香港デモ:主張の応酬2時間 政府側が対話継続求める
毎日新聞 2014年10月21日 23時39分(最終更新 10月22日 11時18分)
http://mainichi.jp/select/news/20141022k0000m030141000c.html
香港大規模デモで大型モニターに映し出される政府との対話を見守る民主派デモ参加者=香港で2014年10月21日、ロイター
【香港・鈴木玲子、隅俊之】香港の行政長官選挙の制度改革に反発する民主派の学生団体と香港政府による対話が21日、香港島南部の専門学校で開かれた。9月28日に学生団体を中心とするデモ隊が大規模な占拠行動を開始してから双方が正式な対話のテーブルに着くのは初めて。双方の主張は平行線をたどり、政府側は終了後に対話継続を求めた。一方、学生側は政府の対応に不満を示し、デモ隊に占拠継続を呼びかけた。
対話には双方から代表5人が出席。政府側はナンバー2の林鄭月娥(りんてい・げつが)政務官(閣僚)をトップとし、学生側は「大学生連合会」(学連)の周永康秘書長ら学生団体幹部が顔をそろえた。司会者をはさんで相対したテーブルに着いた両者。テレビで生中継される中、対話が始まった。政府高官を前に、「今すぐ自由を」と書かれたそろいの黒色Tシャツ姿で臨んだ学生側は、緊張した面持ちながらも冷静に訴えた。
「中国の決定は香港の民主主義の道を切り裂くものだ」。学生側はこう非難しながら、住民の署名で一定の支持を得れば立候補できる「住民指名」の仕組みが導入されればデモ隊を解散する考えを明らかにした。
だが、学生側の主張にじっと耳を傾けていた林鄭政務官は、「住民指名」について「香港基本法に適さない」とはっきりと退けた。政府側は、指名委員会の構成で議論の余地があり、さらに「次期選挙が最終局面ではない」とも強調。選挙制度を議論する枠組みを設け、次期選挙後に学生を含め議論を深めるという一定の譲歩案を示した。だが、2時間に及ぶ主張の応酬で双方の溝が埋まることはなかった。
学生らは占拠する金鐘(アドミラリティ)、旺角(モンコック)、銅鑼湾(コーズウェイベイ)の3カ所で集会を開催。最大の占拠エリアである金鐘には1万人以上が集まり、巨大なスクリーンに映し出された対話の中継を見守った。「(中国側が決めた)選挙制度の改革で500万人が1人1票を得ることができる」「香港は中国の一部だ」。政府側の代表が学生らの訴えを否定するたびに、会場からはブーイングが起きた。学生側が「このままでは(高度な自治を保障した)1国2制度はなくなってしまう」などと反論すると、集会参加者は運動のシンボルである傘を広げながら拍手を送った。