爺さんが伝えたいこと

寡黙に生きて来た爺さんが、一つの言葉ででも若い人達の役に立つならば、幸いです。

聖地が罪人の引き回しルートに

2021-07-21 17:41:26 | 日記
京都は四季を通じて観光客で賑わう華やかな町だ。

しかし、長い歴史の中で伝わっているのは明るい話ばかりではない。

かつて、京都には罪人が獄舎から出されて、市中を引き回された上で刑場に送られる「引き回しルート」があった。

その引き回しルートの重要ポイントが、鴨川にかかる一条戻橋だ。

毎年12月20日、六角獄舎を出た罪人は、一条戻橋まで連れてこられ、そこで「今度生まれ変わってくる事ができれば、真人間に戻る様に」と仏花や餅が供えられた。

その後、十念ヶ辻で弔いの十念仏が授けられ、東西に分かれて粟田口刑場や紙屋川刑場へと送られていったのだ。

罪人の処刑日である12月20日は、「果ての二十日」と呼ばれ、市民たちから恐れられる様になった。

無縁仏となった罪人たちの霊が市中をさまようので、みだりに外出をしない様にという伝承が各地に残っている。

一条戻橋は陰陽道の考え方よると平安京の裏鬼門に位置し、あの世とこの世に掛かる橋、つまり異界への入り口とされていた。

陰陽師の安倍晴明が式神を隠した、渡辺綱が鬼の腕を切り落とした、千利休の首が晒されたなど、実話から伝承の類いまで逸話にこと欠かない。

当初は小さな木橋だった橋はコンクリートに一変したものの、一条戻橋にまつわる伝説は京都の町に現在まで語り継がれている。

多くの伝説とともに、罪人たちの死出の旅というダークな要素もあわせ持つ一条戻橋の神秘性は、古都京都の中でもトップクラスと言えるだろう。



沖縄の神様は見てはいけない

2021-07-21 02:15:02 | 日記
今は日本には禁忌とされる物や場所は少なくないが、そんな中でもタブー中のタブーと言っても過言ではないのが、この新城島(あらぐすくじま)である。

場所は沖縄県西表島の南東部で、上地島と下地島の二島に分かれている。

地元の言葉で「離れ」を意味する「パナリ島」の別称がある。

では、一体この島の何がタブーなのか。

それは、島民以外への口外をかたくなに禁じている秘祭と、そこに登場するアカマタ・クロマタなる神の存在だ。

この祭りは旧暦の6月に行われる「豊年祭」を指す。

原則として島民以外の参加は不可で、祭りの撮影や録音、スケッチなどは一切禁止になっている。

過去にはこっそり撮影した事がばれて、謎の変死を遂げた人もいたという。

アカマタ・クロマタというのは祭りのクライマックスに登場する八重山地方に伝わる神々だ。

ニライカナイ(海の彼方の理想郷)からやって来た神様で、泥で固めた草木の葉を身にまとい、顔には不気味な面を被っている。

そして人々を引き連れて町を歩き、島の豊穣を祈るのだ。

だが、じつはこのアカマタ・クロマタは、古代琉球王朝下において「異様ないでたちで神の真似をするのはよくない」とお上からお達しを受ける程の禁断の神でもあった。

禁を破って脈々と受け継がれた事が秘神を生み、祭りそのものも秘祭化してしまったというのが真実なのかも知れない。

島には定期便はなく、いまだ立ち入り禁止の聖域も多い。

まさしく日本最後の「秘島」と言えるだろう。