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第七夜 怪談 闇夜の黒い影

2009-08-12 08:21:04 | 不思議夜話
 おはようございます。


 第7話は、僕のじいちゃんが聞かせてくれた話。


 じいちゃんは若い頃、郵便配達人をしていた(いわゆるポストマンである)。
当時の田舎の道は舗装などされておらず、砂利道だったので、隣の村へ行くのに自転車で1時間以上かかった。


 そんなある日、隣村の配達を終えての帰り道に運悪く自転車がパンクしてしまったのだ。
自転車を引きながら歩くと3時間はかかるのだが、今日中に帰る必要があったので、仕方なく夜の山道を歩いて帰ることにした。


 そして次第に日は傾き夜になった――。


 夜の山道は街灯など全くないし、もちろん家もないから真っ暗になる。
ただ、微かに月明かりがあるばかりだが、山の木々でその明かりも所々に当たるだけである。
自分の足元もおぼつかないほどの暗さ。まさに暗闇だった。


 じいちゃんは、ほんの少しの明かり求めてタバコに火を点けたのだった。
そのタバコを口に咥え、自転車を引きながらトボトボと歩いたのである。


 どのくらい歩いたのだろか――。フッと気がつくと、自分の後ろから何かついて来る。
しかし、あまりにも暗いのでそれが何なのか分からない。
 
 何時までもついて来るので、気味悪くなったじいちゃんは立ち止まった。
すると後からついて来るモノも立ち止まった。


 そこでじいちゃんは道路の脇にあった大きめな石に腰掛けて、タバコを1本取り出してマッチに火を点けた。


 マッチの明かりで、ついて来るモノを確かめようとしたのだ。
しかし、黒い影しか見えなかった。どうやら人らしいのだが、真っ黒な影でよく分からなかった。
その黒い影は、じいちゃんと同じように10メートルほど離れた場所に座っている。


 さすがに怖くなったじいちゃんは一計を案じた。


 ポケットに入れてあったタバコの箱を取り出して、自分に座っていた石の上に置いた。
さらに新たにタバコ1本に火を点けて、タバコの箱の横に並べて置いたのだった。


 そしてゆっくりと立ち上がり、自転車をそのままにして歩き出したのだ。
すると黒い影は、今までじいちゃんが座っていたダバコの箱の置いてある石まで歩いてきて、火の点いたダバコを吸いはじめたのだ。


 それを見たじいちゃん
「今だ!!」
と感じて、一目散に走って逃げたのだった。


 翌日、日が昇りその場所に戻ってみると、自転車だけがそのままになっており、タバコの箱と火を点けたタバコはなかったという。


 黒い影は何だったのでしょうか?そんな不思議な話を聞かせてくれました。




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