こんにちは、ジニーです。
お久しぶりです。
読書感想、随分間隔があいてしまいました。
今回は大好きな若竹七海さんの葉村晶シリーズ、「依頼人は死んだ」です。
先日ドラマ化もしたこのシリーズですが、今作で3冊目です。
最初はシリーズと知らずに読んだのが「静かな炎天」。
シリーズものだと知って、最初から読もうと思って読んだ「プレゼント」。
今回は順を追って、「依頼人は死んだ」です。
昔の感想も載せときますね。
さて、今作「依頼人は死んだ」も9編からなる短編集です。
「プレゼント」は葉村晶と小林警部補が交互の主人公になって展開する内容でしたが
今作はすべて葉村晶が主人公です。
冬、春、夏、秋を2周して、最後3度目の冬を迎える形で
季節ごとに短編が収録されています。
20代の終盤を迎えた女性(本作中で30代に突入する)、無職。
クールでニヒルな性格で、友達と呼べる人はほんの数人。
そんな彼女が、「プレゼント」の時に厄介になっていた長谷川興信所に契約社員として
戻るというところから話は始まり、上述のとおり約2年間の時間軸で話は進みます。
相変わらず厄介な事件を引き当てる性格ですが、
本作ではその本質的な性分に迫るセリフが出てきます。
「白黒つけるまで調査をやめない」
「自分が納得できるまで調査する」
この二つの精神が、徹底的に事件を深堀りさせているようで、
結果としてハードボイルドな展開を招いてしまう。
この辺りがこの葉村晶シリーズの、最大の魅力なんですよね。
意外な犯人を推理するというでもなく、驚愕のトリックを暴くでもなく
淡々と真実をつかんでいく、その図太さとタフさ。
これを見たいと思ってこのシリーズを読んでいるんだなと感じる瞬間があります。
今作を読んでいて、新しく感じたこともあります。
プロローグにかける時間が長い、という言い方が良いのかな?
事件に踏み込むまでの前段を、とにかく丁寧に描き、読み手への理解を
深めているなと感じました。
収録作品である「鉄格子の女」で、それを強く感じたのですが、
多分、なぜ葉村晶がその事件に没入することになったのかという点を
事件の背景と、人間関係と、いろんな観点から描いているからなのかなと
そんな印象を持ちました。
「鉄格子の女」では、それが強すぎて、それが事件の内容だったの?
と妙なカウンターパンチを受けてしまったような想いでした。(別に批判とかでなく)
しかし葉村晶という人間の核の部分は、これだけ丁寧な構成にありながら
何処かもやがかかったような、判然としないものを感じたりもします。
クールかと思えば、友人の死に涙したり、関わる人が傷つくことに困惑したり。
なんか鉄仮面のようなイメージを持ってしまっているのか、変なところで人間っぽさを
感じてしまい、読んでいるこっちがドギマギしてしまったり、
ああ、この人も普通に人間なんだなって思ったり、そういう部分が逆に葉村晶の
本質を包むベールのように見えてしまうのは僕だけでしょうか?
たぶん一番しっくりくる言葉は、結局のところ「ミステリアス」なんだと思います。
だから、目が離せなくなる。
さて、少し視点は変わりますが、本作は非常に人間の本質、醜さに照準を当てているような
気がします。
無意識の悪意というのでしょうか?
