こんばんは、ジニーです。
いやぁ、2月も終わりが見えてきましたね。
今月3冊読めるかなぁ?
今回読んだのは、有栖川有栖さんの『朱色の研究』です。
いつは、有栖川有栖さん、初体験となります。
いわゆる「作家アリスシリーズ」である本作。
なんとなく、タイトルにひかれて選びました。
そのシリーズ名のとおり、著者でもある有栖川有栖本人が作家として登場し、
探偵役となる臨床犯罪学者の火村英生と事件を説いていくという構成です。
本作では、火村の是非の生徒である貴嶋朱美から、2年前に発生したまま
未解決となっている事件の真相を解いてほしいと相談を受けるところから
始まります。
この解明に乗り出した火村とアリスは、突然かかってきた電話がきっかけで
別の殺人事件い巻き込まれていく・・・。
過去に起きた事件と、現在進行形で発生した事件。
二つを解き明かすため、京都と和歌山を舞台に繰り広げられるミステリー。
厳密に言うと2年前以前に起こっていた火災の事件も繋がって、
3つの事件の解明が一つの線として繋がっていくところが見所です。
「フーダニット」と言われる、犯人は誰だ!?ってやつですね。
非常に、研究され練られた作品だと思います。
途中でなんとなく犯人が見えてくるのですが、その動機が本人から
語られるまで全く見当がつかなかった。
特に2年前の事件。
実際に本人の口から語られるのを読みながら、とても不思議な気持ちに
なりまいした。
ネタバレになるので詳しくは言えませんが、腑に落ちるような
腑に落ちないような、微妙なバランスで宙ぶらりんな印象なのです。
あとがきや解説を読み進めていくうちにそういった気持ちは溶解していきました。
本作は、タイトルの朱色が示す、「夕焼け」が全体のテーマとして存在します。
先ほど出てきた事件の解明を依頼した貴嶋朱美にも「朱」の文字が入っていますね。
そして2年前に殺された人物の名が「夕雨子」。
この二つの関係が、解説として説明されたときに、大きな動機を飲み込むことができました。
なるほど、こういう形の構成は初めてでした。
象徴的な対比が、動機をおどろおどろしいものでなく、犯人の人間性や
信仰心のようなものを浮きだたせて、大きな夕焼けの朱色で飲み込むかのように感じました。
ぐぅっと、これまで読んできたミステリーとは異質な重量を感じる作品でした。
そして、アリスシリーズをもっと読んでみたくなりました。
朱色の研究。
なるほど、ここには研究者が確かに多く存在していました。