摩周湖は、1年を通じて霧に覆われた姿が何ともミステリアスな湖だ。
世界有数の透明度を誇るその湖面は「摩周ブルー」と称され、運良く拝む事が出来た人たちを魅了している。
湖面を覆う霧は、一寸先も見えないほどの濃さから一気に晴れることもあり、その劇的な様子もまた神秘の湖といわれる所以だ。
摩周湖には、霧にまつわるいくつかのジンクスがあるが、中には「未婚者が初めて訪れた時に、霧が晴れて湖が見えると婚期が遅れる」という厄介なものもある。
パワースポットに行ってマイナスのジンクスに出会ってしまったら元も子もないが、霧が晴れている事が少ないからこそ、生まれたジンクスだということもできるだろう。
もし、不幸にもそのジンクスにあたってしまったら、気を取り直して霧が晴れた湖面を見渡してほしい。
摩周湖に浮かぶ唯一の島であるカムイシュ島が見えるはずだ。
「カムイシュ」は、アイヌ語で「神となった老婆」を意味する。
アイヌの伝説によれば、戦のときに孫とはぐれた祖母が幾日もその姿を探し続けて、とうとう動けなくなって小島に姿を変えたという。
そして、今でもこの小島の周辺に人間が近づくと、孫が来たのかと喜ぶ祖母の嬉し涙の雨や雪が降るのだという。
訪れるタイミングで霧が晴れる事の確率の低さを考えれば、その神秘的な小島の姿を拝める人は、かなり幸運である事は間違いない。
やっかいなジンクスが気になるなら、既婚者となってから訪れるといいだろう。