「変わる日本語、それでも変わらない日本語」
(塩田雄大著 世界文化社 2023/4/5 P.255)
著者塩田雄大さんはNHKで放送に用いる日本語の方針立案、策定に関する調査・研究をされており、現在NHK放送文化研究所主任研究員です。
日本語は世界でもむずかしい言語だと云われています。また日本語の言葉の意味や使い方は時代とともに変化しており、どれが正しい、間違いであるとか決められないものがあります。
本書はそういった日本語を61の例を挙げて説明、解説しています。正確な文法による解説だけではなく、世相とともに変化する様をアンケート調査に基づいた解説をしています。アンケートは年齢の区分も示して、年輩者の言葉、若者の言葉、時代の傾向が分かります。
ピックアップ
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・日本語では、相手の意向・欲求をあからさまに言葉にするのが避けられることがある。
・「有名な逸話」はおかしいか・・・「逸」にはもれてしまったという意味がある。
・大したことのない話なので「割愛します」・・・「割愛」は大切なことを切り捨てる意味。
・「つかぬこと」をうかがいますが ・・・本来はこれまでの話とは関係のないことを聞くときのことだが、最近はつまらないことを聞くがという意味でも使われている。
・週末とはいつのこと?・・・土、土日、金夜から月朝 など人によってかなりの違いがある。使うときには要注意。
・ファーストフード店で「以上でお間違いないでしょうか」と言われると・・・「あなたは間違っていないですか」の意味ではないか。本当に失礼な言い方。
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初老はいくつくらいからか、という質問がありました。
全国1,208人による調査では60歳くらいからと考える人が32%と一番多いという結果が示されています。(2017年3月)
引用している新明解国語辞典(第八版)(2020年11月)によると「肉体的な盛りを過ぎ、そろそろからだの各部に気をつける必要が感じられるおよその時期〔もと、四十歳の異称。現在は普通に六十歳前後を指す〕」とあります。
確か以前は五十歳ではなかったかと手元にある新明解国語辞典(第二版)(1975年3月)を開いてみると「肉体的な盛りを過ぎ、そろそろからだの各部に気をつける必要が感じられるおよその時期〔もと、四十歳の異称。現在は普通に五十歳前後を指す〕」、やはりそうでした。
時代とともに初老も変わってきています。
人生100年時代、70歳まで現役などという話が聞かれる昨今、そのうちに〔七十歳前後を指す〕ということになるかもしれません。