引き続き、「魔の交差点」からお送りします。
犬の悲惨な事故から、およそ1ヶ月くらい経った頃だったと思います。やはり、バイト先へ向かうため自転車に乗って、件の交差点に向かっていたときでした。
あのときの同じような赤い軽自動車が自分を追い抜いていき、 ――おや、見覚えのある車かな?―― と思って見ていると、車が交差点に差し掛かった瞬間に、急に向きを変えて、交差点脇に立っている外灯に激突してしまったのです。
あのときの同じような赤い軽自動車が自分を追い抜いていき、 ――おや、見覚えのある車かな?―― と思って見ていると、車が交差点に差し掛かった瞬間に、急に向きを変えて、交差点脇に立っている外灯に激突してしまったのです。
はじめは右折するためハンドルを切ったかとも考えたのですが、それにしてはウィンカーも出さず、ブレーキもかけずにいきなり曲がったのでした。
スピードの勢いから、――これは曲がれない!―― と思うまもなく、道を外れて外灯に突っ込んでいきました。
スピードの勢いから、――これは曲がれない!―― と思うまもなく、道を外れて外灯に突っ込んでいきました。
この「魔の交差点」は、回りは田んぼしかありませんので、基本的に外灯はなくて、交差点の脇に2本あるだけなのです。
しかし、その外灯も満足に機能を果たしていませんでした。なぜなら、新しい外灯を立てても、すぐに車が突っ込んで壊してしまうからです。
平均すれば、1ヶ月として持たず、ひどいときなど付け換えた翌日には、事故で壊してしまったことが1度や2度ではありません。
しかし、その外灯も満足に機能を果たしていませんでした。なぜなら、新しい外灯を立てても、すぐに車が突っ込んで壊してしまうからです。
平均すれば、1ヶ月として持たず、ひどいときなど付け換えた翌日には、事故で壊してしまったことが1度や2度ではありません。
外灯にブレーキもかけず突っ込んだ軽自動車は、けたたましいくエンジンをふかす音がして(たぶん、ぶつかった瞬間にアクセルを踏んだのだと思います)、エンジンルームから白煙を上げて止まりました。
そして、中から紺のスーツを着た、あのOLさんが頭から血を流して、フラフラと降りてきたのです。
そして、中から紺のスーツを着た、あのOLさんが頭から血を流して、フラフラと降りてきたのです。
ヴィクターは、あわてて自転車から降りて、駆け寄ってOLさんを反対車線の脇へ連れて座らせました(エンジンルームから白煙が上がっていたので、最悪、爆発するかもしれないと、危惧したからです。結局、爆発はしませんでしたが)。
そして、ケイタイから119番し、救急車を要請したのでした。もちろんその道を通っていた車のドライバーも降りてきて手伝ってくれました。
そして、ケイタイから119番し、救急車を要請したのでした。もちろんその道を通っていた車のドライバーも降りてきて手伝ってくれました。
その後、救急車が到着し、パトカーもやって来て、ヴィクターは、おまわりさんに事故の状況を説明。
事故の原因は、わき見運転によるハンドル操作の誤りと、いうことになったのですが、でも、今にしてみれば、かなり不自然な曲がり方をしたように、ヴィクターは感じます。
事故の原因は、わき見運転によるハンドル操作の誤りと、いうことになったのですが、でも、今にしてみれば、かなり不自然な曲がり方をしたように、ヴィクターは感じます。
すべて終わってバイト先へ行ったら、完全な遅刻でした(当然、事態を説明したので、怒られなかったですけど)。
こんな感じで、あの場所はやたら事故が多いんですよね。
こんなこともありました。バイトの帰り、その場所を自転車で走っていると、目の前を黒い物体が横切ったんです。大きさは40~50センチくらいあったと思います。
それは、地上から1メートルくらいの空中をサッと通り過ぎていきました。あまりスピードに、何が横切ったのか分からなかったのです。
――エッ! なになに?―― と思っていたら、ちょうど反対車線に車が走っていて、そのフロントガラスに黒い物体が激突したんです。
それは、地上から1メートルくらいの空中をサッと通り過ぎていきました。あまりスピードに、何が横切ったのか分からなかったのです。
――エッ! なになに?―― と思っていたら、ちょうど反対車線に車が走っていて、そのフロントガラスに黒い物体が激突したんです。
あまりの衝撃だったのか、フロントガラスが割れて車は急ブレーキ。運転手は無傷でしたが、激突した黒い物体は、跳ね飛ばされて20メートルくらい先に、地面へ墜落。その物体の正体は、キジでした。
あの空飛ぶ鳥の、1万円札に載っているキジです―― 。
あの空飛ぶ鳥の、1万円札に載っているキジです―― 。
さすがにここまでくると、鈍感なヴィクターも薄気味が悪くなりまして、できれば、その道を通りたくはないと考えるようになったのですが、その道を通らずに迂回すると、倍以上の時間かかかってしまうので、やむなく走っていました。
そんなある日のことです―― 、つづく。