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第二十七夜 怪談 魔の交差点(二)

2010-08-19 07:23:11 | 不思議夜話
 前回に続き、「魔の交差点」からお送りします。


 黒猫の事故を目の前で目撃してから、およそ一週間ほど経った頃だったと思います。朝、バイト先のコンビニに向かう途中、やはり自転車で例の交差点に向かって走っていました(前回は、バイトからの帰りだったので、今回は反対車線を走っています)。


 かなり速いスピードで、一匹の茶色い毛並みの犬(たぶんポメラニアンだったと思う)が、自分の自転車を後ろから追い抜いていきました。それに続いて、赤い軽自動車も抜いていったのです。


 しばらく犬と軽自動車は、並行するように走っていきました。ところが、交差点に差し掛かる直前、犬が、突然、走る向きを変えて軽自動車へ突っ込んだのでした。


 犬は、あっという間に自動車の車体の下へ―― 。悲鳴にも似た、もの凄い鳴き声を残して、車の後輪に巻き込まれてしまったのです。


 しかし、軽自動車のタイヤは、大きくないですから、タイヤと車体に挟まれるような形で、その犬を引きずりだしたのです。
 たぶん数十メートルは、引きずったと思います。帯のような血痕が付いていきましたから…… (じっくり見る勇気がなかったので、それは血痕ではなくて内臓の一部かも)。


 始めのうち、運転手は、気がつかなかったのでしょう。数十メートル引きずった後で、異変に気づき、車を止めました。
 車から降りてきたのは、紺のスーツを着た女の人でした。おそらくこの道で通勤するOLさんだと思います。
 その人が、後輪に挟まっている物体(もはや犬とは呼べない)を引っ張り出して、道路の脇へ―― 。そのまま何ごともなかったかのように、車に乗り込み走っていってしまいました。
 なんか、そのときのOLさんは、――朝の忙しいときに、なんて不運なんでしょう。迷惑もいいところだわ!―― 的なオーラをだして、なんらショックも感じていないようでした。


 ヴィクターは、ショックでした。生き物が形が、壊れていく様子をつぶさに目撃したのですから。しかも、轢かれる瞬間の犬の鳴き声は、今でも鮮明に覚えているくらいです…… 。


 ――うっ、強烈なものを見ちゃったよ!―― な感じで、2、3日肉が食えなかったです。


 その場は、これで終わったのですが、実は、先ほどの犬を轢いた女の人、例の交差点で事後を起こしてしまいます。しかも、今度もヴィクターの目の前で…… (この話は次回に詳しく書きます、つづく)。



第二十六夜 怪談 魔の交差点(一)

2010-08-18 07:24:43 | 不思議夜話
 暑い日が続きます。外を歩くのがつらいです。しかし、お体に大切に、夏バテしないようにいきましょう。


 今回の話は、たぶん長くなるので、数回に分けて書いていこうと思います。実は「不思議夜話」は、この話を書きたくて始めたようなものでして、ヴィクター最大のピンチに遭遇した実体験です。
 でも、信じるか、信じないかは、あなた次第です。


 この手の話に、「魔の踏切」とか、「魔の交差点」とかありますが、共通しているのが、その場所で事故が多いということです。
 今回取り上げる話も他例にもれず、その場所では事故が多発していました。しかも半端な数じゃない。月に一件は、必ず発生する。ひどいときは、週に2回以上発生することもありました。


 その場所は、一見、とても見通し良い場所の十字路で、ちょうどすり鉢のように、底の部分で交差していて、片側一車線の道です。
 周りは、民家とかはなく田んぼがあるだけ。そして道は、周りの田んぼより高くなっていて、視界を遮るものは何もありません。
 もちろん、道は直線で、それぞれが一本道。まさにきれいな十字路になっています。交通量もさほど多くないのですが、なぜか事故多発地帯なのです。


 事故に遭うのは人間ばかりではありません。猫、犬、スズメ、キジなどさまざまな動物が事故に巻き込まれるのです(もちろんカエルも)。
 しかも頻繁に…… 。


 ヴィクターは、ある時期、コンビニのバイトのため、その道を自転車で通っていたのですが、数ヶ月の間に、何度も事故現場に出くわしました。


 あるときなど、バイト帰りに自転車に乗っていると、反対車線から一匹の黒猫トボトボと渡ってきます。
 すると、猫の後方からヘッドランプをつけた車が一台、近づいてきました。しかし、黒猫は、トボトボと歩き続け、そのまま後ろ足を跳ね飛ばされてしまいました。
 その瞬間、空中に2メートルくらい舞上がり、後方三回転(キャット空中三回転ではないですが)して、ヴィクターの目の前に墜落。
 そして壊れたおもちゃのように体を痙攣させて息絶えました。 ――わぁ、嫌なモノを見ちゃったよ―― と思いながら、不思議なことに気がつきました。