自覚のないまま、人に危害を加えたり、命を脅かしたり、そんな恐怖があります。
また、そういった悪意の塊となるような、宿敵との遭遇も含まれています。
罪の意識のないものに、周年ともいえる真相調査の結果を突き付ける様は
自身の見えていない闇の部分を照らし出されるようで、冷や汗を感じる部分もありましたし、
罪そのものである宿敵との対峙は、息が詰まるような張り詰めたものを感じました。
その辺をライトに読めるようあ止めているのが若竹七海さんの超絶なる筆力なのでしょう。
上記のような感想や紹介の仕方では、恐ろしくヘビーな作品のように
感じられてしまいそうですが、スルスルと進んでいくのです。
なんやかんや、読む手は止まらないのです。
僕なんかの語彙力では全然伝えられないこのシリーズの面白さは
直接触れていただくこと以外に正しく認識してもらうのは難しいかもしれない。
興味を持っていただいた方は是非、手に取ってみていただきたいと思います。
本当にお勧めのシリーズです。
お久しぶりです。
読書感想、随分間隔があいてしまいました。
今回は大好きな若竹七海さんの葉村晶シリーズ、「依頼人は死んだ」です。
先日ドラマ化もしたこのシリーズですが、今作で3冊目です。
最初はシリーズと知らずに読んだのが「静かな炎天」。
シリーズものだと知って、最初から読もうと思って読んだ「プレゼント」。
今回は順を追って、「依頼人は死んだ」です。
昔の感想も載せときますね。
さて、今作「依頼人は死んだ」も9編からなる短編集です。
「プレゼント」は葉村晶と小林警部補が交互の主人公になって展開する内容でしたが
今作はすべて葉村晶が主人公です。
冬、春、夏、秋を2周して、最後3度目の冬を迎える形で
季節ごとに短編が収録されています。
20代の終盤を迎えた女性(本作中で30代に突入する)、無職。
クールでニヒルな性格で、友達と呼べる人はほんの数人。
そんな彼女が、「プレゼント」の時に厄介になっていた長谷川興信所に契約社員として
戻るというところから話は始まり、上述のとおり約2年間の時間軸で話は進みます。
相変わらず厄介な事件を引き当てる性格ですが、
本作ではその本質的な性分に迫るセリフが出てきます。
「白黒つけるまで調査をやめない」
「自分が納得できるまで調査する」
この二つの精神が、徹底的に事件を深堀りさせているようで、
結果としてハードボイルドな展開を招いてしまう。
この辺りがこの葉村晶シリーズの、最大の魅力なんですよね。
意外な犯人を推理するというでもなく、驚愕のトリックを暴くでもなく
淡々と真実をつかんでいく、その図太さとタフさ。
これを見たいと思ってこのシリーズを読んでいるんだなと感じる瞬間があります。
今作を読んでいて、新しく感じたこともあります。
プロローグにかける時間が長い、という言い方が良いのかな?
事件に踏み込むまでの前段を、とにかく丁寧に描き、読み手への理解を
深めているなと感じました。
収録作品である「鉄格子の女」で、それを強く感じたのですが、
多分、なぜ葉村晶がその事件に没入することになったのかという点を
事件の背景と、人間関係と、いろんな観点から描いているからなのかなと
そんな印象を持ちました。
「鉄格子の女」では、それが強すぎて、それが事件の内容だったの?
と妙なカウンターパンチを受けてしまったような想いでした。(別に批判とかでなく)
しかし葉村晶という人間の核の部分は、これだけ丁寧な構成にありながら
何処かもやがかかったような、判然としないものを感じたりもします。
クールかと思えば、友人の死に涙したり、関わる人が傷つくことに困惑したり。
なんか鉄仮面のようなイメージを持ってしまっているのか、変なところで人間っぽさを
感じてしまい、読んでいるこっちがドギマギしてしまったり、
ああ、この人も普通に人間なんだなって思ったり、そういう部分が逆に葉村晶の
本質を包むベールのように見えてしまうのは僕だけでしょうか?
たぶん一番しっくりくる言葉は、結局のところ「ミステリアス」なんだと思います。
だから、目が離せなくなる。
さて、少し視点は変わりますが、本作は非常に人間の本質、醜さに照準を当てているような
気がします。
無意識の悪意というのでしょうか?
自覚のないまま、人に危害を加えたり、命を脅かしたり、そんな恐怖があります。
また、そういった悪意の塊となるような、宿敵との遭遇も含まれています。
罪の意識のないものに、周年ともいえる真相調査の結果を突き付ける様は
自身の見えていない闇の部分を照らし出されるようで、冷や汗を感じる部分もありましたし、
罪そのものである宿敵との対峙は、息が詰まるような張り詰めたものを感じました。
その辺をライトに読めるようあ止めているのが若竹七海さんの超絶なる筆力なのでしょう。
上記のような感想や紹介の仕方では、恐ろしくヘビーな作品のように
感じられてしまいそうですが、スルスルと進んでいくのです。
なんやかんや、読む手は止まらないのです。
僕なんかの語彙力では全然伝えられないこのシリーズの面白さは
直接触れていただくこと以外に正しく認識してもらうのは難しいかもしれない。
興味を持っていただいた方は是非、手に取ってみていただきたいと思います。
本当にお勧めのシリーズです。
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