「夢の中へ、行ってみたいと思いませんか…… 」
月の女神アルテミスが銀の戦車に乗って夜空を駆け巡っていると、ラトモス山の中腹に一人の若者が眠っているのを見つけた。
その眠りが安らかで美しいことに感動した彼女は、その若者の夢の中へ入り込んだ。
その眠りが安らかで美しいことに感動した彼女は、その若者の夢の中へ入り込んだ。
「あ、あなたはいったい…… 、誰っ」
驚く若者に女神は微笑む。
「わたくしはアルテミス。あなたの寝顔があまりに美しく、平和で優しかったので、起こすのには忍びなく、こうして夢に現れました。 ……名を名乗りなさい」
「僕の名はエンデュミオーン。羊飼いをしております。昼間の仕事に疲れてしまい、ここで眠っておりました。もしお気に障りましたらお許しを…… 」
「何を言います、わたくしがこうして夢に現れたのは…… 」
そう言ってアルテミスは、エンデュミオーンに優しくキスをするのでした。
美貌と謙虚さを持つエンデュミオーンを、彼女はすっかり気に入ってしまったというわけ(なんと言う甘い展開っ、虫歯になりそうな…… 。勝手にやってくださいよ、と言いたくなってきた)。
二人は夢の中で楽しい時を過ごす。エンデュミオーンは光栄で、嬉しさのあまり、こんなことを口走ってしまう。
二人は夢の中で楽しい時を過ごす。エンデュミオーンは光栄で、嬉しさのあまり、こんなことを口走ってしまう。
「ああっ、アルテミスさま。僕はこのまま、ずっとこの夢が覚めなければいいと願います」
たぶん、戯れて言ったことだろうが、甘いっ、甘いぞ! エンデュミオーン。神さまというのは、冗談が通じないんですよねぇ。
静かで、密やかなこの夢を守り続けたい。そう願っていたアルテミスは、渡りに船とばかりに喜んだ。
「もちろんです。ましてやあなたが、老いて死ぬなんて考えたくもないわ」
そう言ってゼウスに願った。
「エンデュミオーンが夢をずっと見続けることができるよう、永遠の休みない眠りと永遠の若さをお与え下さい」
好き者ゼウスは、喜んで願いを聞き入れた。
こうして、エンデュミオーンは神話の時代が続く限り永遠に、ラトモス山の洞窟で眠り続けたという。
こうして、エンデュミオーンは神話の時代が続く限り永遠に、ラトモス山の洞窟で眠り続けたという。
アルテミスは、毎晩彼の夢に現れ、何と娘を五十人も儲けたそうだ(ううむ、五十人とは、たぶんギネスもんだね)。
ちなみにアルテミスさん、アテーナーを敬愛していて、同じ純潔の誓いを立てていたんですが、な~にが神だ、聞いてあきれ……ああ、いえいえ、愛の前に脆くも崩れ去ったというわけ…… ええ、違うって、夢の中の出来事ですから…… なるほどっ。
ちなみにアルテミスさん、アテーナーを敬愛していて、同じ純潔の誓いを立てていたんですが、な~にが神だ、聞いてあきれ……ああ、いえいえ、愛の前に脆くも崩れ去ったというわけ…… ええ、違うって、夢の中の出来事ですから…… なるほどっ。