 その猫なんですが、ふつう道路をトボトボと渡ってきますか? 走り抜けると思うのですが…… 。しかもヘッドライトをつけて車が近づいてくるんです。途中で気がついて逃げると思いませんか?
 そのときの猫は、一切わき目も振らず、まっすぐヴィクターの自転車を目指して歩いてきたんですよね。ちょっと不気味な感じがしました。


 まあ、この一件くらいなら、そのまま忘れていたと思うのですが、次は犬でした―― (つづく)。



「コルサンの岩山」 夢の冒険<1>

2010-08-16 07:26:03 | リチャード・アダムス

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 『コルサンの岩山』 夢の冒険<1>、リチャード アダムズ著、井辻朱美訳、新書館


<あらすじ>
 「コルサンの岩山」をはじめ、9つの短編が収められている。


・「コルサンの岩山」 (コウノトリの尾はなぜ短くなったのか?)
・「スタン・ボロヴァンと竜」 (頭も使いようでドラゴンを退治できる)
・「名は身をたすける」 (カニは英語でクラブといいます)
・「赤いオウム」 (おしゃべりオウムが幸運をもたらす)
・「黒い犬」 (マン島の不吉な黒い犬を知っていますか?)
・「麦畑のネズミ」 (小麦畑を荒らすネズミの正体)
・「海の中のねこ」 (ネコが海へ入らなくなったわけ)
・「百回」 (森の農夫のとんちばなし)
・「いくつまで生きられる」 (人間の寿命と動物の寿命)




<感想>
 それぞれの作品は、ウィットの富んでいる。個人的には「コルサンの岩山」、「黒い犬」、「いつまで生きられる」辺りが面白いと感じた。


 イギリスを主に世界各地からの民話を元にし、アダムス風にアレンジしている。これは作者自身の言葉にもあるように、――民話とは、ある特定の時や所で、自発的に大きな声で語られるときがベストである―― という、テクスト理論に基づいている。


 本の解説に荒俣宏氏が寄稿しており、興味深い。さらに児童書であるため挿絵が多く、しかもできが良くて出版社の意気込みが感じられる作品だ。



「山羊座・アマルテイア」

2010-08-14 11:56:25 | ギリシャ神話

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 「ゼウスの義理の母は、山羊だった」


 アマルテイアの話をするには、ゼウスの幼い頃のことを知っておく必要がある。


 空と山の頂を領分とする全能神・ゼウスは、生まれるとただちに母のレアーの手によってクレーテーの王・メリッセウスの娘たちに預けられた。
 なぜかといえば、父親のクロノスは、子供たちが自分を滅ぼすのではないかと恐れ、生まれてくる子を片っ端から飲み込んでいたからだった(だったら子供を作るんじゃありません)。


 娘たちは、ゼウスをリュクトスの洞窟に隠し、クレーテー島にあるイーデー山腹の牝山羊のお乳を与えて育てた。
 つまり、ゼウスは狼に育てられた「狼少女」(熊少女というのもいた)の話じゃないけど、「山羊少年」だったというわけ(ジャイルズの幻想小説にあったような)。
 もしかして、ゼウスって歩くとき、四つんばいで獣のような歩き方をしたのかも。狼ならまだしも山羊じゃ…… 。草を食むのが好きだから、超ベジタリアンだったりして…… 。まあ、迫力に欠けることおびただしい。


 話が横道にそれた。


 そうです。この牝山羊こそが、アマルテイアなのです。幼いゼウスは、この山羊を義母だと思い込んで、すっかりなついていた。そしてアマルテイアも、この赤子をたいへん可愛がりやさしく接した。
 そんな温かな心持った義母に、ゼウスは深く感謝し、3つの名誉を与えたという。


 まず、彼女の死後、皮をゼウス自らの盾に張るのに用いた。この盾は、聖なる「神盾」として、知恵の神・アテーナーに与えられる。
 槍と盾をもつ勇ましい姿は、アテーナーの偉大さを人々に印象付づける役割をした。自慢の娘に持たせる盾をアマルテイアの皮から作らせたというのは、ゼウスの彼女に対する並々ならぬ感謝の気持ちを表しているのではないだろうか。


