ジニーの、今日も気まぐれな感じで・・・

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東野圭吾 「天空の蜂」 読了

2019年06月15日 22時56分02秒 | 読書
こんばんは、ジニーです。
 
 
梅雨に入り、浮かない天気が続きますね。
今も外は雨です。
めっちゃ降ってます。
 
 
さて、読書。
じっくりと読みました。
東野圭吾さんの「天空の蜂」です。
 
本作は1995年に刊行され、1997年に単行本化。
2015年には難しいと言われていた映画化までされています。
 
なぜ映画化が難しいか?
テーマと出てくるモノがそうさせるのです。
 
それは、原発と巨大ヘリ。
ある日、試験飛行を控えた巨大ヘリ、通称「ビックB」が何者かに盗まれ、
原発の上空で停止飛行を続ける。
ヘリを盗んだ犯人から届いた脅迫状には「全国の原発は破棄せよ、できな
ければヘリを原発に墜落させる」とのものだった。
というあらすじなのです。
 
そのため、声を映像化するのは難しいとされていたのです。
 
 
さて、本作は600ページを超える超大作となっています。
読了するまでめっちゃ時間かかりました。
 
しかしながら物語中で過ぎている時間は10時間程度です。
それだけ濃密なドラマが繰り広げられるのです。
 
この物語にはいつに多くの人物が出てきます。
盗まれたヘリを製造していた重工業の開発担当と、同じ会社の原発部門の人間。
防衛庁の人間や政府の人間、犯人を追う警察。
人物つを整理しながら読むだけでも結構いっぱいいっぱいでした。
 
いわゆるクライシスサスペンス作で、様々な人間関係、思惑が交差し
濃密な物語を作り上げています。
 
 
普段僕たちは原発というものをどのくらい意識して暮らしているでしょうか?
例えば、2011年に起こった東日本大震災では、震災による影響と被害が世界的に注目を浴び
多くの人の意識に強く刻まれることになったと思います。
 
でも、僕としてはそれ以外の時間で、原発を意識したことはありませんでした。
電気のない暮らしはとても想像できません。
しかしながら、その電機の多くを作り出している原発の存在をどこまで強く意識し
メリットもデメリットもしっかりと把握できていたのでしょうか?
おそらく一般的な知識程度のものはあったかもしれませんが、例えばその危険性を
自分自身のすぐ隣にあるものだとは考えてこともありません。
 
本作の舞台では、巨大がヘリが原発に墜落するかもしれないという状況に陥り
近隣住民のパニックを発生させていました。
しかし、少し距離を置いたところでは、他人事として捉えているような人が
描写されていたり、まさしく自分自身の立ち位置をトレースされたような気分でした。
 
 
あまり内容に触れてしまうとネタバレになってしまうので、控えておきますが、
今回の事件を引き起こした犯人は、そういいた存在を「沈黙の群衆」と称して
原発という存在を植え付けようとします。
その背景にこそ、この物語に重厚なテーマを揺るぎないものにしており、
だからこそ読了後の余韻も、非常に重みのあるものになったように感じます。
 
 
 
責任とは何か、無責任とは何か。
善とは何か、悪とは何か。
100%の肯定だけで構築される事実、事象などありません。
そこに「自分は関係ない」という立場は本来あってはいけないのです。
 
本作を読んで、胸に去来するものは人の数だけあると思います。
深い読後感を味わっていただきたいと思う方にはオススメの作品です。
 
 
天空の蜂は、何を、なぜ刺そうとしていたのか?
未読の方は是非その手に取ってみてください。
 
 

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