青森県の十和田湖に突き出た中山半島の付け根に、北東北でも最強クラスのパワースポットである、十和田神社がある。
十和田神社は、下北の恐山、金木町川倉賽(さい)の河原地蔵とともに、北東北の三大霊場と称されている。
その十和田神社の中でも、特にパワーが強いと言われるのが、湖面近くにある占場だ。
今でも、多くの祈祷師やイタコたちが霊力を高める為に、この場所を訪れている。
その昔、南祖坊(なんそのぼう)という修行僧が、十和田湖の主の八郎太郎との争いに勝ち、新しい湖の主・青龍権現に生まれ変わったちいう。
南祖坊が入水した場所というのが占場の由来だ。
また、占場はその名のとおり、吉凶を占う場所としても信仰を集めてきた。
神前に供えた「おより」という紙を湖面に投げ入れると、願いが叶う場合は沈み、叶わない場合は浮いたまま波にさらわれると言うのだ。
同じような失敗を繰り返して、どうにもならない時に占場に行くと、負のスバイラルから救い出してくれるとも、伝えられている。
参拝者が上り坂になっている参道を歩き、占場と書かれた祠まで行くと、その先は湖の岸辺まで険しい崖になっている。
そこから78段の梯子を使ってほぼ垂直に思える崖を下りて行くのだ。
この梯子には、不信心者は途中で足が震えて目が眩むという言い伝えもある。
かつては梯子ではなく鎖だけが掛けられていて、参拝者は決死の覚悟で崖を下りたのだろう。
おびただしい数の人々の必死の思いが、湖面に投げ込まれてきた占場が、今もなお根強い霊場だと言うの、もうなづける話である。