードルを買い食べたけど何とも不思議な味だったのを覚えている。
袋麺とは全く違うし美味いのか否か、判断がつかない。
微妙な顔で食べ終えると母親は当然の如く容器を洗い始める。
当時のカップヌードルは今より容器が厚かった。
「これはもったいない、何かに使える筈や」
と誰しもが思うが結局2月ほど放置されて捨てられた。
凄かったのは売れ行きである。
大都市圏にしか売っていないカップヌードルを目指して近郷近在から老若男女が押し寄せ自販機の前に行列が出来た。
そしてお湯は出ないのに蓋を開けた品を注ぎ口に置いてひたすら佇む人が続出する。
お湯は出ませんと書けばいいのになあ。
このカップヌードル騒動は半年程続いたのである。