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第三十話 怪談 魔の交差点(五)

2010-08-25 11:43:40 | 不思議夜話
 暑い日が続きます。こうも暑いと何もする気がありません。ブログの更新も例外ではないのですが、かんばっていきま~す。


 事故の詳細は、次の通りでした。


 「魔の交差点」から、2~3キロ離れた場所に小学校があって、そこの3年生の男子生徒が被害者です。仮にA君としておきましょう。
 その日、A君は、友だち(B君とします)と一緒に自転車で併走する形で、件の交差点を通りかかっていました。すると、後方から一台の大型トラックが二人の自転車を追い抜いていこうと横を通り過ぎたのです。
 しかし、その瞬間、B君の横を走っていたA君が、急に向きを変えてトラックの車体に突っ込んでしまった
 A君は、後方の大きなタイヤに巻き込まれて即死。一瞬にして、それは無残な姿に変わり果ててしまったのです。


 B君は、友だちが人間でない形に変わり果てていく光景を間近で見たことで、大きなショックを受けて1週間ほど入院。
 その後も1ヶ月くらい、口が利けなくなってしまい、学校に通えるようになったのは、3ヶ月も経ったあとでした。


 そして、事故を起こしたトラックの運転手は、半年後に自分の行為を悔いて自宅の部屋で首吊り自殺してしまいます。
 実は会社名も、彼が住んでいた場所も知っているのですが、割愛します(ただ、住んでいた場所は、件の交差点から1キロほど離れた社宅です)。



 ヴィクターが、この事故の詳細を知っているのは、事故を目撃して、一時的に口が利けなくなってしたB君の担任の先生(Cさんとします)と知り合いで、かなりあとになってから、彼がこっそりと話してくれたんですよね。


 でも、この事故の話を聞いて、――あれっ、前に聞いたことがあるような―― と、感じるのはヴィクターだけでしょうか? 前にお話した「犬の事故」「OLさんの事故」とシチュエーションが似てなくないですか?


 そこで、今までヴィクターが体験したことをCさんに話すと、「やっぱり…… 」という返事か返ってきた。
 そして、Cさんは、次のような話をしてくれました。


 「あそこは、出る(幽霊が)って、もっぱらの噂ですよ。夜中に通ると、白装束の老婆が乳母車を押しているのを見たとか、鎧姿の武者が馬に乗って闊歩していたとか。そんな話をたくさん聞きますよ。あの辺りじゃ、かなり有名です」


 老婆の話はともかく、馬に乗った武者の話は、背筋に寒いものが・・・・・・ というのも、その辺りは昔(江戸時代)、馬場があって馬を教練していたんですよ。
 だから地名に馬具や乗り物に関する名前が多いんです(具体的に地名を挙げちゃうと場所が特定できてしまうので、あえて割愛します)。
 それで馬、つまり乗り物の祟りじゃないかと、推測したんです。だって辺りに、それに関する供養碑とか、塚や神社なんかが点在するんですよね。


 ヴィクターは、コンビニのバイトを始めるまで、件の交差点というか、その近辺に行ったことがなかったので、全く知らなかったんです。
 知らないってことは、ある意味、怖いことですよね。つづく。




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