ジニーの、今日も気まぐれな感じで・・・

気負わず、気取らず、ありのまま。
ゆるりと思ったことを書いていってます。
お気に召したらうれしい限り。

中町 信 『模倣の殺意』読了

2020年03月07日 06時35分24秒 | 読書
おはようございます、ジニーです。


ずっと暖かいなと思っていたら急に寒くなったり忙しい気候ですね。
コロナウイルスも気になるところです。
手洗いとうがいはしっかり行わないとですね。


さて、そんな気候に負けず読書に勤しみました。
読んだのは中町 信さんの「模倣の殺意」。

本屋で平置きされ、どうにも気になるポップがそえられ気になっておりました。
読んでから知ったのですが、これ1973年の作品なんですね、
作者もすでにお亡くなりになられているようです。

本屋で平置きされていたので最近執筆されたもののように思いましたが
必ずしもそうではないのですね。


さて、本作ですが、プロローグから始まります。
坂井正夫という人物の死です。
現場の状況から、その死は自殺であると判断されます。
死んだのは7月7日午後7時。
そして、その現場には「7月7日午後7時の死」というタイトルの小説の原稿が残されていた。


この坂井正夫の死をめぐり、二人の人間を中心に物語は進みます。
死の真相を確かめるうちに、見えてくるズレ。
このズレに気付いた時には、もう騙されているというのが、本作の魅力でしょう。

正直な話、語れることが少ない。
離してしまうほどにこの作品の魅力やトリックにどうしても近づいてしまう、
ああ、なんともどかしいのだろう。


いま新しく本作を読む人は、たぶんあまり新鮮さを感じないかもしれません。
でも、大切なのは1973年に刊行されているということです。
僕も含め、多くのミステリー好きが通ってきたこのジャンルの作品のベースとしては
国内初だというのです。

その観点から言うと、なんと斬新で、そして挑戦的な作品だったのか!
時代背景はともかくとして、時を越えてもその面白さが色あせないというのが
やはり名作たる所以なのかもしれません。


ふたりの人物が追いかける死の真相。
丁寧に描写されている人物や状況の相関の裏で著者はじわりじわりと罠を張っています。

そんな得体のしれない誘導に乗らされてみてはいかがでしょう?


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岩井俊二 『ラストレター』 読了

2020年03月01日 20時59分34秒 | 読書
こんばんは、ジニーです。

今日もまだ2月だと思ってました。
2月は結構本を読んだぞって思っていたのに、感想を書くのを
先送りにしてたら3月ですよ。怖っ!


さて、2月に読んでおりました作品のひとつが、岩井俊二の「ラストレター」です。
昔から岩井俊二の映画は好きで、いろいろ(全部じゃないんです)と見てきています。
好きなのは「四月物語」。
めちゃめちゃ好きすぎて、しょっちゅう見てました。
ああ、でも最近は見れていないな。
見たいなぁ。


それ以外にも「リリィシュシュのすべて」、「花とアリス」とか好きですね。
プロデュース作品だと「虹の女神」も好きです。

今回、自身の最新映画「ラストレター」を制作し、その原作にあたるのが本作です。
そこで、初めて先に原作を手にしてみました。


感想から言うと、岩井俊二は映画を作ることに専念してたほうがいいな、と思いました。
これはあくまで個人的な感想ですが、洗練された空気感を持つ映像を切り取る
唯一無二の存在である監督ではありますが、小説になると途端に凡庸な感じになるなと思いました。

独特な切り取り方というのは確かなんですけど、
映像と活字とでは受け取り方の印象が大きく違うのかと、自分でもびっくりしました。

ただ、むしろ逆にこの世界観が、監督の視点や手腕でどのような映像になっているのか
というのが非常に気になりました。
同じ活字でも、それを通して見える景色が大きく違ってくるのだろうなと、
監督として、こういう景色を見せたかったのかと、
そういう観点で言えば、楽しめた感はあります。


同窓会を経て、ひょんな形で始まった手紙の交換。
そこに切り取られた青春の断片が、関わる人物それぞれに、各々の景色で存在する。
喪失感を持ちながら手紙を続ける主人公に訪れる心の機微とは?
そして、最後に見出す答えとは?

わずか数日のやり取りをギュッと凝縮した感覚。
スマホ、SNS、手紙の存在は薄れる一方な世の中に、手紙をテーマにした作品。
監督は何を伝えたかったのか。
岩井俊二らしいモチーフだと感じました。



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