諏訪大社は、長野県の諏訪湖周辺にある「上社本宮」「上社前宮」「下社秋宮」「下社春宮」という4ヵ所の神社の総称だ。
日本で最も古い神社の一つとされ『古事記』や『日本書紀』にも登場するなど、さまざまな神秘的な伝承が、古代から今に語り継がれている。
たとえば、諏訪大社周辺は出雲以外で旧暦10月が「神在月」とされる唯一の地域なのだ。
出雲大社に全国の神様が集まって1年の話し合いをする旧暦10月は、日本各地の神様が留守になるので「神無月」と称される。
一方で、神様が集合している出雲では「神在月」というのだが、諏訪大社周辺でも出雲と同様に旧暦10月を神在月というのである。
この理由には諸説あるが、よく知られているのは諏訪大社の祭神である諏訪明神があまりに巨体だったからという説だ。
出雲に集まっていた神々は、巨体の諏訪明神を案じて「諏訪明神は特別に出雲まで来なくてもいい」事にしてくれたという。
ほかにも、古くから諏訪大社にまつわる不可思議な伝承は少なくない。
毎年1月1日に行なわれる「蛙狩(かわずがり)神事」では、神前にお供えする為に近くの川の氷を砕いて蛙を捕まえるのだが、どんな厳冬であっても必ず蛙が捕まえられるという。
また、本宮で最も大切な社殿である宝殿は、7年ごとに行われる御柱祭の時に毎回建て替えられるが、どんなに日照りの年でも、この宝殿の屋根からは水滴が落ちるとされる。
諏訪大社には、太古の昔から多くの謎がいまだ秘められているのだ。