見えない働きも、言葉で名前を付けると、有ることが知られる。
ひたすら利他の為に働く宇宙の生成力の性質を「仁」と名付けたのは、素晴らしい。
人と言うものは、放っておけば必ずと言って良いほど、利己的になる。
どうしても、自分の利益だけを求めて生きてしまう。
ある程度利己的にことは許されても、極端に自己中心的に生きていると、だんだん他人との関係がうまく行かなくなる。
ついには、生きる意欲や喜びを持てなくなる。
自分の能力も立ち枯れする。
「仁を欲すれば、斯に仁至る」。
自分の利益よりも、他人が利益を得る様に行動していくうちに、心の中に安らぎを覚え、努力にも身が入り、創造力も育ってくるものだ。
他人の為が、いつしか巡り巡って、自分の為になる。
人を思いやり、人の為になることをすることが、幸福になる必須条件であることを、人はあまり知らない。
仁の心は、友に向かって優しく「お~い」と声をかければ、すぐ自分の心に宿る。
人はもともと仁の生命で生きているのだから…。
自分の生活を豊かにしよう。
自分の能力を充実させよう。
誰もが自分の人生を実りあるものにする為に、努力する。
そんな努力をしているうちに、真面目になりすぎて、些細な失敗まで気になって、心に余裕をなくし、快活に笑うことが出来なくなっていく。
自分の生活の充実だけを図っていると、不思議と不安を持つようになるのだ。
こんな不安から抜け出すコツは、難しいことではない。
日頃から日常生活の中で、たまには友の成長を思いやり、他人の幸福を思いやることだ。