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今や国民的なマンガ家にして、妖怪研究の大家、NHKの朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」でもおなじみの水木しげるさん。
私も少年時代に「ゲ!ゲ!ゲゲゲのゲー」と鼻歌を歌いながら田んぼの中を走り回ったことを覚えています。
その水木さんの作品の中で『総員玉砕せよ!』という題の長編戦記マンガがあります。
このマンガを原作にした『鬼太郎が見た玉砕~水木しげるの戦争~』というドラマが数年前に放映されたので覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自らの体験をもとにした作品ですが、玉砕を強いる指揮官、理不尽な死を強制される兵士たち、
水木さんはあとがきで「ぼくは戦記物をかくとわけのわからない怒りがこみ上げてきて仕方がない」とつづっています。
作品中、ある軍医が玉砕を強要する参謀に対して「日本以外の軍隊では戦って俘虜になることをゆるされていますが」、
「どうしてわが軍にはそれがないのです」と迫ります。これに対する参謀の回答は「きさまそれでも日本人か」です。
「生きて虜囚の辱めを受けず」――この戦陣訓を作った人間は靖国に合祀されています。
(2013年4月26日 社民党政審会長代理 吉川はじめ)