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「悲運な予言者・カッサンドラー」

2010-07-21 10:39:01 | ギリシャ神話

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 「的中率100% でも誰も信じない予言」


 太陽神アポローンに好かれてしまったゆえに、不幸になってしまった美女の話。
 清楚で控え目な、それでいて、黒き瞳に燃えるような情熱を湛えたカッサンドラー。アポローンは、その心を虜にされてしまう。
 永遠の若さと美貌を備え、限りない知恵と力の持ち主であるアポローンに愛されるのが、どうして不幸なのかって? まあ、カッサンドラーにだって選ぶ権利があるってことかな(太陽神だけに暑苦しかったのかも…… 失礼しました)。


 カッサンドラーは、どういう理由からか、アポローンからの求愛を拒み続けていた。しかし、アポローンは、ともかくアタック。――押してもダメなら押し破る―― と、いろんな贈り物をせっせと彼女に与えた。


 「カッサンドラー、どうか私に振り向いてほしい。私は貴女を愛して止まないのだ。私の愛を受けてくれるなら、もっと素晴らしい贈り物をしよう」


 そう言って、彼女の意志も聞かずにアポローンは、自身が放つ光で彼女を愛撫した(よく分からんが、器用なことで)。


 すると、その光の影響で、カッサンドラーに未来を予言する力が身についてしまったのだ。その恐ろしく正確な予知能力をプレゼントされ、アポローンの半ば強引な求愛に膝を折ろうと考えた彼女だが、この贈り物はとんでもないことも見せてくれた。
 なんとアポローンが、後にカッサンドラーに飽きてしまい、彼女を見捨てていく姿を鮮明に映し出したのだ。


 「ひどいっ、あんまりですっ」


 これは痛い、痛いぞアポローン。当然カッサンドラーは前にも増してアポローンを拒むようになった。


 「アポローン様を信じようとした、わたしが愚かでした」(今頃気がついたか)


 拒むうえに冷淡になったカッサンドラーを、アポローンは謝るどころか、この贈り物にも後悔せず、彼女を憎み、呪った(元を糺せば、あんたに非があるんでしょが―― )。
 一度神が与えたものを取り戻すことは、プライドが許さない。


 「カッサンドラーは確かに真実の予言を行なう。だが、その予言を誰一人として信じるものはいないのだ……!」と、酷な付けたしをした。


 カッサンドラーは祖国トロイアの滅亡を予言したが、誰も彼女を信じなかった。彼女は、ギリシャ軍の総帥アガメムノーンに捕らえられ、妾にされて子供を儲けさせること、そして自分がアガメムノーンの正妻の手によって殺されることも予言する。
 当然、信じる人はいなかったが、予言どおりにこの世を去ったのだった。


 ここまでくると不幸というより悲劇だね。神の愛はまさに気まぐれというやつだねぇ。




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