 そして角は、ヘスペリデスの園から取った黄金の果実で満たした。この果実は食べてもまた元に戻り、常に満ち溢れたままの不思議な果実。
 これを称して「豊穣の角」といった(これには別の説があって、河の神・アケローオスがヘーラクレースに角を折られナイアデスによって神に捧げられ、豊穣の女神が、その角を受け取ったことから豊穣の角という)。


 そして、3つ目の名誉として、ゼウスは山羊を星に加えた。星占いで知られる「山羊座」がアマルテイアなのだ。
 山羊座生まれの人は、誕生日が来るたびに、思い出してほしい。ゼウスの愛情が星ぼしの中で、永遠に輝き続けているということを(もっとも、山羊座については、別の伝説のあるのだけれどね)。



第無夜 怪談 コーヒーブレイク 其の伍(後編)

2010-08-11 08:31:31 | 不思議夜話
 前回の続き―― 。


 バスケ部の彼は、仕方なく件のトイレへいきました。中に入ると、すべてのトイレの扉が閉まっていました。部活の最中です、本来この時間帯は空いているはずなんですが、満室でした。
 彼は、一番手前から順にノックしていきました、


 トントン…… 。するとしばらくして、中からトントン…… と返してきます。次の場所も、その次の場所も同じでした。
 残りは、件の開かずのトイレしかありません。しかし、扉には「使用禁止」の張り紙がしてあります。
 もちろん彼も、妖怪の話を知っていましたから使いたくありませんでしたので、しばらくその場で待つことに…… 。
 しかし、一向に出てくる気配がしません。だんだん事態が切迫してきます。我慢できなくなってきたのです。今さら違うトイレに行く余裕もありませんでした。


 そこで仕方なく「開かずのトイレ」の前に立ち、ドアノブに手をかけると、ロックしてあるはずの扉が開くではありませんか。そこで一瞬躊躇したのですが、生理的欲求に耐えられず中に入って用を足すことにしたのでした。


 中に入り、扉を閉めて準備をすると、天井から声がしました。


 「赤が好いか? 青が好いか?」


 普通この手の場合、用を足した後に声が掛かるものですが、そのときは用を足す前でした。しかも通常は「赤いチャンチャンコが好いか? 青いチャンチャンコが好いか?」と聞いてくるはず。うわさではそのようになっていました。


 でも考えてみてください。彼は、事態が切迫していてやむなく、このトイレに入ったのです。緊張感がなくなった後ならまだしも、切迫した状態でどのよう声をかけられても、まともに答えられるわけがありません。


 それに彼には早く戻らなければならない理由がありました。バスケ部の練習はきつかったので、トイレにかこつけてサボる部員が時どき出没した。そこでサボり防止のため、トイレは5分で済ませ体育館に戻る必要があったのです。


 そこで余裕のなかった彼は「どっちだっていい!」と、答えたのです。


 しかし、天井からは、さっきほどより大きな声で「赤が好いか? 青が好いか?」と繰り返します。
 彼は、いよいよ面倒臭くなってきて、投げやりに言います。


 「ああー、もうクソー、どっちだっていい! 勝手にしてくれ!」


 すると、天井からの声が突然とまり、しばし沈黙…… 。そしてトイレ内の電灯が消えたかと思うと―― 。
 暗闇となったトイレの天井から、ボタボタボタッと、頭上に大量の何かが落ちてきて、それを被った彼は、大きな悲鳴を上げて気を失ってしまったのです。


 それからしばらくして、なかなか戻ってこない彼を心配したバスケ部の先輩が様子を見にきました。すると、トイレに中は電気が消えて暗闇の中。しかも異臭がする。


 先輩は、急ぎ電灯のスイッチを入れると、「使用禁止」で閉まっているはずの「開かずのトイレ」が開いているではありませんか。どうやら異臭はそこからしてきます。


 恐る恐る近づいてそっと覗くと、中には赤や青色のう○○まみれになって気絶している彼を発見したのでした(お食事の方、大変申し訳ありません)
 それ以来、その開かずのトイレに出没する妖怪を「赤座布団」と呼ぶようになったのでした。


 なぜなら、テストで悪い成績をとると、個人個人に渡されるテストの成績表に赤ペンで点数を書かれて、そのうえ点数の下に赤い線が引かれます。この赤い線を赤座布団と言い、余分なものがついていると言うことで、件の妖怪にう○○まみれにされた―― 。つまり余分なものをつけられた、に掛けて「赤座布団」となったのです。 ――そんな臭い話でした(笑)。


P.S これでなぜ、学校の七不思議の1番目「体育館裏の開かずのトイレ」の話が、コーヒーブレイクの回に書いたのか、お判りになっていただけたかと存じます。お粗末さまでした…… (汗)。