こんばんはジニーです。
溜まりに溜まっている読書感想文。
少しずつ書いていかないと、内容が思い出せなくなる。
そんな強迫観念に晒されながら、滞りがちな10月の投稿です。
今回は原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」について書いていきます。
結婚式などの冠婚におけるスピーチで、この本のタイトルはよく使われたりします。
そう、つまり本作はスピーチがテーマの小説です。
もう少し正確に言うと、「スピーチライター」という仕事がテーマとなっています。
まだあまり馴染みの少ない仕事ですが、結構重要な仕事でして、言葉によって人の心を動かすという、この仕事ならではのやりがいがあります。
例えばそれは政治家であったり、企業の社長であったり。
人前に立ち、誤解なく、飽きさせることなく、伝えたいことを伝えることを求められる方々はこう言った職業のプロにスピーチをお願いするようです。
しかし、1から全てスピーチを書くのではなく、伝えたいことを聞き、大筋を描いてもらったものに添削を行う感じです。
なので、その人の生きた言葉のまま、伝えるべきが伝わるというものなのです。
(うまく説明できてるかな?)
主人公の二ノ宮こと葉が、最悪な気分で幼馴染の結婚式に参加するところから物語は始まります。
そこで聞いた幼馴染の仕事の取引先の社長のスピーチが、とんでもなく眠気を誘うくらいつまらない。
実際に寝てしまってとんでもないことをやらかすのですが、その後トリを務めるかのように現れた、久遠久美というスピーチライターのスピーチに涙が溢れるほど感動します。
この出会いが、こと葉のスピーチライターとしての扉を開くことになりました。
素人同然の、駆け出しスピーチライターのこと葉が色んな壁にぶつかりながら成長していく、そんなサクセスストーリーでもあります。
とにかくこの作品は読んでいてとても励まされます。
人を鼓舞するような言葉や、悲しみに寄り添うような言葉。
色んな言葉が、文字を通して言霊のようにスーっと胸に染み込んでくる感覚さえあります。
今年読んだミステリー以外の小説ではダントツで面白かったです。
本作の中でスピーチライターの才能として、人の話を聴く重要性が語られています。
ここは、仕事柄からも激しく同意したところで、いかに相手を知ることが大切なのかと言うことを改めて考えさせられますし、コミュニケーションの根底は自分を知ってもらう以上に相手を知ることなのだと考えさせられました。
こういうのがお仕事系小説の良いところですよね。
人は人生の多くを「働く時間」として過ごすのですから、仕事に活かせるようなエッセンスがあると、グッと身近なものにも感じられる気がします。
もうすでに読まれている方も多いかと思いますが、まだこれからという方はぜひ手に取ってみてください。
とても読みやすいし、オススメです!